「理不尽」への耐性

非常にまれなケースだが、「成績が超優秀」で「人格者」の子どもだからこそ不登校になってしまうケースがある。その原因は「理不尽な目に出会ったことがない」ことにあるらしい。
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shinshinohara @ShinShinohara

「教える」という行為は「余計なこと」であることが多い。本人が学ぶに任せ、余計なことをしない方が、本人の学習意欲を損ねず、能力を最大限引き出すことにつながりやすい。しかし教えようとするとかえって学習意欲を沮喪し、能力の進歩が途絶えやすい。

2015-08-21 18:20:40
shinshinohara @ShinShinohara

「教える」というのは盆栽に似ているかもしれない。盆栽の松は、風雪に耐えた姿になるよう、枝をバシバシ切られたり捻じ曲げられたり、それはそれはかわいそうな目に合う。そして見事な盆栽が出来上がるが、その姿はまさに風雪に耐えて屈折した可哀想なものとなる。

2015-08-21 18:23:12
shinshinohara @ShinShinohara

変に教えようとせず、本人の学ぶ意欲を邪魔しないようにすると、どこまでもスクスクと育つ。台風もなく土壌も豊かなカナダの大地で育つ針葉樹が超巨大に育つように。邪魔さえしなければ、本人が持つ素質を存分に進展させる。しかし、一つ注意せねばならないことがある。

2015-08-21 18:25:29
shinshinohara @ShinShinohara

あまりノン・ストレスだとポッキリ折れやすいということだ。もしカナダの巨木が日本の台風に出会ったとしたら、根こそぎ折れてしまいかねない。日本の樹木は毎年台風にさらされ、それに耐える力を身に着ける。カナダのような巨木には育たないが、日本の風土で生きる力をもつ。

2015-08-21 18:27:22
shinshinohara @ShinShinohara

不登校には様々な理由があるので一概に言えないが、これまでに4例、「なぜ不登校になったのか分からない」と周囲が不審に思った事例がある。その4例はいずれも成績優秀、やさしく、努力家。人に恨まれるようなことは一つもしない。誰からも愛される性格。なのに不登校になった。皆が不思議がった。

2015-08-21 18:30:39
shinshinohara @ShinShinohara

その4例について共通するのは「理不尽に出会ったことがない」子ばかりだった、ということだった。皆とてもよい子で、叱るような理由もないので親から叱られたこともやかましく言われることもなく、実にのびのびと育てられた。よくできた子なので周囲からも愛された。理不尽にあったことがなかった。

2015-08-21 18:33:20
shinshinohara @ShinShinohara

しかし大学になると変な人がいる。完全に非合理な人がいる。研究室に所属すると逃げ道がない。逃げ道がないうえに理不尽な目に合う。すると、それまで理不尽に出会ったことのない人はビックリし、いったいどう対処してよいのか混乱してしまう。え?なんでこの人はこんなことするの?理解不能。

2015-08-21 18:36:23
shinshinohara @ShinShinohara

あまりによい子だったので、人を憎むとか、悪口を言う、愚痴を言うなどで気を晴らす、という、普通の人だったら簡単にできる心理的処理ができない。不合理を真正面から受け止め、悩み、どう処理してよいかわからず、体調を崩したり心理的に不安定になり、不登校になってしまう。

2015-08-21 18:38:31
shinshinohara @ShinShinohara

この4例は「反抗期らしい反抗期がなかった」という共通点がある。あまりに出来の良い子なので親としても何も言うことがなく、うるさく言う必要がないから子供としても反抗する必要もなかったようだ。反抗すべき理不尽に出会ったことが、家庭の中では全くなかった。

2015-08-21 18:40:51
shinshinohara @ShinShinohara

しかもこの4例は不幸なことに、家庭の外でも理不尽な目にあったことがなかった。成績がトップクラスなのに威張るようなところはまるでなく、しかもやさしい人柄だから、クラスの意地悪な子も手を出すことがなかったようだ。しかも地域トップの進学校だから、意地悪な子と出会うこともなかった。

