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2015年4月11日開催、滅亡祭2.5「滅亡colors」
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青い空の下は喧騒に包まれていた。人、人、人。人はこんなに増えるべきじゃなかったんだ。だからすべてを終わらせよう。すうっと息を吸い、はあっと吐き出す。一歩、前へ。黄色い電車がやってきて、ぼくは見えない床に足を踏み出して、それで。 #twnovel #滅亡colors
2015-04-11 13:29:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
#twnovel お父さんに蹴られた日を思い出した。お母さんを心配させたくなくて、紫になったすねを、季節外れの長ズボンで隠してた。あの時下半身にかいた汗よりさらに大量の汗をかきながら、このマグマが私より一秒でも先にお父さんを溶かしてくれることを望んでいる。 #滅亡colors
2015-04-11 13:39:53![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
飴を降らそう。空からたくさんの飴を。ひとなめすればあまーいよ。ふたなめすれば幸せに。民衆は次々に降ってきた飴を拾う。世界中で赤や黄色やいろんな色が散らばり、人々は頬張る。みんな、当たりだよ。おめでとう。みくちなめてあの世行き。滅亡の、第一歩。 #滅亡colors
2015-04-11 14:13:18![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
青い空、彼女の声。部活の試合では僕がヒーローだった。そう、「だった」のだ。黄色の声援はいつしか無いものになり、夢は只の夢で終わった。あの頃を懐かしむように僕は空を見上げる。青空はない。今にも雨が降りそうな灰色な空が一面に広がっていた。 #滅亡colors #twnovel
2015-04-11 14:47:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
世界が死へと駆け足で向かって行く時、朝焼けの色だろうと豪語したのは誰だったか。地面の肥料となるべく積み重なるそれらの、どれかだったはずだが……少女は嘆息し、世界を眺めた後、自らの右手を見た。灰色。急速に衰えて行く地球が最期に見せたのは、モノクロームの世界だった #滅亡colors
2015-04-11 14:52:32![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「青い鳥を探しているんだ」その兄妹は言った。「幸せの鳥?」私が聞くと、「そう。世界から人間の妬みや憎しみを消すために」そして空を指差した。「見つけた」見上げると、鳥の群れが空を覆い尽くし、翼に付いた青い猛毒を撒き散らしていた。それが、人類の見た最後の色だった。 #滅亡colors
2015-04-11 14:54:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
今日の世界が一際キラキラと輝いているのは、滅びに向かって砕けていく世界の破片が舞っているからだ。その美しさに魅入られて、私は降ってくる虹色の欠片を拾い集める。全てを集めきった時、それは世界の終わり。それを見届け胸に抱き、私も最期を迎えるのだ。 #twnovel #滅亡colors
2015-04-11 15:03:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
鮮やかなオレンジ、穏やかな紫、優しげなピンク。 滅亡の色彩が、世界に降り注ぐ #滅亡colors pic.twitter.com/YWavGf0aCx
2015-04-11 15:55:22![](https://pbs.twimg.com/media/CCSteUOUgAAy5Qp.jpg:medium)
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赤は生命の色だ。世界もまた、生命の赤い血を内部に留めていたのだ。それが今、身体から溢れて流れ出ている。それは生命の力強さを示すように熱く、周りの全てを飲み込んで滅びを加速させている。 #twnovel 中央では巨大な活火山が止めどなくマグマを噴出し続けていた。 #滅亡colors
2015-04-11 16:00:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
#滅亡colors 目に見える世界はホンモノですか? つまらない現実から逃避していませんか? ボヤボヤしていると取り残されますよ。 嘘だと思ったら見てごらんなさいよ。 鏡はありのままの黒い歴史を映していますから。 楽しいまま生きた成れの果てが見えますから。
2015-04-11 16:34:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「シアンってどんな色?」「ベージュと朱色の間らへん」「群青ってどんな色?」「浅黄色と象牙色を混ぜた感じ」「嘘つきだねぇ」「僕は僕ほどの正直者を他に知らないよ?」「じゃ、滅亡って何色?」「君色、かな?」「適当だねぇ」#滅亡colors 「君色って、実際あるんだよ?」「嘘」「嘘だよ」
2015-04-11 16:41:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
#滅亡colors 色泥棒が現れました。私の青春の青色や、ファーストキスのレモン色。ほかにも色んな色を奪っていきました。だから私も奪います。私の友達と腕を組む、あなたのその腕から赤を。言い訳をするその口から白を。怯えた瞳の黒を、次は奪います。
2015-04-11 16:43:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
