貧困ゆえ家庭を持ち子孫を残すことのできない人間は生物学的に生きる意味があるのかどうかについて

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アトレティコ・アドリー @rrrt77

人生に頓挫したり、鬱に閉ざされたりすると、人間は「人とはなぜ生きるのか」と思い悩んだりするわけです。そして古来からこの問題には答えが出されておらず、考えるにつけ袋小路に陥り、挫折した人間はなおなお精神を病んでいくこととなります。

2015-09-26 05:55:37
アトレティコ・アドリー @rrrt77

近代以降登場した生物学という学問、こと遺伝学の領域では、生物とは己の遺伝情報を後世に伝えることを一義としており、そもそも生物体とは元時空における遺伝子の箱舟、外殻に過ぎないのだという概念を導きました。この冷たいアイデアも答えを欲するものからすると一つの救いにはなるのです

2015-09-26 05:59:02
アトレティコ・アドリー @rrrt77

生物の生存時間内における究極目標が繁殖であるというのは、別に遺伝子を突っつき突き詰めていかずとも、誰もが多かれ少なかれその価値観の中で理解できていることなのであります。昔から人生における象徴的成功は幸せな家庭を持ち子宝に恵まれることだと語り継がれてきました

2015-09-26 06:04:00
アトレティコ・アドリー @rrrt77

今でもこれはそうで、社会の風潮的に結婚できない人間は半端者扱いされますし、多くの人間が自分の人生を設計する場合、まず最初に頭に浮かぶのが職業でしょうが、ここにはその先にある結婚というイベントを睨み、これに耐えうる経済力を用意しうるかという計算が、大きなウェイトで織り交ぜられます

2015-09-26 06:10:30
アトレティコ・アドリー @rrrt77

年収300万以下では結婚できないという風潮に怯え必死に正社員を目指したり、「『年収いくらいくらの男は恋愛対象ではない』とある女性は語った」という煽り記事にセンシティブに反応し憤ったり、恋愛対象になれるようよりよい職を目指したりするわけです

2015-09-26 06:13:05
アトレティコ・アドリー @rrrt77

恋焦がれる異性がいて、気がついたら結婚していたということではなく、どうにも結婚しないといろいろまずいようだというプレッシャーに、人は社会の雰囲気から、はたまたそれも本能の破片の干渉を受けているのかもわかりませんが晒され続けているわけです。

2015-09-26 06:16:11
アトレティコ・アドリー @rrrt77

こうなると恐ろしいのはそれでも結婚のできない人間はどうなるのかということです。いろいろな試算により、まともに家庭を維持できる経済ラインは年収300万といわれていますが、この一見低そうに見える水準は、今の社会では非正規の人間には達成が極めて困難な数字となっています

2015-09-26 06:19:41
アトレティコ・アドリー @rrrt77

「子供を幸せにすることのできないのが確実な低所得者が子供なんか持つんじゃない」という辛辣な社会的圧力へのあれば、自分自身これを自覚し、結婚を諦める非正規層の数は莫大なものとなっています。

2015-09-26 06:24:11
アトレティコ・アドリー @rrrt77

体は健康で、寿命はありあまっていて尚、経済のからくりと未来の予見から、生きていくうえでの最大級のイベント、意味合いを放棄しなければならない。これは実に悲しい事実であり、己の存在を失敗した者と捕らえ心を弱らせる人間は数知れないわけです。

2015-09-26 06:27:33
アトレティコ・アドリー @rrrt77

そしてその丸められた背中は、その痛みを知らぬ成功者たちから「淘汰圧にさらされこの世から消えていく定めにある負け犬」との見も蓋もない揶揄で蹴り飛ばされることとなります。

2015-09-26 06:30:22
アトレティコ・アドリー @rrrt77

そこまで言われるなら、またはこの問題で生涯自らを救いようのない敗北意識の檻に閉じ込めるならば、場合によっては不幸な家庭を承知で結婚に踏み切ったほうが人はまだ救われるのではないかという懐疑すらあります。

2015-09-26 06:34:49
アトレティコ・アドリー @rrrt77

「家族を幸せにすることのできないことが確実な経済弱者が家庭なんか持ってんじゃねえよ」などという外圧も、その先にあるある程度必然な後悔に満ちた未来も徹底的に無視するというアイデアです。それで結果的に救われる人間も少なからずいるものとは予想されます。

2015-09-26 06:35:55
アトレティコ・アドリー @rrrt77

ただここで一つ考えなくてはならないのは、今日の生物学で理解されている個体に課せられた生きていくうえでの第一命題、繁殖という名の自己保存は、本当に自己保存なのかという問題です。

2015-09-26 06:37:31
アトレティコ・アドリー @rrrt77

昔我々の祖先は単細胞にて生き生活し、栄養状態などの環境が許せば好きなときに分裂する暮らしの中にありました。こうして生まれた分身は、理論的には自分の遺伝子を100%受け継いだクローンであるので、これはもうどう考えても本当の意味での自己保存に成功したわけです

2015-09-26 06:39:38
アトレティコ・アドリー @rrrt77

しかしながら、遺伝配列が固定されていると急激な環境変化の発生下では己が未来の分身たちが絶滅する恐れがある。環境変化に対応できるよう遺伝情報を流動変異させていかなくてはならない、という事情があったものと今日では推定されていますが、祖先たちは今ある有性生殖の形式を覚えるわけです。

2015-09-26 06:42:27
アトレティコ・アドリー @rrrt77

これを行うと子孫は自分の遺伝情報を50%、配偶者の情報を50%ずつ併せ持った遺伝的にはまったく新たな存在となるので、その遺伝的多様性は爆発的に高まります。環境変異にさらされても1,2匹は生き残ることが期待できるわけです

2015-09-26 06:44:32
アトレティコ・アドリー @rrrt77

しかしここで疑問となってくるのは、それは本当に自己保存なのかということです。自分の子供くらいまではまだ自己の遺伝子を50%も残しているわけですから、本人にとっては主観的本能的に非常に愛着があってかわいらしい。このような愛の結実をもてた自分は幸せ者であり

2015-09-26 06:46:14
アトレティコ・アドリー @rrrt77

その存在はわが身を呈しても守ろうという気概も沸いてくるわけです。ですが孫の代になるとこの一致率は25%に低下します。それでもやはりまだまだ愛らしい。年老いた人間は孫を目に入れても痛くないと溺愛するわけです。ですが10世代後にはその一致率は1000分の1にまで低下しています

2015-09-26 06:48:27
アトレティコ・アドリー @rrrt77

こうなるともはや自分の片鱗は見出すことすら困難になっています。そこにあるのはそれでもやはり自分の子孫であるのだという概念と事実のみですが、繁殖の意義を真なる意味での自己保存に求めるのならば、それはどうにも破綻したような気がしてならない。たった10世代後の時点でそうなるわけです

2015-09-26 06:50:12
アトレティコ・アドリー @rrrt77

こうなると個体などというものは、ほんとうにほんとうに価値のある、ゆえに堅く守られ傷一つつかない財宝としての遺伝子を運ぶ船ではなく、単純に生きているという行為を連続させるため、時代時代で脱ぎ捨てられる抜け殻のようなものと言ったほうが正しいように思われてくるわけです

2015-09-26 06:55:47
アトレティコ・アドリー @rrrt77

真に守らされているのは己の存在を刻み許容する遺伝情報ではなく、生き物が時をへても生き物としてあるための全体的な現象であるような気がしてならないわけです。ここでまたそれでは人はなぜ生きるのか、はたまた結婚もできない経済弱者は哀れな敗者かという疑問が立ち返ってくることになります。

2015-09-26 06:59:25