#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０６００【リヴァーサル・オブ・コンパス・オブ・フォーチュン】#1～#2

春魔解丼 @vespiking

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「あらゆる分岐の可能性が存在した。それは兵の判断であり、将の選択であり、局地的なイクサの勝敗であり、運命の流るる方位でもあった。水は山を登り、柱を失えば天は落ちる。海は枯れもし、山は沈みもする。すべての偶然に、運命には備えられぬ。だがわたしは最善を尽くした」 #KZNPLN

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「勝利。敗北。攻撃。防御。進撃。撤退。編成。対応。報告。報復。情念。思想。高揚。疲労。残弾。残機。引鉄。発砲。着弾。夾叉。小破。中破。大破。轟沈。接触。目視。探知。直感。あらゆるミクロの概念は集積し、マクロの流れを捻じ曲げる。結果は確率に帰結する。勝利か、敗北か」 #KZNPLN

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「だが、わたしは勝利した。ありとあらゆる可能性を検証し、星の数を超える勝利の展望と、その倍だけある敗北の悲観とを同居させ、わたしが回した羅針盤はついぞ我が勝利の展望の、星の数の3倍もある事象のうちの、唯一ツへと向いた。そうだ。わたしは、羅針盤に！勝利したのだッ！」 #KZNPLN

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「三神器の結集、バンブツルテン・ジツの逆流、或いは『オノゴロ』の介入！この日、ロケット打ち上げまでの数時間のうち、『レインボー・スポット』が生じる可能性は決して低いものではなかった！わたしがそうしたのだ！イクサとは、殺し合いの結果ではない！確率操作の経緯なのだ！」 #KZNPLN

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青白い顔の女は拳を握り締め、高らかに宣言した。「大本営中将マックス・シュルツ！現プロジェクト・サタン責任者、戦艦霧島の死亡及び除籍に伴い、戦時特例を発動する！大日本帝国軍司令長官あきつ丸の権限において、貴艦をプロジェクト・サタンの臨時最高責任者に任命する！」 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０６００【リヴァーサル・オブ・コンパス・オブ・フォーチュン】#1 #KZNPLN

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「HQより各兵に伝令！ロケット発射は予定通り続行！発射場の安全を確保せよ！」「ロケット発射場、クリア！敵性存在の退避を確認！」「暴徒の積極的鎮圧を中断！全兵力、最小限の交戦に留め研究棟連絡通路へ集結！最終防衛陣形を固めよ！」「繰り返す！防衛に全兵力！全兵力回せ！」 #KZNPLN

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「キリステ、ゴーメン！」不知火は暴徒鎮圧用の強化ゴム刀を水平に構え、護衛駆逐艦3隻を袈裟状に斬りつけた！「「「グワーッ！」」」失神！「不知火です。敵に動きあり。ロケット発射を強行する模様。指示を請う」『長波だ。発射阻止の意味はなくなった。深追いはするな』「了解」 #KZNPLN

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通信終了後、不知火は即座にゴム刀を背後に振り抜いた。「イヤーッ！」「ア、アイエエエ！」小柄な駆逐艦が弾かれた。「い、痛いです……」「……貴女、傭兵ですね。お互い、交戦するメリットはありません。ここで寝ますか？行きますか？」尻餅をついた駆逐艦は、すくりと立ち上がる。 #KZNPLN

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不知火は警戒する。一瞬で、アトモスフィアが変わった。「……貴女、何者ですか」駆逐艦は顔の埃をぬぐい、おそろしく心情の読めぬ顔を不知火に向けた。「何者。サア。私は何者でしょう。名前はひとつ。アナタもそうです。しかし、私とは一体。艦娘とは何か。ドーモ、高波と言います」 #KZNPLN

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こちらの隙を窺うためのゼンモンドーだ。気にするな。しかし、高波が発する異様なアトモスフィアは、不知火の警戒心を拘束した。「艦娘とは何なのでしょう。高波にはわからないのです。高波とは、不知火＝サンとはどこに存在するのでしょう。ヒヒヒ！貴女は何の為に戦いますか？」 #KZNPLN

