GC大戦EX・ライオネル襲撃2-⑧

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 それから暫く。 「……もはや仰られることは何もない。か」 甲冑に身を包んだ、青年騎士の嘆息。 大戦の頃は毎日の様に甲冑に身を包んでいたが、最近はめったに着ることもなく なった。 だが、今日はそれを着ている。 そこに集う、数百の軍勢。 (続)

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#ライオネル襲撃 隣に目をやると、そこには主の姿。主は、ブレストプレートに身を包んでいた。 珍しい。大戦を通して、陣中で本や地図を広げ、思索に耽っていた主が、今は帯 刀し、軍中の将軍として、集った傭兵達を眺めている。 「なんとか揃った、といったところかね」 「はい」 「よろしい」

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#ライオネル襲撃 それは、よく晴れた昼下がりだった。 「進軍を開始したまえ」 ぽつり。平静な、気だるげな声。 「はっ！進軍、開始！」 青年騎士はそれを受けて拡声するように軍隊に怒鳴り上げ、その一隊は、長い街 道を歩きはじめた。(続)

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#ライオネル襲撃 ライオネル軍が異変に気付いたのは、進軍を開始して三日目の夜を明かそうとい う時だった。 「これほど簡単に補給が出来るとは」 エレン領近くのあるロードの領地、街道を無理やり買いあげた関係から、関係の 悪化は考慮して、補給には難を要すると思っていたのだが(続)

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#ライオネル襲撃 その村で、簡単に補給を得ることができたのである。 いわく、エレン領が物資を買い上げ、それを周辺諸侯に渡している、という。 「買えるものは買っておくが……まずいな。相当な食わせ者がいたらしい」 「？　話では、他の諸侯にも、同じ事をしているとの事です」 (続)

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#ライオネル襲撃 「……ともかく、村々で補給が受けられるのであれば受けておいて損はないだろ う。兵にたっぷり補給を施しておきたまえ」 「了解しました」 「ただし、差し出す、といっても代金は払う様に。それでこっちが悪者に仕立て 上げられる、というのもつまらんものだよ」 (続)

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#ライオネル襲撃 「……分からんな。いや、だからこそ確かめるのか」 「はっ？」 「いや、なんでもない。しかし、他の村でも物資が買えるというのなら遠慮する ことはない、万全の補給体制で臨ませてもらおう。手配をしてくれたまえ」 「了解しました。……閣下」

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 陣中、ライオネルは青年騎士を見送ると、ふいに一人ごちる。 「善意か、それとも私が思っているような策略か。尤も、使わない手は無い。私 は厚かましい男で通っている。分かっているさ」 独り言が多くなった気がする。人目には、焦っているように見えるか。それとも。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 かくして、ライオネル軍は行軍の中、万全の補給を受けて進路をエレン領へと進 めた。 その情報は、比較的早めに得られた。物資を配られた領土の者が、エレン領へと 警戒を呼びかけてくれたのである。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 この供与が各地に与えた影響は二つ。 まず、実質的に物資を無償で譲りうけた各地の領主は、確実にザックス陣営によい印象を持った。ライオネル陣はあくまで代金を渡そうとしたため、ライオネル側の心象も悪くはならなかったが、相対的に、ライオネル軍はアウェーな立ち居地となる

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#ライオネル襲撃 そしてもう一つは、この供与によって、この戦争が各地の認知する「表沙汰」の こととなってしまった、という事だ。 ライオネル領と、エレン領の戦争。噂伝で聞いていた者も無論いるにはいたが、 各地の領主全体に、この事実を伝えるのに、これは十分すぎる威力を 持っていた。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 出来るだけ穏便に事態を済ませようとしたライオネルにとって、これは痛手だった。そして何より、先の二つを合わせれば、エレン領に味方をする諸侯 が出現する事は当然の帰結であり、表立った攻撃こそないものの、ライオネル軍の進軍情報を、エレン領はいち早く入手できたのである

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 それでもライオネルは狡猾だった。周囲の領地全てに物資が供給されている事を知ると、彼は遠回りしてでも全ての領地での補給調達に当り、その物資 で十分すぎ補給体制を築いた。供与であまりがちだった各村の物資は代金を払うにしても安めに入手できたし、(続)

