【鬼の章:第1幕「暗夜異変〜Kingdom at night】 #1

東方鬼翔天血の【鬼の章:第1幕「暗夜異変〜Kingdom at night】 #1のまとめです
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東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

【鬼の章:第1幕「暗夜異変〜Kingdom at night」】#1

2015-08-22 01:17:41
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

魔界虫ディウムからもたらされた異変の情報は、守矢神社の面々に広まった。事前に異変が起こるとわかれば、対策はとりやすい。槙治達は、考え込んでいた。夜だけの世界、それが何を齎すのか。妖怪達が暴れだすとの見込みもあるが、可能性の話でしかないのが、辛い所だろうか?#1

2015-08-22 01:36:20
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「そもそも透視神とはなんだ」槙冶が口に出す。「わからない。ただディウムの言う事には、過激派の中には魔界虫がいるかもなって」「魔界虫、ねぇ……」過激派の魔界虫。暗黒寺から聞いた情報によれば、相当なイカレ野郎というのが認識らしい。一鷹的にも、近寄りたくないそうだ。#2

2015-08-22 01:48:07
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……固有名あったりすんの?」槙治が聞く。「暗黒寺さんによれば、ソイツの名前はヘルズ。ディウムによれば、魔界虫の恥、だそうだ」「……損な奴と、上級悪魔が乗り込んでくるってか?物騒な話だな」「ともかく、異変を未然に食い止めるしか方法が無いんですよね」#3

2015-08-22 01:50:14
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「魔界虫って、上級種族だろ。低級あくまですら上位種族なのに、上位悪魔と同等のヘルズってなんだよ」「……考えたくもない」「それより坊主、拓海。異変の主がどこにいるか、わかるか?」「いやわかるわけないでしょ」「透視神……聞いた事もありませんからね」#4

2015-08-22 02:04:56
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……あれ?皐月さんは?」「……そういえば、いないな」「あぁ、皐月さんなら……」拓海は、皐月がなにやら呟きながら帰ってゆくのを目にしたという。「芽以ちゃんを送って行ったのかな」「それにしては様子が変でしたよ」「……まぁ、あんなことがあったんだ。少しはそっとしておかないと」#5

2015-08-22 02:07:45
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「異変の主か……」「まずいな、もうすぐ夜だぞ」沈み往く夕日が、目に見えていた。「ディウムと話つけたんですけど、下級妖怪がうじゃうじゃでる狩り場を紹介するかわりに、悪魔達を止められないか頼んでみたんだ」「果たしてどうなるかね……」「とにかく……待つしか無いか」#6

2015-08-22 02:10:23
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

ゆっくりと沈んでいた太陽は、消えた。時間は流れている。だが、夜が訪れていないというのに、深夜帯のように暗い。夜に変わった風景を見て、大きな豪邸の様な屋敷にいる、青紫色の髪の女性は、おっとりと微笑を浮かべる。その横には、金髪のメイドと、紫の髪のメイドが片膝をついていた。#7

2015-08-22 02:14:07
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

静かな夜に浮かぶ恐ろしいほどに白い月を背景に、青紫の髪の女性は微笑を深め、深紅色の瞳を細め、同じ深紅色の六枚の大きな羽を広げてメイドの話しに耳を傾ける。「舞姫様。何事も無く異変を発生させることができました」「そうですね。静かで、とても良い『夜』です……」#8

2015-08-22 02:15:37
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

舞姫、そう呼ばれた女性は恐ろしい程甘い声で言った。「…では、貴方方。ここへ来る者達を相手にしてくださいね」「はい」二人のメイドは瞬時に消え、残されたのは青紫の髪の女性だけ。舞姫は白い月を見て、妖しく口元に弧を描いた。夜のまま、世界は固定されたのだ。#9

2015-08-22 02:17:27
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「始まったか……」「ッ……!」「おい坊主、どこへいく!?」槙治は神社とは正反対に駆け出して階段を飛び降りて姿を消した。彼が姿を現した時には真っ黒の夜の空を真っ白な翼を生やして飛んでいた。「この事を神奈子様達に伝えるんだ!」「えっ、ちょ、槙治さーん!?」#10

2015-08-22 02:19:29
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「問題は悪魔共だ。ディウムから連絡はないのか?」「ないですね……」「それなら、アタシに任せな」女性の声が響いた。守矢神社の入り口、そこに浴衣を着た女性が立っている。「あんた……誰だ」「えっ……あ、あなた、くろがね屋の女将さんじゃないですか!?それに、任せなって……」#11

