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レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla
【お知らせ】更新再開します。このアカウントは、レッズ・エララという特殊異世界の、結構むかしと、結構今~近未来と、結構滅びに近い近況を、気の赴くままに短編小説/詩で更新していくのです。実況は、タグ #レッズエララ  などでどうぞ。今回は中世編です。
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詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「死んじまったあの野郎を草原にて葬る、風高くして」
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草の切れ端が空に飛んで塵になる、それはまるで天使の消滅。誰をも救わない天使に意味はあるか。1
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あるとしたらそれは鎮魂。無明にして無名の嘆き魂を運ぶものとして。空へ、空へ飛んでいけ。悠久の意味はそこにある。悠久の空……。2
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草切れが天に飛んでいく。風が強く吹いている。心の竜巻……。座り込んエヴィルは、亡き友を思う。畜生……なぜあんなところで死んでしまったのだ。3
レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla
エヴィルのことをよく知らない人間は、彼のような天才がなぜこれほど一人の人間を悼むのか、わからないに違いまい。ただ一人、どこにでもいるような一人をそこまで悼むのか。人間性の排除こそがこの天才の所以だと思うがゆえに。4
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違う。エヴィルは、するりと心持ちの中に入ってきた人間には、とても親密になるのだ。それは……堅く閉じた門に入るではない。ジャングルのように鬱蒼とした思考/魂の森の中にふと、入り込んだ言霊のように……。5
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ともあれ、奴は死んだのだ。ここは草原……。いつも彼と彼女――相棒たる時雨――はこの草原を旅し、駈ける。ただ往くだけの道だった。そこに、奴の躯を葬った。6
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人が死ぬときは、なんで言葉の不在なのだろう。ついこないだまでは熱の入った言葉が、彼を満たしていたではないか。そして立派に生きていたではないか。7
レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla
だがここに有るのは、ただの肉のあとかただ。動きとか、淀みとか、向かう意志とか、そういうものがそっくり削ぎ落とされて……。有るのは、ただ、彼方へ向かった「奴」の残りの躯。8
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どこ往ったよ、なあ」エヴィルは問うのであった。それはこの知性青年にとっては、意外なほどの意味のない問いであった。9
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居て、ほしかったのだ。この星に住まうひとのなかでも、とりわけ。ああ、とりわけ! それほど、価値の大きいモノだったことを知るのが、死んだあとだというのが、あまりにバカらしくてしょうがない――痴愚な己。10
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「なぁ時雨君」エヴィルは傍らの少女に語りかける。黒髪の刀剣少女しっかりと立っている。「宗教学というのはむなしいな、さまざまな弔いの文句を知っていても、【こういう時にいうべき言葉】が浮かんでこねえぞ」11
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れは、分がむなしいからじゃないかな」時雨は、あえて突き放すようにいう優しさ。「弔いのクリシェに意味はないよ。意味を見いだすのは自分自身だよ」12
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意味あっての言葉だろう」「違うよ、意味なんてどうでもいいんだよ。あるいは、論理も」「……」「しょぼい言い方すれば、どう自分を納得させられるか、ってことだね。意味のない言葉で自分を納得させる意味を探るんだ」13
レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla
「どちらかというと、私のほうがこういうのは権威だったりするのです」掠れた笑いで時雨。「何せ人斬りだからね、この刀で……」「何人も斬ってきた、か。じゃあ、時雨君だったらどう意味づける?」14
レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla
間違った祈り、間違った後悔、間違った謝罪をしないようにするよ」時雨は淡々と。「ばいい、というのは餓鬼の所作」「じゃあ、なにが間違ってないんだろうな」「それくらい自分で考えよう」15

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