【邪悪の樹――三ツ牙】最終戦闘フェイズ――黎明の樹

これで終わり、これで、
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【無神論】アシーズモス @toe_atheis

小さく名前を呼んだ。誰にも聞こえないくらいの小さな声。和やかに挨拶を交わす気にはなれず、差し出された手をジッと見つめ——首を横に振った。 「それは困るな。彼は俺の『同胞』だ。置いていくことは出来ない」 金髪の女の宣言を拒否する。『無神論』の今の仲間は、『彼女』ではない。

2015-08-17 23:00:41
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

『彼女』が辿った道の、その原因を示唆されても、『無感動』を差し出す気には、なれなかった。

2015-08-17 23:03:40
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

「二人で掛かれば、『無神論(あいつ)』はきっと私たちの敵として割り込んでくる」 だから、醜悪の提示する後者は、選べない。 「だから、話す時間を貰えれば……」 無神論は、しかしその可能性も、ないと云った。

2015-08-17 23:18:28
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

「……あなたがただの仲間なら、ここで捨てれたのに」 下唇を、噛んだ。 「いいわ。  ……お望み通り、両手両足へし折って、  あなたの自由を奪ったうえで、  私はあなたを、私たちのいた世界へと連れて帰る」 それが、いまできる最善手なら、そうしよう。迷いはない。

2015-08-17 23:18:34
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

「傲慢だと、誹りなさい  私はあなたを奪うためなら、どんな痛みだって、……与えてみせる」 手首にスナップを効かせて、棍棒を握り込む。 いつでも来いと、云わんばかりに

2015-08-17 23:19:10
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

醜悪の紡いだ言葉に肩を竦める。 「生憎と殺されるのはゴメンだよ」 誰だってゴメンだろう。そのお腰に生えた腕を凝視する。悪く言えば悪趣味。最大限良く言えば前衛的。褒め言葉に当たるかはこちらも与り知らぬのだけれど。 「非常に残念だが……」

2015-08-17 23:50:39
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

はっきりと、彼の意志で拒絶の意を聞き届けた。それをきいてどこか安堵した自分がいた。 胸を撫で下ろし、2人のほうを再び見据える。 「……彼女はとても恐ろしい人なのだね」 "無神論"へと苦笑いを"造る"。盲目的な、直線とした眼は眩しい。 左腕を前へ、右腕を後方へとやり肘を立てる。

2015-08-17 23:51:56
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

向けられたのは、敵意か、殺意か。いいや、そのどちらでもない。『彼女』が向けてきたのは覚悟だ。その凛々しい面構えに、『無神論』は笑った。懐かしいと思ったのだ。そして同時に、自分は『彼女』には見合わないと思った。 「傲慢だとは思わない」 ……『無神論』は、太陽にはなれない。

2015-08-18 00:07:06
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「でも馬鹿だと思う。両手両足の使えない人間なんてただのお荷物だ。そんなの邪魔だろ?」 力を恐れ、侵すことを恐れ、死ぬことを恐れ、そして一番に自分が傷つくことを恐れた。目前の残酷を上手くすり替え、言い訳を重ね、自分と違う形をしたモノに心なんて無いと言い聞かせてようやっと戦えた。

2015-08-18 00:08:02
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「そんな価値なんてない。……放っておけば良かったんだ」 『無神論』は卑怯な鼠だ。袋の中で噛み付くことすら出来ない。同じ形をしたものを前にして、薄氷の覚悟が壊れた。だから死んだ。だから『彼』は『彼女』を置いて行った。

2015-08-18 00:08:20
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「……おれはおまえをすてたんだ」 呟いた。その言葉すら、恐ろしくて小さな声でしか出なかった。 「かみさまなんていない」 呟いた。表情のない顔であった。此方を見た『無感動』の言葉に笑った顔は、既に別人のようであった。

2015-08-18 00:08:33
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「そう。おっそろしい〜の。そんで、俺は怖いのは苦手」 だから早く終わらせて二人で帰ろう、手でも繋いでさ。そう言いながら、『無神論』は屈んで石畳に手をついた。 ——氷が奔る。金髪と茶髪、それぞれをそれぞれに串刺しにせんと、氷が二つの直線を石畳に描いて奔る。 ——ああ、指が冷たい。