2015-08-22 02:21:02
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「虹夢邸の連中を知ってるかい」「……おいおい、あんた何者だ?彼処の連中を引っ張りだすっていうのか」「そりゃあそうさ。上級悪魔が何体もくる、あんたらで抑えきれるのかい?今は博麗の巫女とかは動けないんだよ」「……何者だよ、あんた」「ふっ……ただの温泉旅館の女将さ」#12

2015-08-22 02:24:43
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「暗黒寺から聞いたよ、透視神を止めるんだってね。それはアンタ達がやりな。悪魔どもは虹夢邸の連中と……アタシらくろがね屋が引き受けるよ」女将はそういうと立ち去った。拓海と槙冶は、唖然としながらもやるべきことを理解した。「拓海、俺は友人を連れてくる。坊主を追いかけろ」#13

2015-08-22 02:26:55
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「わかりました。ついでに皐月さんも連れてこなくちゃな」「良いのか?」「彼女の力も必要だ。集合場所は?」「麓でいいだろう」「了解」二人は分かれた。拓海は、くろがね屋の女将を追い越した。女将の隣にはいつの間にか、ウエスタン風の男が居る。「女将、良かったんですかい?」#14

2015-08-22 02:28:43
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「何がだい」「虹夢邸の奴らに協力をとりつけたって……ありゃ嘘じゃないですか」「ジャンゴ、これはただの異変じゃないんだよ。幻想郷の命運がかかってるんだ。だから、あいつらはどうしても動かさなきゃ行けない。だからアタシは考えた」「というと」「悪魔共の転送ゲートを虹夢邸におく」#15

2015-08-22 02:30:33
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「……女将も物騒なこと考えまさぁ。そうと決まれば話は早いもんですぜ、クロスの兄貴が待ってる。さぁ、お乗りやすって!」ジャンゴ、そう呼ばれた男が走らせるのは荷台。くろがね屋の女将はそこに立ち、ジャンゴは恐るべきスピードで荷台を引いた。拓海を追い越してしまった。#16

2015-08-22 02:32:10
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

一方槙治は、妖怪の山を下りて魔法の森を突き抜けていた。「急げ……もしかすれば、彼処かもしれない」槙治には、ある考えがあった。それが正しければ、或は。「ッ!?」瞬間。彼は足を掴まれた。振り向けば、そこにいるのは影の妖怪。槙治は逃げる事が出来ず、影に取り込まれた。#17

2015-08-22 02:40:39
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「なッ……!」彼が取り込まれ、影が溶ける。そこには、肌が黒く変化した。槙治の姿だった。青い目を赤く発光させ、彼は再び走り出した。その瞳にある思惑を持って。一方、拓海は麓にまで降りてきた。まだ悪魔達が転移してくる様子は無い。「皐月さんは……」「聞いたよ」「え」#18

2015-08-22 02:42:34
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

振り向けば、そこには皐月がいた。「皐月さん……」「……異変なんでしょ?だったら、私もいく」「ごめん、巻き込んで」「いいの、コレは私の意思だから」皐月が頷く。同時に、槙冶がやってくる。「おお小娘、いたか」「……あれ、鬼導丸も一緒なんだ」「ああ、奴もいたほうがいい」#19

2015-08-22 02:43:58
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「皐月か……お前も随分とでかくなったな」「やめてよ、そういうの。それより、あんた来ていいの?」「……俺は呪われてるってか?いくらな、俺が混合妖怪だからって馬鹿にするのは許さん」「あの、鬼導丸さんってなんのハーフなんですか?」拓海が聞いた「……片割れは天狗、それだけだ」#20

2015-08-22 02:45:22
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「天狗、ね……」「とにかく時間が無い。槙治を追いかけるんだ」「異変の主の場所、わかるの?」「霊脈を辿る。そこから割り出せる筈だ」「うまくいくといいけどね」四人は飛ぶ。夜はまだ始まったばかりだ。四人と飛ぶ真下では、黒く変色した槙治が走っていた。#21

2015-08-22 02:46:54
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「女将、つきましたぜ」「ありがとうね、クロス、ジャンゴ」「いいんですよ女将。不肖クロス、お供しますぜ」「俺はここで荷台を守ってまさぁ。虹夢邸の奴ら、話きいてくれますかね?」「どうだろうね?アタシは面識あるがね……」女将は虹夢邸を見上げた。「さて、どういくか」#22

2015-08-22 02:48:31
東方鬼翔天血 @ki_syo_ten_ketu

「誰?」女将達の背後から話しかける存在がいた。「……おでましかい」「私は異変の調査をしていたんだけれど、貴方は?」「アタシかい、アタシは錦つばさ……こっちが、クロスだ」「……聞いた事無いわね」「時間が無い。異変のことだ、話だけでも聞いて貰いたいんだがね」#23

2015-08-22 02:51:06