エンターテイナー(大道芸)社会・・・農業以外の産業は大道芸?めざす未来は共楽社会?

戦前までの経済学では、農業だけが食糧を生産でき、そのほかの産業は食糧を消費するだけの「消費者」であることを強く意識していた。その視点に立ち戻ると、いろいろなことが見えてくる。
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shinshinohara @ShinShinohara

極論、単純化すれば、食糧を生産する農業だけが「生産的産業」であり、それ以外の職業はすべて食糧を食って消費するだけの「消費的産業」。自動車産業もスマホもアプリも、現在一世を風靡する職業は皆そう。「いつもより多く回っています」大道芸と同様、人を楽しませ、食糧の分け前をもらう職業。

2015-08-20 18:09:06
shinshinohara @ShinShinohara

お金は「食糧配給券」のようなもの。人を楽しませてお金という食糧配給券を手に入れ、唯一の生産的産業である農業から、食糧を分けてもらう。どれだけ自動車産業やスマホがきらびやかに見える職業でも、食糧を作ることができず、ただ消費するだけの産業だという事実は揺るがない。

2015-08-20 18:13:07
shinshinohara @ShinShinohara

この考え方は、昔は当然だった。アダム・スミスやリカードなど、初期の経済学は驚くほど農業の話ばかりする。現在の経済新聞が自動車とかスマホとかの話ばかりなのとは大違い。昔は食糧を生産する農業こそが経済の主体であると認識されていた。

2015-08-20 18:15:38
shinshinohara @ShinShinohara

様子が大きく変わったのは戦後。GDPに占める農業の存在感がどんどん低下し、工業とサービス業(第2次産業、第3次産業)が伸びた。今や農業は、世界一の農業国であるアメリカでもGDPの1%を占めるだけ。「生産的産業」である農業の地位が低下し、「消費的産業」である他産業が経済を支配した。

2015-08-20 18:18:54
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ「消費的産業」が経済を支配し、食糧を生産する唯一の産業である農業が衰退してしまったのか。理由は3つ。①「石油が耕すようになった」、②「共産主義への恐怖」、③「大衆消費」の成立、である。

2015-08-20 18:21:47
shinshinohara @ShinShinohara

①「石油が耕すようになった」 戦前、農耕地は人力で耕すのが基本。しかし戦後、石油エネルギーで動くトラクターのおかげで、たった一人で大面積を耕せるようになった。化石エネルギーで作った化学肥料や農薬が生産量を激増させた。石油のおかげで、少人数で大量の食糧を作れるようになった。

2015-08-20 18:26:38
shinshinohara @ShinShinohara

②共産主義への恐怖 産業革命により、手工業がアウトになると、低賃金で過酷な労働を強いられる労働者が増えた。その労働者たちの不満を吸収する形で共産主義が生まれた。ソ連を中心として、共産主義国が次々誕生した。「共産主義国になれば全財産を失うかもしれない」と資本家たちは恐怖した。

2015-08-20 18:30:28
shinshinohara @ShinShinohara

戦後、西側先進国は共産主義化を防ぐため、それまで放置していた「農村からあぶれた人々」を、工業やサービス業でどんどん雇用し、収入も保障する政策をとった。資本家たちは、共産主義になって全財産を失うことを嫌い、この動きを容認した。資本主義国も「プチ共産化」し、共産主義の侵入を防いだ。

2015-08-20 18:34:46
shinshinohara @ShinShinohara

③「大衆消費」の成立 雇用が確保され収入も安定した一般庶民は旺盛に消費した。自動車、冷蔵庫、クーラー、等々。大量のお金が食糧以外の消費のために使われた。「食べる」よりも「楽しむ」ことにお金を使うようになった。農業という唯一の「生産的産業」が相対的に小さくなった原因。

2015-08-20 18:40:14
shinshinohara @ShinShinohara

しかしソ連崩壊から状況が変わった。「共産主義への恐怖」がなくなったのだ。共産主義への恐怖があったからこそ資本家は、企業が多くの雇用を抱え、高めの給料を支払うことを認め、投資の見返りが小さくなることも我慢してきた。共産主義国になって全財産を失うよりましだったからだ。

2015-08-20 18:42:34
shinshinohara @ShinShinohara

しかしもう、共産主義は怖くない。ソ連が崩壊して共産主義は勢いを失った。資本主義国が共産主義国になるリスクはほとんどなくなった。資本家は、自分たちの投資したお金が、労働者に渡すことを惜しむようになった。もっとリターンをよこせ!そのための規制緩和を!と叫ぶようになった。

2015-08-20 18:46:01
shinshinohara @ShinShinohara

技術の進歩が資本家の追い風になっている。ロボットや人工知能の発達により、人間に働いてもらわなくてもよくなった。少ない人数で多くの仕事をこなせる。企業に「新技術を導入し、コストとなる雇用を減らせ」と圧力をかけ、浮いたお金を投資の見返りとして資本家に渡すよう、要求し始めた。