2015-08-21 18:43:21
shinshinohara @ShinShinohara

しかし大学の研究室に所属する場合は事情が変わる。ペーパーテストに強くても実験が下手、ということがあり得る。4例は少し不器用だった。すると先生や先輩から「へたくそ!ちょっと貸せ!」ときつめに言われることもある。きつめに言われたことさえなかった彼らは、それだけで衝撃を受けたようだ。

2015-08-21 18:47:01
shinshinohara @ShinShinohara

「それはこうするんだよ」と優しく言ってもらえば、理解能力の高い彼らもすぐ修正できる。実際、親はやさしく伝えることのできる、配慮のある人柄だから、きつめに言われたことがない。配慮ある人たちに育てられてきた。「お前へたくそだなあ」なんて余計なことは言わない。だからビックリする。

2015-08-21 18:49:45
shinshinohara @ShinShinohara

別にそんな余計なことを言わなくてもいいのに、なんであの人はそんな人を傷つけるような言葉を私に言ったのだろう?自分は何か悪いことをしただろうか? それまで人に嫌われたことがなく、悪く言われたこともない彼らは、理不尽に遭遇するという新事態に戸惑い、処理できなくなったようだ。

2015-08-21 18:51:50
shinshinohara @ShinShinohara

こうした事例は多いわけではない。親から叱られることがないほど聞き分けがよいこと、級友から意地悪されずに済むほど圧倒的な成績の良さと謙虚な性格を備えること、という諸条件は、そうそう達成できるものではない。だから多くはないのだが、どうも最近、そうした事例が増えているらしい。

2015-08-21 18:54:35
shinshinohara @ShinShinohara

成績もよく、親から見ても第三者から見ても性格的に申し分のない子供が不登校になるケースが、散見されるようになった。直接知る4例と同様、どうも「理不尽」に出会ったことがない、という共通点があるようである。

2015-08-21 18:56:19
shinshinohara @ShinShinohara

非常に成績優秀で、性格も愛されるタイプで、特に叱るような理由が見当たらない子供である、という条件がすでにレアケースではあるが、もしそういう子どもである場合は、「理不尽慣れ」が必要になるかもしれない。意味不明な意地悪を受けた場合にどう処理するか。これは子どものうちに経験が必要だ。

2015-08-21 18:58:29
shinshinohara @ShinShinohara

超進学校に通うことで級友にも恵まれていて、性格も温厚、威張ることもない、反抗期もこれと言ってない、という場合は、少し用心した方がよい。理不尽にとても弱い人間になってしまうかもしれない。しかも人を憎むことができないので気持ちの処理ができず、いったん躓くとなかなか立ち直れない。

2015-08-21 19:01:08
shinshinohara @ShinShinohara

もちろん、超進学校に通っていても、人を見下す性格だったり威張ることが多い場合は、大学生になってから不登校になるというような心配はない。こういう人格はすぐ人のせいにできるので、悩みを自分の中に抱え込まない。人格のゆがみが皮肉にも、精神衛生を極端に悪化させずに済んでいる。

2015-08-21 19:03:20
shinshinohara @ShinShinohara

性格がよく成績も超優秀な子供は、少しだけ理不尽な目にあう経験があった方がよいようだ。意味不明な意地悪をする人が世の中にはいる、ということも知っておく必要がある。そして何らかの心理的処置がとれるよう、訓練をしておいた方がよい。

2015-08-21 19:05:17
shinshinohara @ShinShinohara

ひねくれてしまった盆栽まで行くと問題だが、日本に育つ樹木は台風に耐える程度には強靭さを保ちながら育っているように、ある程度の雨風をしのぐ強靭さは持つように子供を育てる必要がある。ただ成績が良くて性格がよいだけではなく、理不尽への強さも必要。それが実社会で生きる力となる。

2015-08-21 19:07:43