昭和20年8月事件についていろいろ（宮城占拠事件）

ゆ㌖ず㌖こ㌖せ㌖う＠手㌖洗㌖い @yuzukoseuG

親任官である近衛師団長を何の検死も供養もせずに友軍の将校が証拠隠滅の為に焼く。ここに差し掛かると私はいつも胸中黒いものがこみあげてくることを認めないわけにはいかないのです。

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これだけの犠牲を踏み台にして彼らは何を得ようとしたのでしょうか？一戦後和平を目指しての皇軍の武威の発露、いやそんな空疎なきれいごとではありますまい。陸軍と言う生活共同体の残存とその中での地位の確保。これだったでしょう。当然国民の安全など眼中になかったと思います。

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さて、陛下の録音を終えた下村情報局総裁とNHKスタッフが近衛兵に車を止められ拉致されてしまいました。宮城内の守備隊司令部に監禁されます。

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警備にあたった絵内正久分隊長はうだるような室内にさすがに気の毒に思い、防火窓を開け閉めして換気につとめ、監禁者たちに感謝されました。絵内は朝日新聞社員で応召、少尉任官と言う変わり種で戦後も朝日の主に文化生活欄で活躍します。「さらば昭和の近衛兵」（光人社NF文庫）があります。

林古參（元『林枯山』） @hayashicosan

@yuzukoseuG 彼等が何を恐怖したかは「Subject to」の時の反応で分かります。帝國陸軍といふ組織が「陸軍以外の明確な命令下」に置かれるのが我慢できなかつたのでせう。良くも惡くも戰前の陸軍海軍は「明確な命令下」に所屬してゐませんでしたから無理もないのかも知れません。

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@hayashicosan 陸軍人にとっては組織外の人間に自分の仕事ぶりや言動を洗いざらい見られることが何よりの脅威だったでしょう。天皇に対してすら統帥権の独立と言うみょうちきりんなパッチで蓋をしようと図りました。天皇ご自身が直接介入は避けようと努められたのに関わらずです。

林古參（元『林枯山』） @hayashicosan

@yuzukoseuG どうも彼等の言動を見てゐると「特殊日本式」の言動ではないと思ひます。むしろ第一次大戰時のドイツ帝國軍の軍官僚に類似してゐます。あの陸軍組織も實質は國王の容喙など以ての外状態でしたから。

ゆ㌖ず㌖こ㌖せ㌖う＠手㌖洗㌖い @yuzukoseuG

@hayashicosan 面白いもので、あれの崩壊もルーデンドルフの「錯乱」が崩壊の引き金を引きました。春季攻勢など勝っていたのになぜだ！からこれが本当に負けているということか！という風に現実に人々を引き戻してしまったんですね。

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ここでまことに恥ずかしい話に触れねばなりません。事は戦後国会の行政監察委員会で問題になりました。佐藤大隊が宮内省に乱入し録音盤を捜索した時、他の財物、書類に触れたのではないかと言う疑惑です。

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具体的には皇后の冠に嵌められている５つのダイヤモンドのことを指すとされました。これらが戦後だいぶたって大阪の闇市に出たとされます。

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事実はもうわかりません。当時の日本は国土全体が世界最大のブラックマーケットと化していましたので。

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ただ、このとき陸海軍ともに規律と士気の弛緩が急速に進んでいました。上原を豊岡まで送った側車の運転兵は彼を下ろすと貴重な車を捨てて逐電してしまい、今に至るも消息不明です。

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また各地の宣言受諾に対する不穏な動きを取り締まろうとしていた憲兵隊は憲兵自体の脱柵が相次ぎ、正常な活動に支障を来たすまでになっていました。軍組織自体の内部崩壊が進行の歩を速めていました。

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実際のところ、前日14日日暮れから市ヶ谷台では機密書類の焼却が夜を徹して行われ、一時は新たな空襲被害かと消防が駆け付ける騒ぎになっていました。このとき編成表、部隊配置まで全部焼却され、この時以後陸軍は組織的な武力行使は事実上不可能な状態に自分を追い込んでいたのです。

ゆ㌖ず㌖こ㌖せ㌖う＠手㌖洗㌖い @yuzukoseuG

この辺りは15日夕刻行われた阿南陸相の告別式、荼毘に赴いた阿南綾未亡人の回想があります。車から降り立つと書類焼却と昼間の熱気で地面がとても熱かったという述懐です。