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数えられるだけの手さえも持たない。線が引かれていく。たった二本だったそれが、複雑な形を取ったら。数え上げることの出来る想いに変わる? あいしてる、は8つ。だからきっと広がっていくね。線を引いていく。繋げない手の代わりに、伝えられない声の代わりに。おやすみ、暗闇だけを、あいしてる。
2014-07-02 02:48:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
夢と現実の境目を辿る。くらりとバランスを崩したら簡単に混ざり合うふたつは、薄っぺらい「僕」という膜で隔てられている。こっちの僕は僕じゃない。あっちの僕は僕じゃない。綱渡りの日常を踏み外したら「僕」は消えてしまう。渡り切れるのが当たり前、だってさ。疲れたな。おやすみ、混ぜちゃった。
2014-07-13 04:02:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
瞬きの重みが増していくのは、重力が僕を抱きしめに来たから。惑星という重量に愛された僕はその愛の重みに沈まなくてはならない。 口付けさえも知らない僕には手の温もりだけが愛だった。だから、その手が熱くても、僕には振りほどけないのだ。僕を手放してくれよ。おやすみ、暗闇だけに愛されたい。
2014-07-15 04:47:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
静寂を塗り替えた沈黙が降る。やわらかい衣擦れの音。前進しない寝返りで、君は泥沼のような夢へ落ちていく。だからもう君はここにいない、のに。焦れったいクーラーの稼働音の隙間から寝息が漏れ聞こえる。いないはずの君が僕を誘う。ずぶずぶと沈む身体に絡み付く吐息。おやすみ、暗闇に落ちていく。
2014-07-17 02:58:01![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
さよなら、なんて言葉には未練があるように思えてしまう。だって、別れの言葉なんて本当はなくていいはずだから。気付けば別れさえも手を擦り抜けてる。
2014-07-23 04:20:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
だから、おやすみ。まだ寝たくないけど、寝なくちゃいけないんだ。おやすみ、おやすみ。暗闇だけを愛して、それでも朝に辿り着いてしまう僕のままで。
2014-07-23 04:21:19![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
幾つかの仮定を書き出してみても、どの道を進んでも変わらないような気がした。どこにいくかは最初から決まっていて、だけどきっと僕が感じることは違ってしまうんだろう。僕が浮かべる笑顔も流す涙も僕に予報できるものじゃない。クレーターだらけのダイスを振ろうか。おやすみ、暗闇だけを愛してる。
2014-07-28 02:41:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
この空は暗闇だけにはならないし、僕はただ眺めることしかできない。翔んでゆけないし、融け合うこともできない。こんなにも、あいしてるのに。
2014-07-28 23:21:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ここにある僕と鏡で輪郭を辿る『私』。鏡の向こうに生まれるあいしてる、に、僕は触れられない。届かないのではなく、重ならないのだ。『私』が『私』であるふりをする度に僕がズレていく。いっそ重なり合わない場所までいってしまえたら。そんなの、無理だけど。おやすみ、暗闇の中ならあいしてるよ。
2014-07-29 03:35:59![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
目蓋を貼り合わせて愛する姿を閉じ込める。抱き締められるだけの確かさも持たない存在を、どうして信じていられるのだろう。滑り落ちる砂が掻き消していく憧憬を掘り出すことに厭きたら、きっともう出会うことはない。砂が尽きるよりも先に、この手が朽ちるだろう。おやすみ、暗闇だけを愛してるんだ。
2014-07-30 02:25:47![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
名前、を、落としたのだと言った、名も知らぬひとの溶けた夜に響かせてみた唄はなにもしらない少女の声で鳴る。恋も愛も、君も私も、違いなんてしらない。名前、を、付けたのはもうずいぶんと前の話だったはずで、だから落としたのだと言ったあのひともしらない。おやすみ、暗闇にまだ落ちているかな。
2014-09-05 04:17:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
羽根を持たない魚たちが滑走路を駆けていく。稲光が幾度も空を割っても、向こう側にもひびにも触れることはなかった。スロープの外されることのない経路が不自由なのか自由なのかは目的地の在り処に託されているから、どこにも宛のない僕には滑稽でしかないんだ。おやすみ、暗闇が空から墜ちてくるよ。
2014-09-11 02:47:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
触れた指先の感触は移されず、洗い流されず、ただ残り続ける。君の温度を覚えていたくても、君の柔さを願ってみても、硬質な端切れだけが積み上がっていく。何度もなぞる破片には磨耗がやさしい輪郭を作ること、を、僕らは知っている。だから、何度でも、を重ねよう。おやすみ、暗闇の中から愛してる。
2014-09-13 04:26:29![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
溺れるだけの思考が窒息を待っていた時間の名前を僕は知らない。抱える膝さえも遠くて、漂う身体の姿勢さえ安定させてはくれない。泡になる呼吸が推進力となって視界は回転し続けて、移ろう季節の色だけが変化だった。わからなくなりたかったよ。本当は。おぼれる。おやすみ、暗闇だけを愛してたんだ。
2014-09-16 03:15:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
足りない充足感を秋風に流して、どうかもう心をなくしてしまいたかった。彼方を呼んだ夕暮れに幸いは帰ってこない。一緒に、という世迷い言を繰り言に落としこんで、二度と、を破棄する。三度目の仏はただの偶像だから午前三時の穴だらけの神木で彫れば良いね。おやすみ、暗闇にならゆるされたいね。
2014-09-20 03:46:52![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
鎮まらない温度を宿らせて暗闇に混ざり込んでも残留する意識が揉まれては打ち上げられる。歪んだ視界は眩みたがって混線した思考をショートさせた。揺蕩うのが安らぎなら溺れるだけの重みはなくしてしまうべきなのに、故障を剥がせないまま波は去っていく。おやすみ、暗闇の砂浜に夜の残骸を溶かしてく
2014-09-21 05:07:05![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
僕らはどうしようもなかったんだ。何にもなれない。何処にもいたれない。甘ったるい言葉で誤魔化した、そのことさえも知らないまま。共有するものを数えても、僕らは沈黙を計ってばかりだ。隔たりの壁の枚数よりも距離を計ってくれ。もう声は届かない。おやすみ、暗闇だけは同じだったかもしれないね。
2014-09-30 04:56:12