ゴミが散乱した駅の写真と顧みられることのない背景――9月4日とはどういう日だったのか

難民を乗せたバスは深夜3時前にオーストリアに到着したようです。

当初から今回の措置はあくまで特別なものだと考えられていましたし、またどれだけの数のバスが難民を移送するのか不透明な状況でしたので、難民たちは取り残される前に必要なものだけを詰め込んでバスに急いで乗り込んだ、と言うのが事実なんです。

ちなみに翌日、このニュースを聞きつけた難民たちが東駅に殺到したのですが、政府は「もうバスを出すことはない」と発表しました。
東駅からの列車の運行が再開したためでもありますが、既に資金の尽きていた難民にとっては、バスに乗れるかどうか、と言うのは今後の運命を左右する一瞬だったでしょうね…

この写真がドイツ語圏でミュンヘンの写真だとの触れ込みで広まった結果について色々考えるべきことはあります。例えば、これを見て「日本人ならこういう事はしない」「日本人ならどんな状況に置かれてもゴミは拾おう」と言ってみたところで…

幸か不幸か、SNSのお蔭で情報が容易に拡散するようになりました。（この写真は恐らく人々をミスリードする目的でドイツ語圏のFBに投稿されたのでしょう）
つまり例えば私たちが「礼儀正しい日本人」であろうと試みても、悪意のある人たちがデマをこしらえるのは容易な世の中になってしまったんです。
特に、既に「ある種の偏見を持っている人たち」「特定の政治的立場にある人たち」にとって、彼らの思想を補強するような情報は受け入れられやすく、また広まりやすくもあります。一度広まってしまったデマを訂正することはできても、人々の記憶の中でネガティヴなイメージは残り続けてしまうでしょう。

ちなみに難民のものと思われるゴミが散らかっている写真は探せばいくらでも出てきます。
ただ、そうした画像を見て批判のコメントを投げる前に、心に留めて思い出して欲しい言葉があります。