Fallout鎮守府　鈴熊編Vault112探索

スフィルナ＠治療中 @finad8

「散々ですわ……」 熊野は正面に階段がある2階建ての部屋に逃げ込むと、階段下の扉を開けキッチンにはいる。 「鈴谷、まだですの！？」 『あぁごめんもうちょいまって……』 鈴谷はコンソール操作に戸惑っているらしい。その間に中国兵が2人、民家に入ってくる。 #Fallout鎮守府

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「は、入ってきましたわ……」 『静かにしてて。座標特定したから武器送るね。』 熊野がほっと一息つくと、中国兵が突撃銃を構えて入ってくる。 「ちょ……！」 熊野が銃口を突きつけられ、思わず目をつぶるが銃声はせず、代わりに鈍い音が響く。 #Fallout鎮守府

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中国兵は頭をつぶされた状態で倒れており、その上にはガトリングレーザーが置かれていた。 充電パックを用いる強力な連射火器であり、艦娘の艤装にも対抗しうる兵器とさえ言われている。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/J3juv

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『間に合った？』 「充分ですわ。」 熊野はにやりと笑みをこぼすと、バックパックを背負いレーザー本体を持つ。 そして扉を蹴破ると、片っ端から中国兵めがけ射撃を加えていく。 薄い軍服ではレーザーを防ぐことが出来ず、レーザーに射抜かれ敵はばらばらになってしまう。 #Fallout鎮守府

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シミュレーターなので血は出ず、ばらばらになった敵兵はぱっと消えてしまう。 一通り敵を消すと、鈴谷が報告してくる。 『終わったよ。これで敵は片付いたね。』 「危なかったですわ……でも何ですの？この敵ばかりのシミュレーターは。」 熊野は首をかしげる。 #Fallout鎮守府

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『どっかの誰かが中国軍侵略プログラムなんかやったみたい。それで中国兵溢れるシミュレーターになったわけ。』 「迷惑ですわね……」 熊野はため息をつくと、扉を開けて1人の老婦人が出てくる。 「全部、追い払ってしまいましたか……」 「生存者、ですの？」 #Fallout鎮守府

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こんな場所に生存者がいたのか、と驚きつつ熊野は老婦人にたずねる。 「ここで何がありましたの？」 「半年前、ここに新入りが来たのよ。父親を探しに来たといって、あちこち弄り回した挙句プログラムを起動させてね……皆殺してしまったのよ。」 #Fallout鎮守府

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「え、でもシミュレーターなのに死にますの？」 熊野が疑問符を投げかけると、鈴谷が報告する。 『あぁ、これフェイルセーフ抜けてるわ。シミュレーター内部で死ぬと脳が焼ききれて死ぬよ。』 熊野はどっと冷や汗を流す。先ほどの攻撃で死んでいたかも知れないのだ。 #Fallout鎮守府

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「ここのシミュレーターの管理人、ブラウンも銃で撃たれて死んで後は私だけ……ところで、貴方達は探鉱者なの？」 「まぁ、そんなものですわ。Vaultを巡り、解体してますの。もちろん住人がいるのは解体しませんけど。」 鈴谷はじっと目の前の老婦人を見つめる。 #Fallout鎮守府

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すると、老婦人は熊野を見てはっきりという。 「どうか、貴方の手で殺してもらえませんか。私がいなくなれば、躊躇する理由もないでしょう？」 「え！？で、でも……」 熊野は躊躇するが、老婦人はそっとガトリングレーザーの砲身を持ち銃口を自分に向ける。 #Fallout鎮守府

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「私は、戦前に生まれもう200年もここで生活しているの。もう、おそらくシミュレーターから出ても死ぬだけ。外の世界に貴方のような人がいてくれて心残りはないわ。」 「そ、そんなの出来ませんわ！」 鈴谷は声を震わせて拒否する。 #Fallout鎮守府

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「いいえ。もう私は200年も生きた。充分よ。それに、殺さなかったら永遠にここに閉じ込められる……それは、もういやよ。」 「だからって……」 熊野が躊躇していると、後ろから銃声が響き老婦人は倒れ伏す。 「鈴谷……！？」 #Fallout鎮守府

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鈴谷が10ｍｍ拳銃を構え、老婦人の後ろに立っていたのだ。 「お疲れ、熊野。」 「……あ、貴方なんで……」 「ま、望みだから仕方なくね。このお婆ちゃんの望みだし……」 鈴谷はそっと背を向けると、熊野は鈴谷につかみかかる。 「なんて事をしましたの……！？」 #Fallout鎮守府

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「この人を救う手段は殺すことしかないんだよ、熊野。殺さなかったらこの状況どうするつもりだったわけ？」 「そ、それは……」 鈴谷に言われ、熊野は言葉に詰まってしまう。 「覚えておきなよ、熊野。ウェイストランドじゃ血無しに物は得られない、って。」 #Fallout鎮守府

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「……」 納得できないのか熊野は言葉に詰まるが、鈴谷は熊野の手を引く。 「それじゃ、帰るよ。」 そこで再び熊野の視界が暗転し、気がつくとシミュレーターのポッド内部に戻っていた。 ポッドの扉が開き、熊野はポッドから降りる。 #Fallout鎮守府

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「お疲れ様。」 鈴谷が熊野に近づいてくるが、熊野は感情のまま鈴谷を平手打ちする。 「っつー……酷いよ熊野……」 「よくそんな調子で近づけますわね、あんな決断を下しておいて。」 ツンとした口調で熊野は答えると、鈴谷は首を振る。 #Fallout鎮守府

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「ああする以外にどうすればよかったわけ？」 「……そ、それはわかりませんわ。でも割り切れるわけないでしょう！？こんなの……」 熊野が思わず肩を震わせ涙をこぼすと、そっと鈴谷が涙を拭く。 「……ごめん、相談しなかったのは悪かったよ。」 #Fallout鎮守府

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泣かせてしまったことが悪いと思ったのか、鈴谷は申し訳なさそうにする。 「……鈴谷の言うことは分かりますわ……でも……心の準備とかいろいろとありますわ……」 「……そうだよね。ごめん。」 鈴谷は表情を暗くしながら出口に戻っていく。 #Fallout鎮守府

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熊野も鈴谷に続き、Vaultの出口へと向かう。 望んでいたものすべてが手に入ったが、彼女たちの心が晴れることはなかった。 #Fallout鎮守府