赤い藤の花が、咲いている。 その下で君を待っているのだけど、なかなか君はやって来ない。 ここは世界が滅んだみたいに静かで、とても待ちやすいから、いいけれど、早く来てくれると嬉しいな。 藤から滴り落ちる赤い雫を眺めながら、僕は君を待ちわびる #滅亡colors #twnovel
2015-04-11 16:55:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
空が橙に染まっている。昇りはじめた太陽が顔を出したからだ。大地が橙に染まっている。家々に火が燃え広がっているからだ。最期の力を振り絞って、太陽が世界を炎の海に変えていく。太陽の光と熱を受け、オレンジの光と炎に覆われた世界はとても暖かかった。 #twnovel #滅亡colors
2015-04-11 17:11:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
#twnovel 青い絵の具一本しか買うことはできなかった。あの電気屋のテレビで見た巨大ロボットを、少年は潰れた洋服屋のシャッターに描き殴る。全然似てなくて、もっと色々な色があればいいのにと彼が涙をこぼし、絵から視線を話すと、その青い破壊神は小さく震えた。 #滅亡colors
2015-04-11 17:21:18![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
世界の終わりを察知した人魚は、海の中へと逃げ込んだ。電磁波だろうか超音波だろうか、分からないが不快な空気がまとわりついて離れない。それを振り払うように、さらに深い場所へと泳いだ。辿りついた海の底は、目が眩む程の赤。人魚は悟る。逃げる場所なんて、もうどこにも、 #滅亡colors
2015-04-11 17:24:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
#滅亡colors 薄暗い遊園地で見つけた、オレンジ色のライトに照らされたメリーゴーランド。これが最後。そうだよね。王子様が乗るはずの白馬に跨がった私たちは、ゴールのない一方通行な遊具と同じ人生だから。きみと繋いだ手から、互いの熱でチョコレートみたいに溶けあいたいよ。
2015-04-11 17:25:16![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
夜空に星が一つ。 微かに光る銀を見つめるのは少年と一輪の紅いバラ。 砂漠で体育座り。 この銀が瞬くことをやめてしまったら、世界は本当に終わるだろう。息苦しさに耐えながら少年は呟く。 「大好きだよ」 もういなくなった、誰かに向けて。 紅いバラがかすかに揺れた。#滅亡colors
2015-04-11 17:39:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
春、桜色に光るきみの唇を見つける。夏、緑色のそよ風に揺れるきみの髪を抱く。秋、朱色に染まる葉の上できみと踊る。冬、真珠色に沈む街にきみの面影を探す。こうして世界がまた一周した。どうかぼくを覚えていて。ぼくの心は新しく、生まれ変わろうとしている。#twnovel #滅亡colors
2015-04-11 17:46:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
黄色い歓声があがった。人々の輪の中心にいるのはこの世界最後の楽団。曲を奏で、歌を唄い、ダンスを踊る。彼らの音楽は破滅への前奏曲。その音色に魅了された人々は、喉が潰れても黄色い歓声をあげ続け、いつしか目の前はチカチカと、黄色に塗り潰されていく。 #twnovel #滅亡colors
2015-04-11 17:53:05![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「飲みなさい坊や」「やだ。前は美味しかったけど、今は茶色くて不味そう」私は眉をひそめた。坊やがこれを飲むのは初めてのはずじゃ。#滅亡colors 確か人類が宇宙人に駆逐されて、地球に自然が蘇った時さ。坊やはカップを傾け、床に茶色をこぼした。「反省しない星に、飲む価値なんてないよ」
2015-04-11 18:02:00![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
空が、染まっている。私には昔から人にはないちょっとした特技があった。空の色で明日を占えること。たんぽぽ色を映していたのは、春一番の前だったし、冷たい白の日は酷い雪の前だった。その空が、今日は赤黒く染まっている。まるで血を塗ったようだ。これが終末の色なのか。 #滅亡colors
2015-04-11 18:12:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
◆生まれ出でた感覚すらないまま生きてきた。平坦な道を歩き続ける。ぷつりと途切れるそのときが終わりなのだと思っていた。透明な闇に落ちる。誰かに触れることなんてなく、救われるわけもない。そう、思っていた。桜色は、息を止めるね。自身の死以外の終幕を知り、男は呟いた。 #滅亡colors
2015-04-11 18:40:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
本格的な春が来て、新緑が眩しい。そんな季節に、ようやくこの世界樹も瑞々しい緑の葉を茂らせた。きっと樹の天辺にある花も、今日の夜には咲くだろう。世界樹は世界中から栄養を吸い取ることで成長する。全てを吸いきった時、世界一綺麗な花を咲かせるという。 #twnovel #滅亡colors
2015-04-11 19:29:31![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
青い空、白い雲、赤い海。すべてのものが死に絶えてぷかぷかと浮かんでいる。さあ次は森の番だ。きれいな赤に染めてあげる。人間は最後だよ。その方が絶望感が増して愉快でしょ。大丈夫。赤く染まるときは一瞬だから。 #twnovel #滅亡colors
2015-04-11 19:33:16