帝国海軍駆逐艦とラムネ製造機(だれかお教えください)→資料を読んで一応結論を出しました。

要目簿を見ると、駆逐艦には「搭載されていない」らしい「ラムネ製造機」。だとすると、戦記そのほかで「駆逐艦でラムネが作れた」というのは本当なのかどうなのか? 調べてみたけどわからないのでどなたか教えてください。コメントでの指導ありがとうございました。
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simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

この訓令によると横鎮、呉鎮、佐鎮長官あて海軍省大臣官房から(1コマ)、4コマめで訓令の内容が記載されている(舞鎮がないのは、当時軍縮条約により要港部に格下げされていたからである)。(続く)

2015-09-27 17:46:15
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

内容は『其府麾下所属ノ既成戦艦、巡洋戦艦、巡洋艦、航空母艦、潜水母艦、給糧艦及其他必要ヲ認メタル艦舷ニシテ「ラムネ」製造機ヲ有セサルモノニアリテハ此際艤装品トシテ装備方取計フベシ 右訓令ス(後略)』とある。

2015-09-27 17:52:51
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

口語でいいかえると「横須賀、呉、佐世保の各鎮守府長官は、自分の部下所属で竣工済みの戦艦、巡洋戦艦、巡洋艦、航空母艦、潜水母艦、給糧艦そのほか必要な艦船でラムネ製造機を取り付けていない艦があるのならば、この機会にすべて取りつけるように」ということである。

2015-09-27 17:56:05
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

この時点で駆逐艦は指定されていないから、時代的に吹雪型が装備していない、というのはおかしくないと思われる。では、島風が竣工時には搭載しておらず、その後この訓令に基づき「本艦にも必要である」ということの許可をもらうとするとどうなるか?

2015-09-27 17:58:20
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

実は同じ資料の7コマ目以降、間宮特務艦長入江洲平(たぶん大佐だと思われるがかかれていない)から海軍大臣岡田啓介大将宛て「間宮にラムネ製造機を設置したい」という上申書が書かれてある。本艦の場合は「夏季間宮ニテ清涼飲料ヲ供給スルハ艦隊乗員慰安上必要ナリ」とあり(続く)

2015-09-27 18:04:59
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

8コマ目以降にさらに詳細な理由が書かれてあるのである。島風にラムネ製造機を搭載したい、という上申が工事に見合うだけの価値があるかどうか大臣以下で判断しているのである(第三部とか総務部とかの判があるのでおそらく艦政本部も)。

2015-09-27 18:07:36
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

建造時に「不要」とされたから「公式には搭載されていない」ラムネ製造機をそこまでして(しかも昭和18年に)搭載させるだろうか? その余裕はあっただろうか? と考えるなら一隻でも駆逐艦が必要というときにそんなことはしていられなかったのではないか、と考える。よ

2015-09-27 18:09:04
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

ただし、コメント欄にある通り、大和ミュージアムの職員の方から言われたという「武蔵の例もありますから」ということは私も否定できない。訓令上はない、けれども実際にはどうにかして搭載していた、ということは「今はわからない」である。

2015-09-27 18:10:48

結論:公式には、駆逐艦島風にラムネ製造機はない。他の駆逐艦にもなかったと思われる。

おまけ:アイスクリームについて。いつも「ぐぬぬ」と言っている長門さんに捧げる(個人的だなぁ)

simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

おまけ:アイスクリームの話も出ていたのでついでに。続々素顔の帝国海軍にはこのような文章がある。「アイスクリームは各室でコックの作ったものが昼食後のデザートに出されることもあるが、当時は一般には給糧艦間宮が補給のためやって来た時に同艦から購入していた」(52p)

2015-09-27 18:14:49
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

ここで、「各室」とはなにかというと、同じ瀬間喬氏の著書「海軍用語おもしろ辞典」(光人社、昭和58年、58ページ)の「ガンルーム」の項目中、「駆逐艦、潜水艦、掃海艇、特務艦、戦争中にたくさん建造された海防艦など軍艦ではない艦と軍艦でも砲艦を除く軍艦(中略)には(続く)

2015-09-27 18:18:26
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

(続き)、艦長室のほかに、士官室、第一士官次室、第二士官次室、准士官室があり、これらを総称して、「各室」と言っていた」とある。他に旗艦だと将官室。この各室と言うのは食堂兼会議室兼休憩室なのだが、それぞれの部屋でお金を出し合って食事をコック(割烹手と言うのが正式)と(続く)

2015-09-27 18:21:39
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

補助の主計兵に作ってもらうことになっていたのである。各室に入るのはすべて准士官(兵曹長)以上。兵学校出身の少尉さんは第一士官次室に。分隊長以上、副長までが士官室。兵曹長出身の少尉(特務少尉)・特務中尉は第二士官次室(この部屋がない艦もあったようで、そのばあいは第一第二をわけない)

2015-09-27 18:24:37
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

で、各室の一人(交代制)と割烹手が相談して月のメニューを決めるので、「アイスクリームを食べたい」と希望がありその上で必要な材料(たとえば牛乳)がそろうならば、何とか作れたのである。「間宮から買う」と言う表現をしているのは各室で出したお金から買っているからである。

2015-09-27 18:28:39
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

海の男の艦隊料理(ノーベル書房、1983年、高橋孟)191ページにもアイスクリームの作り方は掲載されており、この本は昭和18年の海軍主計兵調理術教科書の復刻なので、主計兵の教科書には載っていたのである(実際に教わったかどうかというと不明だが)。

2015-09-27 18:33:16
simo@ネコと和解するのデース @simoMC3

これらのことから、間宮がアイスクリームを作っていたのは確定として、「大和(と武蔵)しか作れなかった」というのは何らかの間違いではないかと思われる。来賓をもてなすときに大和はアイスが作れるが長門は作れない、ということは不合理である。大和で作れたのなら、長門も作れたはずである。

2015-09-27 18:36:24