2015-08-18 00:09:04
【醜悪】イアシィーミア @laidugly

「あらぁ、せっかち」 冷気が、塊を伴って走ってくる。しかしそれに対してやんわりと片目だけになった目尻を下げると、左腕を真横に突き出し、「【醜異】」と呟いた。瞬間、まるで反応したように【醜悪】の腕は伸長、煉瓦の屋根を掴む。そしてすぐにそれは収縮し、彼女の身体を屋根へと運ぶ。

2015-08-18 00:36:17
【醜悪】イアシィーミア @laidugly

それを終えるまでの間に、【醜悪】は腰から生えた手からナイフを投擲。標的は、雪のように白い男へのみ。

2015-08-18 00:36:22
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

「あなたは私を捨てた?  ……邪魔?  ……私はッ――あなたという男(ひと)が、そばにずっといてくれるなら、それが、それがたとえ動けなくてもいいぐらいです!」

2015-08-18 00:55:10
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

「でも、でも――それが死体なら意味がないじゃありませんか  少なくとも、私は屍にあなたがいると思えませんでした」 棍棒を振るう。石畳ごと砕き、そのうえで躱す。 だが、そのうえで、氷は左肩を撃ち抜いた。

2015-08-18 00:55:14
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

乖離した左腕が後方の家屋に氷漬けで突き刺さる。 「痛い、かな。けれど、――この機会を待っていた気がします」 それは、いつかの競いを思い出して、 「決着をつけましょう。勝った方が負けた方に、魂を屈服させる――というルールで」

2015-08-18 00:55:17
『貪欲』アプリストス @Ja3_donyoku

闘争心を剥き出しにした瞳。 ここで、決着をつけるという思い。 そして、全てを燃やし尽くすという、意志。 (両手両足、そして魂  全部、ぜんぶ、ぜんぶ……!  あなたを取り戻すために――!)

2015-08-18 00:55:21
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

『無神論』は『彼女』だけを見ていた。だから、金髪の女から放たれた物には気付かない。 「俺はお前を選ばなかった。お前を捨てた、裏切ったって言ってもいいくらいだ。そんな俺だって、お前はちゃんと分かってるのか?」 邪魔なものは、処分しておいた方がいいよと、のんびりした声で言う。

2015-08-18 01:50:29
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

氷が奔り、『彼女』の左肩を貫く。金髪の彼女は逃したが、初手にしては上々。立ち上がる。石畳についていた左手の、人差し指と中指が、パキンとガラスに罅が入ったかのような様相を呈している。 「俺は——……」 左手を動かし、その二本が動くかどうかを確認する。……動かない。

2015-08-18 01:50:48
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

『無神論』は笑顔で、氷となってしまった人差し指と中指を叩き壊した。 パラパラと、氷の欠片が落ちる。 「……——お前が生きている時は、五体満足で、笑っていて欲しいと思うよ。お前は、走り回ってるのが似合うから」 一歩、二歩。前へ進む。足下で氷の花が咲いては、砕ける。

2015-08-18 01:51:08
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「『無感動』、そっち、頼むな」 屋根の上へと跳び上がっていった『同胞』の背に声をかけ、笑う。そうしてまた『彼女』を見やり、左手で何かを握りこむような動作をする。現れたのは、氷の剣。『無神論』は笑った。

2015-08-18 01:51:19
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「そりゃあいいね。単純で分かりやすい。」 それじゃあ早速始めよう。『無神論』は何処か苦しげな目で笑って、石畳を蹴った。 まずは間合いを詰めて、横薙ぎに一閃だ。さて、上手くいくだろうか。

2015-08-18 01:52:51
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

"醜悪"が罪の名を呟いた。それが聞き取れずとも、確かにこの眼は見えた。 異質であった。腕は伸縮自在とでも言うように伸びて屋根へと昇っていった。しかし不審な動きをする"醜悪"への警戒は怠らん。こちらへと投擲された不思議な形でやってくるナイフを一呼吸の間の移動で避ける。 「ん……」

2015-08-18 01:36:50
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

屋根へと昇った異形を追いかけるべく、手摺に足をかけ、ベランダに腕を伸ばし跳躍。煉瓦の屋根を掴み、着地。再度構える。彼が愛用する異国の拳法。八極拳である。 "醜悪"へ接近し、肩から腕に気を巡らせ、両の手に気を意識する。そうし、"無感動"は開いた掌で"醜悪"の体躯へ打ち込まんとする。

2015-08-18 01:42:49
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