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引き笑いの瞬間、不知火の背筋に、ぞくりと冷たいものが走った。弱気な言動からの激変。異常な感情の起伏。混乱を誘う演技か？否。むしろ、これは。「二重人格……？いや、しかし、それにしては……」「何を言っているのかもですか。高波は高波です。高波はヒトではない。艦艇です」 #KZNPLN

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「貴女は何のために戦うのです。誰の意志で。貴女に眠る意志は誰のものなのですか。これは個人的な興味です」今度はおそろしく平坦な声。不知火の心を、言い知れぬ恐怖が満たす。「何を、何を言って……」「不知火＝サン。貴女を殺した時。高波は誰の声を聞くのですか」 #KZNPLN

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不知火の五感すべてが危険を告げる！即座にバク転で距離を取った不知火の喉元に、高波の砲が既に突き付けられていた。「高波は多くの艦を殺してきました。殺した艦はおしゃべりでした。毎日うるさくしています。でも不思議なのです。殺した艦そのものの声は、その中にないのです」 #KZNPLN

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「でもとうぜんでした。だって艦艇は艦艇なのです。艦にたましいなど、ないのです。艦を1隻殺します。まとわりつく声がまた増えます。それは100とか、1000です。どうして？だって乗っていたじゃないですか。艦には、何百何千の声が。何百何千のたましいが」 #KZNPLN

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不知火はチョップで砲身を逸らし、素早く組み合い、距離を離した。「ヒヒヒヒヒ！不知火＝サン。高波は、高波とは。駆逐艦高波とは！わたしは！どの声が！このわたしなのデスか！貴女は！誰のこころで！戦うのデスか！」高波は目を血走らせ跳躍。不知火は再びゴム刀を構えた！ #KZNPLN

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――ロケット発射基地、最上階！ #KZNPLN

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コンバットスーツに身を包み、ミリタリーメンポの横から長いサイドテールを垂らした妙高型重巡ニンジャ、ランドグリーズはVT信管ランチャーの間合いを計り、じりじりと後退する。相対するは怪物と称して差し支えない、巨大なバイオニンジャ軽巡。その頭部は2つ、腕は4本。 #KZNPLN

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周囲は『夜』と表現して差し支えない闇である。最上階スペースを仕切る壁はあらかた崩れ、柱と瓦礫が辛うじて部屋の残骸を主張するが、それを照らす光はない。このフロア一帯が、ヤセンスレイヤーによるヤセン・ジツの影響下にある。 #KZNPLN

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駆逐艦綾波、即ちヤセンスレイヤーの浅黒い肌と、ランドグリーズの黒色コンバットニンジャ装束は闇に溶け込む。恐るべき怪物、最後のオミナント・アドミニストレイター、ゲノムレギオンはこの闇の中で首を動かし、敵艦2隻を悠々と索敵していた。 #KZNPLN

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ゲノムレギオン……彼女こそは、かつてトゥエンティワンと名乗ったニンジャ艦娘。即ち軽巡五十鈴の成れの果てである。遺伝子操作によって奇形バイオ艦娘を養殖し、近代化改修用に売り捌く死の商人。彼女自身の船体も99%がバイオ艦娘パーツに置換され、最早艦娘の姿を成していない。 #KZNPLN

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全身を植民地国境めいた縫い傷で覆い、異形の巨人となった五十鈴の全身には、五十鈴以外に49隻もの無辜なるバイオ艦娘が取り込まれている。一個艦隊の総兵力にすら優位する彼女の単艦戦闘能力は、ヤセンにおける一方的な非発見状態すらも些細な誤差に成り果てたのだ。 #KZNPLN

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「「さあ！存分に隠れてコソコソしてなさい！このゲノムレギオンには！無敵の五十鈴艦隊には！如何なる奇襲も通用しない！防御力、迎撃力、破壊力！存分に見せてあげる！」」ゲノムレギオンは完全なる闇の中を、瓦礫を踏み砕きながらずかずかと歩く。何たる堂々とした進撃か！ #KZNPLN