- RiverInWestern
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「あ、あの!今抱くって聞こえたんだけど!」「そりゃそうですよ。そう言ったんですから」「そんなんで……その、治るの?」「治ります。ほら、ぼやぼやしてないで行ってください。あとでながれ殿にも同じことをしてもらわにゃならんのですから」どん、と背中を押される。59 #4215tk
2015-08-22 19:21:14後でながれさんも抱く≒戦いで負傷すれば四季君に抱いて貰える 小雨さんとかめっちゃ頑張りそうなアレじゃないの?それって…。 #4215tk
2015-08-22 19:24:56よろめきつつも花子の元まで辿り着いた四季は、改めて彼女を見下ろす。死体のように青ざめ、眠るように目を閉じている。呼吸ひとつしていない。「ほら、早く」「……わかったよ!」急かしてくる巡に答えてから、彼は意を決して花子を抱き上げる。その体はやけに軽かった。60 #4215tk
2015-08-22 19:26:43「……えっと、これからどうすればいいの?」ひとまず花子を抱きしめつつ、彼は巡に意見を伺う。「そのままで大丈夫です。いやあ、これで一安心ですよ」本当だろうか?心配になった四季が、さらに言い募ろうとしたそのときだ。花子がわずかに身じろぎした。「ん……四季、か?」61 #4215tk
2015-08-22 19:30:11「花子さん!その……大丈夫!?」「騒ぐな、うるせえ」不機嫌そうに呟いた彼女は、しかしニヤリと笑った。「でも、大丈夫だ。悪いけど少し霊気もらうぞ」「え?う、うん」意味もわからず頷く。途端、四季は一瞬だけ目眩を覚える。何かを吸い上げられるような異様な感覚。62 #4215tk
2015-08-22 19:33:08「ふー……!」花子が深く息を吸い、吐いた。直後、濡れた音を立てて肩から新たな両腕が生えてくる。さすがに目を丸くする四季に構わず、花子は再生した両手を握り、開いた。「よし、万事問題なし。……ありがとな、四季。助かった!」そして、改めて彼を抱きしめたのだった。63 #4215tk
2015-08-22 19:36:05◇ミイラレ図鑑P.37: 東野 美姫(とうや みき) 山ン本組四天王の一人、『トウヤのバズ』。常に首切れ馬の背に乗って現れる。非凡な再生力の持ち主であり、四肢欠損程度の損傷なら即時に回復する。極端にマイペースな性格であり、現在は自身の百鬼夜行を形成しているとも。 #4215tk
2015-08-22 20:20:13◇ミイラレ図鑑P.38: 周防 水歌(すおう すいか) 四季の近所に住んでいた怪異の一人、『大蝦蟇』。今でも時々四季の実家を訪れては母親の手伝いなどをしているようだ。温厚な性格だがその戦闘力は侮れない。しかし蛇は大の苦手であるようだ。 #4215tk
2015-08-22 20:30:09思わず四季は硬直する。こんなにも早く回復するとは思わなかったし、改めて今の状況を思い直すと恥ずかしくなってきたのだ。「え、えと、花子さん、その」「あー、悪いけどもう少しこのままでいさせろ。疲れてんだ、あたしは」「えええ……」情けない声が漏れる。64 #4215tk
2015-08-23 20:06:25「いい加減にしな」困り果てる四季を救ったのは巡だった。足早に近づき、あっさりと花子を引き剥がす。「なっ、なにすんだよ!?」「もう回復したんだろ?消耗してる怪異はまだいるんだ。いつまでも若旦那を占有してんじゃない」厳しい表情で言われ、渋々と花子が口を噤む。65 #4215tk
2015-08-23 20:09:05「では若旦那、次は僧正坊殿をお願いします」四季の言葉を待たず、鬼女は天狗を彼に押しつける。彼は苦い顔をしつつも、その言葉に従い、ながれを抱えた。「すまんの、四季坊。ちと遅れをとったわ」すでに意識を取り戻していたらしいながれが、顔を歪める。66 #4215tk
2015-08-23 20:12:10「無理しないで。……でも、その、これだけで大丈夫?」「充分じゃ。おぬしの霊気は質も量も良いからの」気持ち良さげに目を細め、天狗が言う。そういうものなのだろうか。四季は首を傾げる。今ひとつ実感が湧かない。と、今度は寝室のドアがノックされる。「失礼いたします!」67 #4215tk
2015-08-23 20:15:22返事を待たずに入ってきたのは春だ。そして、彼女が引きずるように連れてきたのは「小雨!?」四季は驚愕する。まだあの公園に残っていたはずの彼女が、なぜここに。「あのまま放っておくのもなんだったので、あたいの判断でこちらに呼びました」彼女はことも投げに言う。68 #4215tk
2015-08-23 20:18:04