(ア) 同法321条第1項 同項は,「被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。」と規定している。
2015-09-08 07:29:09したがって,本件メモについては,伝聞法則の適用があるので,証拠能力を認めるためには,伝聞例外の要件を満たすことを要するから,以下,これを検討する。
2015-09-08 07:28:20共謀の意思形成手段として用いられたいわばツールではないから,そのような記載のある本件メモの存在自体は,共謀の意思形成過程を証明する証拠とすることに意味がなく,要は,「そのような記載のある本件文書の存在」ではなく,「供述の内容の真実性」に「証拠としての価値」が有るからである。
2015-09-08 07:28:10(イ) なぜなら,本件メモは,その記載内容(1/5 丙からtel チカンの示談金はもうからないのでやめる 金額は500万円 マニュアルは用意する)からして,丙からの電話を受けて,乙が知覚・記憶・表現・叙述をしたものなので,
2015-09-08 07:27:49オ 当てはめ(本件メモ) (ア) 本件文書と本件メモについては,いずれも,丙と乙との『共謀』を立証するために証拠調べが請求されているものの,本件メモの要証事実は,詐欺に係る丙との間の「共謀の内容」であって,「共謀の存在」ではない。
2015-09-08 07:27:22(エ) そして,「本件文書には丙の指紋があること(丙が触れたこと)」,「乙は本件文書を他人から渡されたと証言しているものの,その他人とは,本件文書が詐欺のマニュアルであり,詐欺に無関係な人間が触れることがあり得ないことから,丙であると推認できること」などの間接証拠は,
2015-09-08 07:26:36(ウ) 以上のとおり,本件文書の証拠としての価値は,本件文書の内容が真実であるかどうかには関係がないので,本件文書は,非伝聞証拠である。 したがって,伝聞法則の適用はないので,その意味で,証拠能力は認められる。
2015-09-08 07:26:04そのような記載のある本件文書の存在自体が,共謀の意思形成過程を証明する証拠となるから,要は,「供述の内容の真実性」ではなく,「そのような記載のある本件文書の存在」が「証拠としての価値」を有するからである。
2015-09-08 07:25:40(イ) なぜなら,本件文書は,詐欺をする場合におけるマニュアルであるところ,このような文書は,知覚・記憶・表現・叙述をしたものではなく,それを用いて謀議が形成されたものなので,言い換えれば,共謀の意思形成手段として用いられたいわばツールだから,
2015-09-08 07:25:23エ 当てはめ(本件文書) (ア) 本件文書と本件メモについては,いずれも,丙と乙との『共謀』を立証するために証拠調べが請求されているものの,本件文書の要証事実は,詐欺に係る丙との間の「共謀の存在」であって,「共謀の内容」ではない。
2015-09-08 07:24:51(ウ) そして,「供述内容の真実性を立証するためのもの」(形式説)が伝聞証拠であるのに対して,「供述の存在を立証するためのもの」が非伝聞証拠である。
2015-09-08 07:20:06(イ) 言い換えれば,同一の証拠であっても,その証拠によって証明しようとしている事実によって,伝聞証拠になる場合もあれば,非伝聞証拠になる場合もある。
2015-09-08 07:19:43ウ 要証事実との関係 (ア) 以上のように,伝聞証拠は,「供述内容の真実性を立証するためのもの」(形式説)なので,伝聞か非伝聞かは,その証拠によって何を証明しようとするのか,つまり,想定される要証事実との関係で,相対的となる。
2015-09-08 07:19:30,「公判廷外の供述を内容とする証拠」で「供述内容の真実性を立証するためのもの」(形式説:「原供述を内容とする書面(伝聞書面)」「原供述を内容とする公判廷供述(伝聞供述)」)である。
2015-09-08 07:19:02原供述は,これらの吟味・確認手段によりテストされていないため,原供述の真実性の確認ができない。このため,伝聞証拠は,排斥される。確かに,供述の信用性テストの手段として,反対尋問は最重要だが,これに限られるものではない。
2015-09-08 07:18:00(ウ) すなわち,公判廷供述に対しては,刑事訴訟法は,供述の信用性テストの手段として,①真実を述べる旨の宣誓と偽証罪による処罰の予告,②不利益を受ける相手方当事者による反対尋問,③裁判所による供述態度の観察という3個の手段を用意しているのに対し,
2015-09-08 07:17:42(イ) しかし,伝聞法則の根拠(伝聞証拠排斥の根拠)については,公判廷供述に比べて,原供述の真実性の確認ができないことにあると考える。
2015-09-08 07:17:07イ 伝聞法則の根拠(伝聞証拠排斥の根拠)と伝聞証拠の定義 (ア) そこで,本件文書及び本件メモは,「公判期日における供述に代えて書面」(伝聞書面)なので,それだけで当然に(要証事実の検討なしに),伝聞証拠になるように見える。
2015-09-08 07:16:45(イ) したがって,「公判期日における供述に代えて書面」(伝聞書面)及び「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述」(伝聞供述)は,伝聞証拠なので,原則として,証拠することはできない。これを伝聞法則という。
2015-09-08 07:16:15(ア) 同法320条1項は,「第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。」と規定している。
2015-09-08 07:16:024 伝聞法則と証拠収集上の問題点 (1) 検討の順番 そこで,上記各証拠について,伝聞法則との関係で,以下,「(2) 伝聞・非伝聞の区別」「(3) 伝聞例外の要件(刑訴法321条1項3号の要件)」「(4) 伝聞例外の要件(再伝聞)」の順に検討する。
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