4 まとめると,最高裁判所が,①明示的一部請求肯定説を採っているのは,被告や裁判所の利益を踏まえた上で,原告の意思を尊重していること,②一部請求と過失相殺につき,内側説を採らずに,外側説を採るのは,当事者の利益を踏まえた上で,制度設営者の立場からの判断であることを意味し,
2015-09-25 12:29:35(2) 以上のように,最高裁判所は,一部請求肯定説から内側説を採るように見えるが,当事者の合理的な意思及び裁判所任務(紛争の一回的解決により訴訟経済に資すること)から,最高裁は外側説を採るので,本件において,弁護士Aは,設問のような選択をした。
2015-09-25 12:29:12を基準として過失相殺がなされることを踏まえ,それが印紙代の節約にもなることも加味し,請求金額を決める。したがって,明示された債権総額を基準として過失相殺をし(外側説),処分権主義による制約との関係で,これが請求金額を超えない限り,認容されると考える。
2015-09-25 12:28:33ウ そもそも,一部請求を肯定する根拠は,原告の意思の尊重であるところ,本件において,弁護士Aは,本件の事故態様等から,過失相殺によって損害額から少なくとも3割は減額されると考え,一部請求をしたことからも明らかなように,原告の通常の意思は,損害総額(本件の場合は1000万円)
2015-09-25 12:28:12しかし,後訴における300万円の請求において,前訴と同様に過失相殺によって損害額から3割減額されるならば,内側説によるメリットは被告にないばかりか,応訴の煩という負担が加わるだけである。
2015-09-25 12:27:54明示的一部請求肯定説からは,一部である700万円の損害賠償債権となる。 イ この場合,訴訟において,過失相殺によって損害額から3割減額されたとき,一部請求肯定説からは,訴訟物である700万円を基準として計算される結果,請求認容額は,490万円となるように見える(内側説)。
2015-09-25 12:27:303 最高裁判所が,一部請求と過失相殺につき,内側説を採らずに,外側説を採ること (1) 一部請求と過失相殺 ア 弁護士Aは,損害総額1000万円のうち,一部請求であることを明示して3割減額した700万円の損害賠償を求める訴えを提起することにしたところ,この場合の訴訟物は,
2015-09-25 12:26:52(3) 以上のように,最高裁判所は,明示的一部請求肯定説を採っているので,一部であることを明示すれば,想定した過失割合である3割よりも低い割合による認定がなされた場合,後訴が可能になるので,原告の利益に資するから,弁護士Aが,設問のような選択をした。
2015-09-25 12:26:35,明示を要求すれば,被告は,残部について債務不存在確認の訴えを提起することにより対応できること,③裁判所にとって,実質的には全部の審理をすることになるので,重複審理による訴訟不経済となるところ,明示を要件とすることにより,紛争の一回的解決の要請に資することとの調和を図
2015-09-25 12:26:02(2) この点,実体法上の私的自治の原則の反映としての処分権主義から,①原告の意思を尊重し,一部請求肯定説を妥当と考えるが,それは一部であることを明示した場合に限られると考える(判例 明示的一部請求肯定説)。なぜなら,単なる肯定説によると,②被告にとっての応訴の煩があるところ
2015-09-25 12:25:41前訴の既判力によって否定されるのに対して,訴訟物が700万円であると考える場合(一部請求肯定説),残部請求の後訴は,前訴の既判力によって否定されないからである。
2015-09-25 12:25:11(1) 一部請求の可否の意味 原告は,損害総額1000万円の場合であっても,その一部である700万円の損害賠償を求める訴えを提起することができる。問題は,この場合の訴訟物である。訴訟物が1000万円全部であると考える場合(一部請求否定説),残部請求の後訴は,
2015-09-25 12:25:02※私の答案 第2 〔設問2〕 1 結論 弁護士Aが,設問のような選択をした理由は,最高裁判所が,①明示的一部請求肯定説を採っていること,②一部請求と過失相殺につき,内側説を採らずに,外側説を採るからである。 2 ①明示的一部請求肯定説を採っていること
2015-09-25 12:24:26超えないので,請求認容額は,700万円となる(判例)。つまり,一部請求肯定説から内側説を採るように見えるが,当事者の意思及び裁判所の任務(紛争の一回的解決により訴訟経済を図ること)から,最高裁は外側説を採るので,本件において,弁護士Aは,設問のような選択をした。 以 上
2015-09-25 12:23:18それが印紙代の節約にもなることも加味し,請求金額を決める。したがって,明示された債権総額を基準として過失相殺をし(外側説),処分権主義による制約との関係で,これが請求金額を超えない限り,認容されると考える。本件の場合,1000万円の3割を減額した700万円は,請求金額700万円を
2015-09-25 12:23:08告の意思の尊重であるところ,本件において,弁護士Aは,本件の事故態様等から,過失相殺によって損害額から少なくとも3割は減額されると考え,一部請求をしたことからも明らかなように,原告の通常の意思は,損害総額(本件の場合は1000万円)を基準として過失相殺がなされることを踏まえ,
2015-09-25 12:22:48て,前訴と同様に過失相殺によって損害額から3割減額されるならば,内側説によるメリットは被告にないばかりか,応訴の煩という負担が加わるだけである。そもそも,一部請求を肯定する根拠は,原
2015-09-25 12:22:27一部である700万円の損害賠償債権となる。この場合,訴訟において,過失相殺によって損害額から3割減額されたとき,一部請求肯定説からは,訴訟物である700万円を基準として計算される結果,請求認容額は,490万円となるように見える(内側説)。しかし,後訴における300万円の請求におい
2015-09-25 12:21:30一部請求と過失相殺につき,内側説を採らずに,外側説を採るからである。弁護士Aは,損害総額1000万円のうち,一部請求であることを明示して3割減額した700万円の損害賠償を求める訴えを提起することにしたところ,この場合の訴訟物は,明示的一部請求肯定説からは,
2015-09-25 12:21:11※「紛争の一回的解決」は,「判例が外側説を採用していること」を踏まえて,訴訟経済に資するという意味であって,弁護士Aが「このような選択をした」理由として,理解できる。 ⇒弁護士Aが,設問のような選択をした理由は,最高裁判所が,明示的一部請求肯定説を採るも,
2015-09-25 12:20:33とにより,紛争の一回的解決の要請に資することとの調和を図ることができるからである。つまり,明示をすれば,過失割合が予想していた3割よりも低かった場合,後訴請求が可能となる。
2015-09-25 12:20:04なぜなら,単なる肯定説によると,②被告にとっての応訴の煩があるところ,明示を要求すれば,被告は,残部について債務不存在確認の訴えを提起することにより対応できること,③裁判所にとって,実質的には全部の審理をすることになるので,重複審理による訴訟不経済となるところ,明示を要件とするこ
2015-09-25 12:19:53