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 遠回りして進軍経路を長くとっても、十分な食事と日用雑貨は、士気の高揚をもたらした。 それでも、ライオネルは血色のいい兵隊を見ても、あまりいい顔はしなかったという。

中西詠介/Lord_Phantasm @lord_phantasm

#ライオネル襲撃 ともあれ、進軍から数日後、エレン領からは、ライオネル軍の進軍経路が、以上のような情報もあわせて手に取るように分かっていた。進軍に想定外の時間を要したこともあり、ライオネル軍の進軍にさいし、エレン陣営はじっくりとした準備を行うことが出来るだろう →ZMT

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 エレンの元に、いよいよライオネルの軍が間近に迫ってきたとの報告が入る。 エレン「……そう、報告ご苦労様ですわ。引き続き監視をよろしくお願いします」 そう兵士に告げ、天幕を去る。そろそろ昼食の時間だ。その時にでも皆に話せば良いだろう、そう考え、足を運ぶ。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 歩きながら周囲の天幕の群れをちらと眺める。この戦場に来た当初は、簡素な天幕で凌ぐかと考えていたのだが、ライオネル軍がゆっくりとこちらへと向かっているために本格的に拠点と言える程の物を設置することが出来た。引き払う手間も考えたが……快適な生活を送るためだ。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 歩きながら周囲の天幕の群れをちらと眺める。この戦場に来た当初は、簡素な天幕で凌ぐかと考えていたのだが、ライオネル軍がゆっくりとこちらへと向かっているために本格的に拠点と言える程の物を設置することが出来た。引き払う手間も考えたが……快適な生活を送るためだ。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 ふと、食堂として使っている一際大きな建物が目に入る。今頃はあそこでケインが調理部隊を指揮し、奮闘しているのだろう。 ケインが「真っ当に飯を作れる設備が欲しい！」と嘆いた事によって設置した物だが……これはもう解体する手間すら惜しいかもしれない。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 エレンの元に、いよいよライオネルの軍が間近に迫ってきたとの報告が入る。 エレン「……そう、報告ご苦労様ですわ。引き続き監視をよろしくお願いします」 そう兵士に告げ、天幕を去る。そろそろ昼食の時間だ。その時にでも皆に話せば良いだろう、そう考え、足を運ぶ。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 食堂にエレンが入ると、 ケイン「エレン！少し遅かったな、ほい、お前の分」 そう言いながらケインが昼食を手渡してくる。 ケイン「メイベルとザックスはいつものとこだが……何か報告する事はあるか？」 エレン「ええ、少し。ケインも付いてきて下さい」 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 ケイン「了解。……お前ら、ちょっと俺出てくるから。どうにか凌いでくれ！」 そう厨房の奥に声をかけ、ケインとエレンは食堂の端、少しだけ大きなテーブルに着く二人の元へと歩く。そこには地図などがあり、簡易の作戦室となっていた。 （続）

てるぼー@なんか書いてる @terubow_trpg

#ライオネル襲撃 ケイン「や、ちょっと邪魔するぜ。エレンから報告があるみたいだ……エレン？」 エレン「ええ。ライオネル軍がいよいよ近づいて来た様です」 そう言いながら地図上に駒を置く。これがライオネル軍という事だろう。 →ＺM

まちるだ／メイベル@条約 @matilda25160

#ライオネル襲撃 「なんというか……、わかりやすい性格ね」 ライオネルが選んだのは、候補に挙げた中でも最も時間のかかる、そして最も得るものの多いルートだった。べつに時間稼ぎに餌を撒いたつもりではなかったが、おかげで人員も環境も最高のコンディションで待ち構えられている。(続)

まちるだ／メイベル@条約 @matilda25160

#ライオネル襲撃 これが策だなどと言ったら、兄たちに笑われるだろう。そう思いつつ、あえて打った手だった。策というより、やりたいことをやったにすぎない。 民に一片たりとも被害を出させない。 エレンとザックス、そしてケイン、3人のロードたちの矜持。 これは、その表現だ。(続)