【ミイラレ!第十二話:古椿の小槌のこと】(実況付き)
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……三人の怪異たちが霧に包まれるのを、四季は見ていた。中から聞こえる轟音に、彼は息を呑む。「さて」その声に、初めて彼の意識は動き出した。慌てて向き直る。包帯の怪人へと。「これでお前の守りはなくなった」怪人……晒野忍は腕組みし、淡々と言った。13 #4215tk
2015-08-18 19:51:03「退魔師たちは手一杯。厄介な天狗と山姫も、まあトリル殿に任せておけば問題はあるまい」すう、と目が細められる。「つまり、あとはお前を捕らえるだけだ」「と、捕らえるって言われてもね……」ひとまず構えた四季はゆっくりと後退る。「斬られるのはちょっと、ごめんかな」14 #4215tk
2015-08-18 19:54:05「そうか。残念だな」ゆっくりと近づきながら忍。刀には手をかけない。「正直なところ、私としては自分の手でお前に包帯を巻いてやりたいんだ……そうするとより強固になるからな。わかるか?」「ああ、そう。そういうもんなんだね?」「そうだ。お前はぜひ同族にしたい」15 #4215tk
2015-08-18 19:57:04ぎらり、とその目に一瞬だけ光が灯り、消える。「が、それをやったらトリル殿に何をされるかわからんのでな。なので今回、お前に限っては切った張ったはなしだ」「それは……ありがたいね」「代わりにこちらを使う」そう言って取り出したのは小さな注射器だ。中には緑色の液体。16 #4215tk
2015-08-18 20:00:34あからさまに危険であるとわかるそれに、四季は思わず身を引いた。「待って。トンカラトンってそんなこともできるの?」「いや。これは取り込んでおいた『注射男』の力だな」怪人が口角を吊り上げ、一歩近づく。「なに、そう警戒するな。痛いのは一瞬だけだ。すぐに良くなる」17 #4215tk
2015-08-18 20:03:21「悪いけどお断りしますッ!」言い捨てて四季は背を向け全力疾走!ひとまず退魔師の誰かと合流しないことにはなにもできない!目の前には分身が立ちはだかり、背中から風を切って何かが飛んでくる。彼は反射的に横に跳ねた。見ると、先ほどの注射器が通り過ぎていくところだ。18 #4215tk
2015-08-18 20:06:05調べてみたら注射男も全身包帯だらけの姿の怪人だから… 取り込んでも姿とかに影響し無さそうな感じでトンカラトンとは相性が良さそうだなぁ…。 #4215tk
2015-08-18 20:06:09ぶすり、と注射器が分身に突き刺さる。ひとりでに中の液体が押し込まれていく。びくん、と痙攣した分身が倒れ、泡を吹いた。『中身入り』だったらしい。「絶対やばい薬でしょこれ!死ぬよ!」思わず叫ぶ四季は、後方から風切り音を聞いた。それも、複数の。19 #4215tk
2015-08-18 20:09:05「うわーっ!?」体が勝手に動き、側転する。その度に注射器が通り過ぎていく!『あっぶねーなァ、本当もう!』『ナナ!?』脳裏に聞こえた声に、四季は驚く。あの小さな怪異の声が、再び頭に響いた。『天狗の姐さんから頼まれた!悪いけどしばらく体借りるぜ、大将!』20 #4215tk
2015-08-18 20:12:03◇ミイラレ図鑑P.33: 南池 奈留(なんち なる) 山ン本組四天王の一人、『ナンチのリギョ』。他の三人に比べ妖術は劣るものの、格闘戦においてはずば抜けた実力を誇る。努力家であり、常に霊力を吸収する機会を狙っている。 #4215tk
2015-08-18 20:20:34◇ミイラレ図鑑P.34: 真中 仁女(まなか ひとめ) 一つ目の怪異。ある種の疫病神であり、凝視した相手の精神を削り、相手の匂いを通して霊気を奪って死に至らしめる。常に『妹』である四人の怪異と行動するという奇妙な習性がある。 #4215tk
2015-08-18 20:30:04ぶすり、と注射器が分身に突き刺さる。ひとりでに中の液体が押し込まれていく。びくん、と痙攣した分身が倒れ、泡を吹いた。『中身入り』だったらしい。「絶対やばい薬でしょこれ!死ぬよ!」思わず叫ぶ四季は、後方から風切り音を聞いた。それも、複数の。19 #4215tk
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