2015-08-20 18:49:20
shinshinohara @ShinShinohara

この状況をオブラートに包むため、「多くの仕事がロボットや人工知能に奪われる、創造性の高い人間だけが仕事にありつける」と説明する論調を展開。「雇用は確保するよ、だけど創造性のあるわずかな人間だけね。創造性がないなら餓死しても自業自得」。そうすれば資本家は、労働者に金を渡さずに済む。

2015-08-20 18:53:59
shinshinohara @ShinShinohara

「イノベーション」と騒がれる背景には、創造的な仕事ができる人間だけは「選ばれた人」として雇用を保証する代わり、それ以外の人間は雇用も収入も保障しない、生きていけるギリギリの賃金がもらえるだけでもありがたいと思え、という社会にシフトしよう、という隠れた意図が読み取れる。

2015-08-20 18:55:48
shinshinohara @ShinShinohara

企業が正社員を雇わなくなり、非正規労働が増え、賃金が減る一方、株主(資本家)には見返りを厚くし、「トリクルダウン」なる論理を展開して、資本家が儲かればそのおこぼれ(トリクルダウン)にあずかれるかもよ、という期待だけを振りまくのは、こうした背景があると考えると理解しやすい。

2015-08-20 18:58:40
shinshinohara @ShinShinohara

大量のお金を牛耳るお金持ち(資本家)が、自分たちのところにもっとお金が流れ込むよう、自分たちに都合のよい社会の仕組みを作ろうとしている、と考えると、いろいろ分かりやすい。「共産主義への恐怖」が失われたことで、この動きが一層加速したと言える。

2015-08-20 19:01:37
shinshinohara @ShinShinohara

資本家は、自分たちがお金持ちになるのはそれだけの努力をしたからだ、と正当化することができるよう、能力主義や創造性、という言葉を持ち出しているのではないか、というのが「21世紀の資本」の著者、ピケティ氏の指摘。これはなかなか慧眼に思われる。

2015-08-20 19:03:10
shinshinohara @ShinShinohara

しかしもう一度思い出そう。この世で生産的な産業は唯一、食糧を作る農業だけであり、その他の仕事は資本家だろうが労働者だろうが、その食糧を消耗するだけの「消費的産業」であることを。そして農業以外の仕事は「いつもより多く回っています」と人を楽しませて食べる、大道芸みたいなものだ、と。

2015-08-20 19:06:02
shinshinohara @ShinShinohara

ならば、お金の流れを牛耳っているからと言って、資本家だけが豊かになるのはおかしい。資本家だって、食糧を作る農業に従事していないならただの「消費者」でしかない。なにも生産などしていない。偉そうにする理由などどこにもない。

2015-08-20 19:08:32
shinshinohara @ShinShinohara

農業以外の産業は、「いつもより多く回っています」と人を楽しませて食糧をもらう職業なのだとしたら、農家以外は、資本家とか労働者だとか関係なく、みな「消費者」なのだ。農業が全員を食べさせるのに十分な量を生産できているのであれば、何らかの方法で全員に分配できる仕組みを考えればよいこと。

2015-08-20 19:11:00
shinshinohara @ShinShinohara

ところが資本家が何を思ってか、最近は意地悪になって、雇用を減らし、給料を減らして自分たちの分け前を増やすことにばかり集中している。しかしそんなことを続けていたら、いくら「共産主義への恐怖」が薄れたからと言って、代わりの革命思想が資本家たちの安全を脅かさないとも限らない。

2015-08-20 19:12:23
shinshinohara @ShinShinohara

雇用を確保し、収入も保障する。そうすれば、「食糧配給券」でもあるお金が皆に行き渡り、皆が安心して食べられる。農業が全員を養えるだけの食糧を作ってさえいれば、あとは分配だけの問題。資本家も、「ネオ共産主義」ですべてを失うくらいなら、その仕組みを支える意識を持ってもよいのではないか。

2015-08-20 19:15:17
shinshinohara @ShinShinohara

イノベーションだとか創造性だとか、なんだか難しいことを言わなくても、どうせ農業以外の仕事は「いつもより多く回っています」と人を楽しませるものなのだ、と割り切れば、「人を楽しませる」のがこれからの職業の在り方だ、と考えれば済むこと。そう。農業以外の仕事は、人を楽しませればよいのだ。

2015-08-20 19:17:02
shinshinohara @ShinShinohara

農業は、今後も全員を養うだけの十分な食料を確保する。農業以外の仕事に就く人は、人を楽しませる何かを考え、行動すれば、食糧の分配にあずかれる。そう考えれば、世の中はずっとシンプルに理解できるのではないか。その社会では、資本家もきっと楽しめる。エンターテイナーが無数にいるのだから。

2015-08-20 19:18:51
shinshinohara @ShinShinohara

目指すべき未来は「共楽社会」かもしれない。農業が十分な量の食料を確保したら、他のみんなは人を楽しませるネタを考え続ける。面白ネタを出した人は美味な分け前を多めに。ネタが出ない間は食えるけどおいしくないかも。いつか新ネタが出たらめでたく美味な分け前。そうしてみんなが楽しむ社会。

2015-08-20 19:23:34