狭間】青紫の花と香り高い星の花、銀のやわらかいリボンをかけた花束を携えて、とにかく高いところに———この辺りでは、いちばん空に近いところに、やってくる。風が吹いている。ちぎれた雲が流れてゆく。
2015-08-18 13:32:09狭間】連れと自分の、髪が揺れる。服がはためく。青い紙と星のセロファンに包まれて、花の首もさらさらと揺れる。ジャスミンの甘い匂いが立つ。
2015-08-18 13:34:13ハイジ】片手に先ほど仕立てて貰ったばかりの花束を持って高いビルの屋上で風に吹かれる。ふあ、と深呼吸すれば都会のホコリっぽいような風が肺に吹き込まれる。
2015-08-18 13:33:31狭間】相手の持つ花束をちらりと横目で見て、それから都会の、くすんだような、それでも青い空をみあげて、しばらくのあいだ風に吹かれるまま、並んで、黙って立っている。
2015-08-18 13:36:25狭間】どこに行けば、渡せるのか、わからないなと思う。当然もう二度と会えはしない。それは前提にあってその上で、どうしたら渡せるのかと、そのイメージがちっとも湧かない。いない。会えない。だからきっと、これは彼女のためじゃなく、自分と彼のための行いなのだと、今のところ自分は思っている。
2015-08-18 13:40:56@c_yu_n ハイジ】「フーカにな、」都会の灰色の街並みを眼下に見下ろしながら言葉を紡ぎだす。夜に比べて日中は四角い箱が乱立しているだけのように見えなくもない街はぼんやりとする。夜の方がカラフルなネオンや窓の明かりがメリハリを持ってもっとはっきり見えたような気がする。
2015-08-18 13:42:24@c_yu_n ハイジ】んんん、と目頭に皺を寄せて灰色の波を睨む。びりびりと身体の静電気が弾ける。「まえによぉ、みせてやったんだよ。電気でよぉ…」言いながら探しているのは電源だ。細い電線や、ビルに使われている電流を目視で探し異能を発動することでそこに引き出せるものがあるのを感じる
2015-08-18 13:49:45@HaKo_723 狭間】「……、」そうか、と思って、答えない。聞いている気配だけ滲ませる。電気。そうか、と思う……ずっと昔に感じられるほどの近い冬の夜に、自分も見せてもらった遠い電気の流れをふっと思う。錯覚か、ぴり、と空気が帯電しているように感じる。
2015-08-18 13:53:29狭間】フーカ。風香。源風香。彼が呼ぶ名前を聴いて、ふと思う。そういえば結局、自分は、自分からの彼女の呼び方を、風香さんとも風香とも、彼女ともあの子とも、…きみともおまえとも、固定させることはないまま、終わってしまった、とふと考える。
2015-08-18 13:54:26狭間】耳の先に風の流れを感じる。淡く光るような気流の流れを見送る。丁寧に、気をつけて、影の足場でずっと、このくらいの高いところまで連れていってくれた子はもういないなあ、たぶん、とぼんやり思う。電気。遠い遠い灯りまでを、ふっと操ってみせた力。風にそわせて彩った光。イメージが混ざる。
2015-08-18 13:59:38狭間】あかるい昼の空の下で、延々と遠くまでつづく灰色の建物のてっぺんと川の流れと、遠くに黒っぽく見える海を臨んで、なんだか途方もない気持ちで、如月ハイジの隣に立っている。空気中の電子とか電波のことを思う。強い流れの中に、ジャスミンの香りが黙ってただよっている。
2015-08-18 14:03:28@c_yu_n ハイジ】「んー、…」眼下の街でぱちり、ぱちりとまばらに発光する電気が発生する。今ここで、それを再現しようとするのは彼女にまた見せたいからなのか、それは自分の中でもよく理解はしていない。
2015-08-18 14:03:13@HaKo_723 狭間】ちいさな雷のようなものが閃くのを、視界のはし、眼下の街に見るような気がする。錯覚のような、一瞬光ってはきえる、白いホタル火のような。波に砕ける飛沫のような。視線を、そちらにちょっと、向けなおす。
2015-08-18 14:06:17@c_yu_n ハイジ】あの時はどうやったか、と感覚を思い出しながら、糸を目を瞑り結ぶような感覚で電流を探る。どうしても時間がかかってしまうのは繊細なことが苦手なせいもあるだろう。「ちっと、…けっこ、むずい」んむむ、と表情が困って笑う。
2015-08-18 14:12:45@HaKo_723 狭間】「…そっか、」横目を向けなおして、ちら、と笑う。それを再現しようとしてるんだな、と思って、「…花、持っとこうか?」それが集中を澄ます手伝いになるかどうかは分からないけど、そうやってちょっと、手をのばしてみる。
2015-08-18 14:14:46@c_yu_n ハイジ】「もってて、」その声に、ちらと彼を見て花束を持った手をのばそう。揺れるたびにふわりと香りが漂う。それを渡せたら深呼吸して再び街に向かおう。
2015-08-18 14:20:29@HaKo_723 狭間】「ん、」受けとる。受けとって、…一歩、後ろに退こうかどうしようか迷って、「………、」結局、そのまま隣にとどまる。銀色のリボンが揺れる蒼い花束を持って、隣に立って、同じように白っぽい灰っぽい乱立する街を臨む。
2015-08-18 14:23:34@c_yu_n ハイジ】ぱち、ぱち、と耳元でも帯電した電気が弾ける。一つ電流を引き寄せると、空中で白く光りながら隣に立つシュンの目の前にサカナのように舞い上がろう。「これをな、…」頭の中でその電気の流れをイメージする。すると高速で回転する電流が星の形を描く流れになる。
2015-08-18 14:32:07@HaKo_723 狭間】「ん、」いきもののように踊りあがった電気のサカナに少し鼻先を引く。花束を抱えたまま、くるくると動くそれをみる。明るい日射しの中にも、それの軌跡はぱちぱちと星を描く。目を瞬く。
2015-08-18 14:36:47@c_yu_n ハイジ】この操作がなかなか集中力を使い疲れやすい。ぴん、と弾かれたようにその星をかたどった電流はそのまま空の彼方へ放たれ、異能の操作から解放される。わずかな白い光を残してそれは空に溶ける。「これ見せたら、すーげぇ喜んだんだ」少し得意げに言う。
2015-08-18 14:40:11