TANAKA Sigetoさんによる”「女性の妊娠のしやすさと年齢の関係」文科省副教材”の出典検証と解説
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で、Wood (1989:89) Fig 2.13 f.hatena.ne.jp/remcat/2015082… によると、性交回数を統制したとき、 ・妊娠の確率は22-40歳間で微増 ・そこから流産を除くと、25-26歳あたりがピークでそのあと緩やかに下がるが、30歳までの減少分は5%程度
2015-08-25 12:19:48グラフに定規を当てて計っただけなのであるが、具体的には、25歳時に確率0.42だったのが30歳で0.40になってるとかその程度。その2ポイントの差がすごく重要だと思うならそれにしたがって社会制度を設計すればよろしい >Wood (1989) Fig 2.13 #fertility
2015-08-25 12:31:13Wood (1994) 本 p. 324 にも同じグラフがあるが、縮小されてる books.google.co.jp/books?id=I0_Sr… で、このグラフがまた、 (Wood が関わった) 別の文献からの引用なんだな……。というわけで、細かい計算方法等は不明。 #fertility
2015-08-25 12:39:56中澤 港。「fecundabilityを「妊娠のしやすさ」としているのか。妊娠の確率と,性交あたりの妊娠の確率の区別はできているのか」についての専門家の回答。流石である。 / “【第1089回】 締め切り過ぎ…” htn.to/kSe7oZn #fertility
2015-08-25 13:03:51“「妊娠のしやすさ」をめぐるデータ・ロンダリングの過程" d.hatena.ne.jp/remcat/20150823 に情報をいろいろ追加しました(2015-08-25 20:00)。なお、25日午後以降の報道は反映していません。 #fertility
2015-08-25 22:16:00このタイミングでこれ → mext.go.jp/b_menu/houdou/… "研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインに基づく「不正事案の公開」について:文部科学省"
2015-08-25 22:18:39そのページはグラフの来歴をたどるためのもので、研究の中身を解説するつもりでは書いておりません。基本的考え方は minato.sip21c.org/bulbul2/201508… を見ていただくとよいと思います >@sivad twitter.com/sivad/status/6… >@pollyanna_y
2015-08-26 17:59:38@pollyanna_y こちらに詳しいですが、そもそもここで引用すべき内容のグラフですらないですね。 d.hatena.ne.jp/remcat/20150823
2015-08-26 01:06:18わたしはこの分野の専門家ではなく、耳学問的に予備知識がある程度なのですが、知っている範囲で、どんな感じの研究なのかをお伝えします。不正確な部分があると思うのですが、ご容赦ください。>@pollyanna_y 以下、長くなります。
2015-08-26 18:01:12ヒトの妊孕力を正確に知るには、条件を統制して(3日に1度避妊なしで性交、とか)データをとる必要がありますが、それは不可能です。そこで代替的に、避妊が行われていない「自然出生力集団」でのフィールドワークでデータを集めます。今回の問題に絡んでいる研究はすべてこのタイプのものです。
2015-08-26 18:02:05これで継時的にデータをとっていけば、どれくらいの間隔で「妊娠」が報告されるかわかるので、一定期間内に妊娠する確率が計算できます。これが「見かけの受胎確率」。今回問題になっている大元のグラフ f.hatena.ne.jp/remcat/2015082… が指しているのはこれです。
2015-08-26 18:03:08しかしこれには (1) 性交頻度などを統制していない、(2) 妊娠が自覚される前の流産で暗数が出る、という二つの問題があり、両方が年齢と相関している可能性があります。Wood (1989) は、これらの要因をのぞいた "真の受胎確率" の推計結果を報告しています。
2015-08-26 18:04:55f.hatena.ne.jp/remcat/2015082… (a) は最大頻度 (毎日?)、(b) は25歳時の頻度に固定したときの推計です。両方を除いた "真の総受胎確率" が白丸、性交頻度の影響は除くが流産による早期胎児損失は数えない "真の見かけの受胎確率" が下側の黒丸の線です。
2015-08-26 18:06:40(1) 白丸の線は20代前半から40台前半までほぼ一定、(2) 黒丸の線は20代中頃が最大、そのあと減少しますが、その減少分は元グラフよりかなり小さい。つまり、22歳が頂点だったのは、この研究の対象集団 (台湾らしい) で性行動が一番活発なのがそのあたりだったためという結論です。
2015-08-26 18:09:15O'Conner ほか (1998) では、定期的妊娠検査で本人にも自覚されない初期妊娠を検出することで、総受胎確率を直接測定しています。結果 (Fig. 5) によると、真の総受胎確率は38歳くらいまで常に1、流産の確率は18歳で最低値0.4でそこから単調に増加しています。
2015-08-26 18:10:40O'Conner ほか (1998) のこの結果が妥当かの判断は私にはつきません。この部分はこの論文の本体ではなく、Holman (1997) の博士論文 popline.org/node/304397 を紹介しているだけなので、本当はそっちを読む必要があります。
2015-08-26 18:14:39というわけで、これらの研究を根拠として採用するのであれば (1)「妊娠しやすさ」のピークは22歳ではない、 (2) 真の総受胎確率は20-40歳の間でほとんど変化しない、 ということになるはずです。
2015-08-26 18:15:49真の見かけの受胎確率については話が複雑です。 (3a) Wood の結果を採用するなら、最大値は20代半ばで30代までの減少はゆるやか (3b) O'Conner ほかの結果を採用するなら、最大値は18歳以前で、それ以降急激に下降する、という相反した結論になります。
2015-08-26 18:17:14私が把握している内容はおおむね以上のようなものです。専門的訓練を受けていないうえ、どの文献もななめ読みしかしていないので、なにか致命的に間違ってる可能性はあります。そのときは修正しますので、気づいたかたはご指摘ください。
2015-08-26 18:21:12なお別系統で生殖医療に伴う研究があり、正確に条件を統制し、卵子・精子の状態等の情報をとりながら推計できるはずですが、この辺は私はまったく知りません。この方法では不妊治療を受ける人しか対象にできず、したがってそもそも偏ったサンプルしか得られないことは想像できますが。
2015-08-26 18:23:09