備忘録のカウントが面倒になった

たぶん9か10
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▼なお、当方は

ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

うちの刀さには「誰かを甘やかしてないと死ぬ実験台系備品扱い余命5年の19歳(母性カンスト)」と「彼女にひたすら甘やかされてダメになりつつある前のめりに殺意度高めな山姥切国広」とその他大勢で構成されています。

2015-09-11 21:35:17

なんか

ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「…」 ロッカーを開けてくれたのが山姥切国広だったので、オミは思わず背後を見た。自分の近侍の山姥切国広はそこに居る。ということは目の前に居るのは誰だ。 「どちら様で」 「見て分からないか」 分かるから尋ねているんだが。

2015-08-25 23:04:55
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 困り果てて背後を見ると、彼女の山姥切国広の方は彼女の襟首を掴むべく手を伸ばしているところで、案の定猫みたいに掴まれて後ろに放られる。 「国広ちゃん最近あたしの扱いが雑だわ」 「あんたの扱いが丁寧だった記憶が生憎と無いぞ」 「あ、言われてみたら徹頭徹尾雑ね!」

2015-08-25 23:06:11
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL どうでもいい発見をしたところで、問題は備品管理室でぼんやりとこちらを見ている山姥切国広の方だ。オミは首を傾げ、考え、それからまず、 「初めまして。ハグしていい?」 再度襟首を掴まれた。

2015-08-25 23:07:01
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「…あんたは余所の俺ならその挨拶に走るのか…!」 近侍が文句を言っている気がしたが聞いていないふりをして、改めて目の前の方の「山姥切国広」を見上げる。彼はぱちりと瞬いてオミを見下ろし、すぐに目を伏せた。 「……久しぶり」 「え?」

2015-08-25 23:08:25
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL その「山姥切国広」は身を屈め、彼女の耳元でそっと問うた。背後の近侍に聞こえぬように、という気遣いを感じさせる所作。 「――傷は癒えたのか」 腹の辺りを指して問われ、蒼褪める。何故。

2015-08-25 23:10:16
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「な。何で知って、え、だって、あたし、逢うの初めて」 「…? 気付いていないのか。俺はずっと、此処に居たぞ」 ああ、と得心して頷いたのはオミではない。彼女の後ろの、近侍の方だ。 「管理室にずっと気配だけはあったから気になっていたんだが。珍しいな」

2015-08-25 23:15:22
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「えええ!?き、聞いてない、あたし聞いてないわ国広ちゃん!」 「何でそんなに鈍いんだあんたは…」 呆れ果てる近侍に、管理室の方の「山姥切国広」の方が今度は頷いた。 「…そうか。後天付与型だったな。だから自分の配下の刀剣以外に対して波長が合わないのか」

2015-08-25 23:21:29
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「?」と首を傾げる山姥切国広。それを前に淡々と解説する「山姥切国広」。妙な光景を見ているなぁ、と、急に冷静さを取り戻してオミは自分について語る彼の言葉を他人事のように聴く。 「…ということは俺のこともずっと気付いていなかったんだな。それは」 悪いことをした。

2015-08-25 23:22:46
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL ぽつりと零された言葉の意味は、近侍には分かるまい。オミだけが青い顔になった。 「えっと。キミ、いつから、ここに居るの」 「…理理――あんたが『担当』と呼んでる彼女がここに配属されてから、ずっと」 「ってことはあたしが実験棟に居た頃から…よね…」

2015-08-25 23:23:43
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL こくりと頷かれる。オミは真っ青な顔になって、しかし両手で顔を覆った。赤くなるべきか青くなるべきかが分からないが、腹部の疵を知っているということは、恐らく。 「…見てたのね…」 「すまん」 あっさりと謝られた。近侍だけがきょとんとしている。

