掌小説語り~自作つぃのべる集24~

自作つぃのべるのまとめです。 2014年6月分
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リュカ @ryuka511

「ご覚悟を。」武装した部下に囲まれた魔王の手から髑髏の酒器が落ちた。喉元に剣を突き付け宰相は告げる。「これより我々が魔界を統率」その言葉は最後まで発せられず魔王の手から爆ぜた炎が部下達を消し去った。爆風に転がりからからと鳴り響いた髑髏の器を拾い、魔王は酒を注ぐ。 #twnovel

2014-06-25 00:59:03
リュカ @ryuka511

愚者の真似事をしながら、事を起こす機会を伺っていた。多くの者が彼を軽視し私利私欲を貪る。愚王と彼を罵る声も出たが彼は静かに耐えていた。毒は出し切らなければ。そろそろいい頃合いか。では浄化を始めよう。荒れた国は王による城内の大粛清の後、平和な治世が続いたという。 #twnovel

2014-06-26 00:14:10
リュカ @ryuka511

君は王女で僕はお城の庭師。決して結ばれないけれど、僕が手入れした中庭を君が気に入ってくれたあの日から、僕の仕事は全て君への愛情表現になった。君が喜んでくれるように、君の心が慰められるように、君が幸せであるように。誰にも気付かれないように、僕の懸命な愛を君に捧ぐ。 #twnovel

2014-06-27 00:11:45
リュカ @ryuka511

お通しですと出されたのはおみくじの箱だった。促されくじをひく。「中吉。為せば成る。普段より高い酒を頼むと吉。何だいこれ?」「結構当たるって評判なんですよ。」「面白いけどさ。」「酒の神様は何でもお見通しですよ。」ドヤ顔の店主に苦笑する。「いいだろう、乗ってやる。」 #twnovel

2014-06-27 22:13:42
リュカ @ryuka511

精霊の力が宿った鋼鉄の剣を掲げた。魔界の生暖かい風が、勇者の髪と魔王のマントを煽る。満身創痍の勇者は辛うじて立ち上がった。魔王はまだ余裕の笑みを浮かべているが、それもこれで終わりだと勇者は剣を構え突進する。光を放つ剣。封じたはずの精霊の力に魔王は目を見開いた。 #twnovel

2014-06-29 09:56:01
リュカ @ryuka511

この腕は貴方を悼むためだけに在る。私には貴方を抱き締める事はおろか、殺める事すら出来ないのだ。早く生を終えこの腕にと願うばかり。だが誰も触れられなくなった貴方をこの腕に包めるのは私だけ。貴方が貴方である最後の瞬間だけに、私のありったけの想いを込めて、貴方を悼む。 #twnovel

2014-06-29 23:45:29
リュカ @ryuka511

君の結婚式には、この世のすべての鐘を鳴らして盛大に祝おう。誓いの言葉などかき消すくらいの鐘の音で、二人の前途に祝福を。聖なる鐘の音は、僕の呪詛や嘆きを浄化してくれるだろうか。してくれなかったとしても、それはそれで構わない。幸せな君には、取るに足らない事だろう? #twnovel

2014-06-30 22:42:16