ノーベル平和賞受賞した18歳のマララさんへのインタビューの舞台裏

梅原季哉 Toshiya UMEHARA @tosume

【マララさん取材舞台裏１】未明からご紹介している通り、ノーベル平和賞のマララ・ユスフザイさんにインタビューしました。その取材の裏話を、ドタバタぶりも含めてご紹介します。相当な数の連投ツイートになりますが、ご容赦ください。t.asahi.com/ifnf

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【マララさん取材舞台裏の２】記事中にも書きましたが、お断りしておきますと、実はこのインタビュー、実施したのは８月のことです。日本では１２月から公開される映画「わたしはマララ」の制作がほぼ終了したタイミングで、記者会見し、インタビューにも応じてくれました。

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【マララさん取材舞台裏の３】インタビューから報道まで間があったのは、映画公開が近づくまで記事化を控えてほしいとの制作側の要請によるものです。マララさんは今でも命を狙われる身で、その動向は慎重に扱うべき面もあり、何より彼女の声を伝えることが大切なので、要請に応じることにしました。

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【マララさん取材舞台裏の４】彼女には以前からインタビューを申し込んでいましたし、昨年のノーベル平和賞受賞決定時、バーミンガムで彼女があいさつする場にも行きましたが、質疑応答の機会はありませんでした。インタビューできるなら、聞いてみたいことは山ほどありました。

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【マララさん取材舞台裏の５】ただ、等身大の１８歳の言葉だからこそ重みを持つ面もあります。だから、一番関心があったのは素顔のマララさんが何を考えているかでした。彼女自身が自分をどう見つめているのか知りたい、と思いました。

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【マララさん取材舞台裏の６】取材の申し込みが認められた段階で、映画会社側からはまず、ロンドンでラッシュ版の試写に行くよう指定があり、その翌日に、監督やお父さんと一緒の記者会見と、彼女への個別のインタビューがある、と聞かされました。

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【マララさん取材舞台裏７】ところが、試写の当日、会場に赴くと、何かの手違いで私の名前が名簿にありません。担当者がどこやら電話をかけて問い合わせた末にOKが出ましたが、翌日の会見やインタビューは大丈夫かなと少し不安に駆られました。

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【マララさん取材舞台裏８】この手の取材ではよくあることですが、事前に求めたカメラマンの同行は断られていました。でもまあ、何があるか分からないので、当日はカメラバッグに撮影道具一式詰めて、集合場所のホテルに向かいました。警備上の理由で、そこから市内某所へバスで移動です。

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【マララさん取材舞台裏９】バス中では担当者から「写真、ビデオは一切だめ、サイン頼むのもだめ。解禁日時まではツイッターとかソーシャルメディア上での発信もしないで」。ああ、カメラバッグが無駄になった、と思いました。でも、会見とインタビューに集中しようと気を取り直しました。

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【マララさん取材舞台裏１０】今回、インタビューは単独ではなく１対２だと聞かされました。一緒になるのはケニア紙の南アジア系らしい女性記者でした。単独でないのは残念ですが、時間は２０分しかないので、事前に用意していた質問リストを出し、すり合わせましょうと提案しました。すると……

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【マララさん取材舞台裏１１】インタビューの相方となるケニア紙の記者は大らかな人らしく、特に質問は用意していなかったようで、私が事前に考えたリストをみて、「うんうん、いいですね」。主導権はこちらで握って構わないようです。そうこうしているうちにまず記者会見の時間です。

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【マララさん取材舞台裏１２】記者会見はマララさんだけでなく、グッゲンハイム監督、マララさんのお父さん、プロデューサーらと合同です。記者は２０人ぐらいいましたが、時間は３０分。必死に手を上げていたら、後半にさしかかった時に順番が回ってきました。

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【マララさん取材舞台裏１３】「私も同じ年頃の子がいる父親としての質問です」と前置きして、マララさんに、自分に注目が集まるばかりの中、どうやって自分を保っているのか、と聞きました。マララさんはちょっと笑みを浮かべ「いい質問ですね」と前置きしてから、答えてくれました。

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【マララさん取材舞台裏１４】宿題をしてテストを受けて弟たちとけんかもする普通の女の子と、世界に向けて提唱する女の子と、二人の自分がいるみたいに見えるかもしれないけれど、どちらも私で、私は私です、というのがマララさんの答えでした。

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【マララさん取材舞台裏１５】次はいよいよインタビュー。私から、ケニア紙の相棒さんのことも考えて、ナイジェリアで女子生徒を誘拐人質にとっているボコ・ハラムのことにも触れながら、今回の映画を通じて期待することから尋ねてみました。落ち着いた声で答えが返ってきて、順調な滑り出しです。

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【マララさん取材舞台裏１６】次はケニア紙記者さんの番と思いきや、彼女はインタビューよりマララさんとのおしゃべりに関心があるらしく、「あなたは私の英雄」などと語りかけるばかりで、その後もほとんど質問しない。珍しく「○○に会ったことはある？」との質問には、マララさん「ありません」…。

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【マララさん取材舞台裏１７】この相方さん、時々マララさんの答えを全部聞かずにさえぎって話しだしてしまうので困りましたが、話の潤滑油なんだと思い直し、私は質問を続行。おかげで首尾よく、ぜひ聞こうと思っていた質問はほぼ聞けました。すると、お付きの映画会社担当者が「最後の質問ですよ」。

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【マララさん取材舞台裏１８】ケニア紙記者さんが真価を発揮したのはその時でした。マララさんに「セルフィー（自撮り、というかこの文脈だとツーショット、ですね）もダメって言われてて、厳しいわよね〜」とぶつけます。するとマララさんはあっけらかんと「いいじゃないよ撮りましょう」。えっ？

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【マララさん取材舞台裏１９】いきなりのツーショットタイムに、映画会社担当者は仏頂面ですが、本人がいいと言ったので渋々カメラを構えています。私はあわててカメラを取り出しそのさまを撮影。離れたところでマララさん単独でもう数ショット。その間１０秒ぐらいだったと思います。

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【マララさん取材舞台裏２０】ほんとうは別のアングルとか表情を撮りたかったのですが、映画会社担当者はもう完全に巻きがはいっていて、「はいおしまい〜」。万事休す。ところがマララさん、私を指して「彼はセルフィー撮ってないじゃない。撮りましょうよ」。優しいです。

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【マララさん取材舞台裏２１】内心は、「ツーショットでなくあなた単独でもっと撮らせてほしい」と思いましたが、四の五の言うとお目付役が今にも怒りだしそうだったので、おとなしく私もマララさんとカメラに収まりました。ここで完全にタイムアップ。最後に「がんばって」と言って部屋を出ました。

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【マララさん取材舞台裏２２】お邪魔虫に思えたケニア紙記者さん、実は彼女がいなければ絶対に写真撮影はかなわなかったので、幸運の女神でした。ご本人は、自分がほとんど質問していなかったことなど全然意に介していないようすで、「マララとセルフィー撮れた」。嬉しそうでした。

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【マララさん取材舞台裏２３】…というわけで、紙面やウェブに載ったコマの数秒前、ケニア紙記者さんと並んでツーショットに収まるマララさんです。 pic.twitter.com/gmSHyymOSJ

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