2015-08-25 23:24:28
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「…最近ここに来る時には…元気そう、だから。安心していた」 淡々と告げられる言葉に、オミは手指の隙間から目線だけ上げる。 「どこまで見てたの?」 「…一時期来なくなってたな。『金魚』と仲良くしていたことと関係があるのか」 「うわああああ全部見てたのね!?」

2015-08-25 23:27:11
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL あうあう、と羞恥とその他諸々を含んだ感情で蹲るオミを、その「山姥切国広」は少し戸惑う様に手を伸べて――それから思い切ったように、頭を撫でた。 「理理とは違う形で壊れていたから。気になっていたんだ」

2015-08-25 23:28:31
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 蹲って膝に顔を埋めたオミは、その言葉に目を上げて、自分の近侍のそれとそっくり同じで、少し違う感情の――こちらへの気遣いと憐憫を覗かせる瞳と目線を合わせた。 (あ、国広ちゃんと違ってどきどきしない) 綺麗なことには変わらないし、同じ造形なのに。

2015-08-25 23:30:47
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「あたしのことまで心配してたの? 担当さんだってあの頃大概だったじゃない」 「理理がああだからこそ、周りの人間だって気になる。…あんたは壊れてたから」 「…あんまり言わないで。思い出すと恥ずかしいわ」 嘆息して、不機嫌そうな近侍を見遣った。

2015-08-25 23:33:16
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「国広ちゃん、ちょっと耳塞いでて。内緒話があるの」 「…俺には言えないようなことか?」 「キミにだけは聴かれたくない、って話があるのよ。薄々察してるだろうけど気は遣ってくれると有難いわ」 不機嫌そうなまま、彼女の近侍はそれなら、と部屋を出てくれた。

2015-08-25 23:35:17
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「…その。心配してくれてて、ありがとう。担当さんもそうだけど、案外あたし、色んな人――人以外にも、守って貰ってたのね、あの頃から」 国広ちゃんが。あたしの神様が居なかった頃から。 オミが頭を下げると、また、戸惑いがちに頭を撫でる感触。撫で方が違うのが面白い。

2015-08-25 23:37:37
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL (国広ちゃん、結構遠慮なくぽふぽふやるもんなー) 比較しつつも顔を上げると、僅かに笑みを浮かべる表情。さすがにあの顔立ちでそういう表情をされると、違う個体と理解していても心臓が跳ねる。 「…あの?」 「…良かった。俺が介入した甲斐があった」

2015-08-25 23:38:49
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL え?と問おうとした矢先だ。彼は顔を上げて、「理理だ」と小さく呟くなり、姿を消してしまった。顕現を解いたらしい。刀だけが床に落ちる。 「え?え?」 それと同時。扉が乱暴に開かれる。 「…ああ、また逃げられた…あの頑固者ッ!」

2015-08-25 23:39:54
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 珍しく声を荒げているのは、備品管理室の「担当さん」こと室長の女性だった。地団太を踏んで、床に落ちた刀を睨み、それから拾い上げて乱暴に戸棚に押し込む。 「…あ、扱いが雑だよ担当さん…」 「いいのよこいつはこういう扱いで!もう!頑固なんだから!」

2015-08-25 23:41:39
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「話しは終わったのか」 次いで、矢張り不機嫌そうなままの山姥切国広――オミの見慣れた近侍の方だ。 「途中だったんだけど強制中断したわ。今度また話、聞かないと」 「……また会うのか」 彼女の近侍の声が低い。何が気に入らないのやら。

2015-08-25 23:43:03
ズボラ女は頑張らない @nmkmn1201

@tkhime_TL 「うーん…その、なんていうか…気になる事言ってたから…」 そうか、と言いつつ、矢張り彼女の山姥切国広は不機嫌そうだった。眉根を寄せているし、足音が少し荒い。変な子ね、と思いつつも歩き出した彼の後を慌てて追いかける。 「またね!」 戸棚の刀にも手を振る積りで。

2015-08-25 23:46:47

▼小狐ちゃんと三姉妹の次女

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