４月２７日２　花を送るエンカ

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】ぴィん、と細い弦が弾かれたような微かな音をたててスッと空中を走って空にきえた星の閃きを目で追って、「……、」また目を瞬いて、それから、相手の顔に目を向ける。「…そっか。綺麗だ、って？」こころもち誇らしげな声に、想像して、小さく肩を竦めて笑う。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「そ、きれえってさ、」照れて頭を掻く。それから再び街を見下ろす。じじじ、と身体の中の電気がざわめきながらいっそう集中すれば、街の中に漏電した電気が細い糸のようにふよふよと彷徨うように見える。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「そか、……、」街に目線を向けなおしたのを見て、自分も、ふたたびその光景に目を向ける。遠い海の黒。海の波を思い、風の波を思い、そして、はじけた電気の飛沫を思って、街を覆う電気の波を思う。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】自分にはそれは見えないけれど、眼下の街がすべてその、電子の波に沈んでいるさまを思う。ひたひたと足元のコンクリート壁を、電波の波が洗う。沈んだ街を、人々が歩いて自動車がめぐる。彼女が、見えない海に沈んだ街のどこかで、胸の上に指を組んで、静かに眠っていることを、想像する。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】「……、」ふう、っと僅かな風をゆらめかせる。ゆっくりとした時計回りの流れを、自分と隣の相手とを包んで、その周囲に静かに流れさせる。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】見てたらいいな、とは思っている。目を凝らすよう集中し、彷徨う糸一つ一つに指令を与えるようにして視線を走らせる。街の上空に浮かぶ電流を身体の中でも感じてくれば上手くいくような気がしてくる。それでも慎重に扱うためどうしても黙ってしまう。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「……」こちらも、黙って風景に向かっている。街の上空を吹く高い自然な風と、渦を巻いてそよそよとした凪をつくる風とが自分たちをとりまく。雲がいくつか、流れてゆく。誰かに呼びかけるような気持ちは、あまり湧かない。ただ黙っている。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】目を閉じたいような、瞑っていたいような気がしたけれど開けておく。いつもの日々と何ら変わりないような、トーキョーの建物の並ぶ光景が、遠く霞むまで続いている。飛行機が遠くで飛ぶ。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】思い描いて、それを再現しよう。次第に、街のビルの影の中で、ちりちりとマリンスノーのように白い電気が光り出す。そこに星空を作り出す。街にいる人からも見えているかもしれない。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「！」ちらちらと、揺れる波影のような光が、見えるような気がする。それらに向けて、静かに風の波を寄せてゆく。電気と風ではきっと干渉しないけれど、ただそうしたいと思う。鈴の音や雪のかけらのようにぱちぱちと揺れてははじけてまた生み出される光を、綺麗だ、と思う…

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】あの子も、もういちどここに、いればよかったのにな、と思う。あの子に風を光で彩ってもらえたら、俺らみんなでこの光景を見れたのにな、と考える。もういないから、残念だな、と静かに思う。思ってやっぱり、静かに笑う。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】ちらちらと光って立ちのぼる、マリンスノーを目で追って、

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「んんーっ、」めいいっぱいの集中力をつかってから、うああ、と大きく息を吐けば、その電気のチリが最後にしゅん、と上空にまっすぐ流星のシャワーのように飛び上がった。「つっかれた…」肩を揺らしてはふ、と空に向かい溜め息を零す。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】ぱっ、とひといきに天に昇っていった星屑の軌跡をみる。「……、」ほう、と口をあけ、一瞬だけ焼けついた、その軌跡の名残りを惜しむ。街を見ている。そうして、喋る言葉を考える。黙っている。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】彼女に、また見せたかったなぁと思うから、今こうやってここで星を作るのは彼女に向けてなのだろう。隣で黙っている彼に、顔を向けることはなく気配を感じたまま少し黙る。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「……届くと、いいな」消えた星屑について、それだけ、言う。彼女と同じにどこかに消えていった光だから、それは、言える、と思って、だから届けばいいな、とそれを言う。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「！、な！」ぱ、と彼の方を見て、歯を見せて笑う。「届いたらいいな」もう一度空を見上げてみれば、ほんのり風に乗って花の甘い香りがする。それにつられて彼に預けた花束に目を向ける。「それ…どこにそなえっかな」

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】ぱ、と開いた笑顔を見てから、蒼い花束に目を落とす。「……そうだな。どうしようか、」少し思いつきを考えながら、言う。ゆるゆると風を動かす。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「…ハイジは、どっか、これ持ってきたいとこ、ある？」花束に目を落としながら、ゆっくりと訊く。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「水族館…はぁ無理だもんなァ」さすがになぁ、と頭を掻く。「アイツ…家ドコだっけ、」そう言えば知らないな、と思ってシュンにぱちくりと瞬きをする。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「…家は、分かんないなあ、」困ったように肩を竦めてみせて、すこし笑う。「……それに、今度は、水の底にはいないような…気が、するよ」半ば願望かもしれないが、ふと、ただそういう気がするという思いつきだけで述べて、そっと腕をのばして花束を街にむけて差し出す。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】強い香りが淡く立ちのぼって、りんどうの青紫の花の首がいくつか、そっと重たげに揺れる。銀色の柔らかいリボンの端がすこしばかり閃く。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「…アイツのこと、ちゃんと知らねぇよな俺」肩を竦める。それから彼の動作に目を向けて、見守るようにする。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「…俺も、知らなかったな。もっと知ればよかったかな…けど、まあ、仕方ないよな」小さく笑う。それから、目だけを相手に向ける。「…俺に、任せてもらっていい？　これ、」花束を、と、蒼いブーケを、のばした腕の先で小さく揺すって、尋ねる。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「…そっとも、おまえが持っていきたい？」どこかに、と、少し笑顔を向けるように、重ねて訊く。