フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ #6

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様のせいで俺の獲得ギャランティは当然受けてしかるべき金額の一割すらも割った!」サイサムライは憎々しげに言った。「この損害をどうしてくれる!」ドーシンは補足する。「オヤブン……既にスタジアムにサンライザーが入りやがった……この場所から奴を殺す事ができる可能性は0%ですぜ」98

2015-09-30 01:57:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「命を奪うゆえ、そうした皮算用は無意味となる!」ニンジャスレイヤーは言い放った。だが、その瞬間!KRA-TOOOM!遠い地点からの<主>の戦車砲撃が彼らを呑み込んだのだ!「「「グワーッ!」」」黒煙と粉塵が晴れると、そこには危うく連続側転回避を済ませたニンジャスレイヤーひとり!99

2015-09-30 02:01:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サイサムライとドーシンは回避が間に合わず、砲撃の藻屑と消えたのか?バカな!その時彼らは数十メートル離れた地点を足の裏のローラーを駆動させて高速移動中であった。「忌々しい奴め……ニンジャスレイヤー!」サイサムライは唸った。「次はリスクとリターンを噛み合わせ、命を獲る!」100

2015-09-30 02:05:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サンライザー!」「ネズミハヤイ!」「サンライザー!」「ネズミハヤイ!」スタジアムでは両者の名前を連呼する観客の叫びが巨大な波となってうねる!最後のカーブ……外側はネズミハヤイ……インを奪ったのはサンライザー……だがネズミハヤイは諦めない!食らいつく!ギャルルルルル! 101

2015-09-30 02:09:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クロームシルバーとプラチナゴールドが衝突し……ビリヤードの球めいて互い違いの方向に弾かれた。スピンする車両がゴールラインを割った……「ワオオオオオーッ!」観客席が沸騰した。「しょ……勝者」ビッグユージは震え声を絞り出した。「勝者。ネズミハヤイDIII、デッドムーン=サン!」102

2015-09-30 02:14:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワオオーッ!」「あらたな勝者の誕生だ。祝ってやれ!」彼は叫んだ。己自身にも向けた言葉であった。スキャンダルに、超高額優勝賞金の未回収。この後ハシリ・モノは、ユージはどうなる?考えても詮無い事だ。今はただ、優勝者と、戦い抜いたサンライザーとを、祝ってやらねば。 103

2015-09-30 02:17:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

様々なオリガミや紙テープが宙を舞う中、ビッグユージはキンキー・コウイチとフラストミチ・マレナを伴い、降りて行った。デッドムーンはネズミハヤイの車内、シートをめいっぱい倒し、そのまま動かずにいた。やがてドア窓がコツコツと叩かれた。四着で入って来たゲバタである。 104

2015-09-30 02:23:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「褒めてやろう、坊主」「大きくなったろ」デッドムーンは椅子にもたれたまま言った。「今じゃネクタイどころか、自分の靴ひもを自分で結ぶこともできる」「たいした成長ね」「これで安心してあの世に行けるか?婆さん」「アリシアの面倒を見られるのはアタシだけよ」「違いない」 105

2015-09-30 02:26:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「礼を言うわ、ミフネ」「何だい……」「助けてもらわなければ、そのままブザマな晩年を迎えるところだったからね。迷い道だなんて、いかにも締まらない」「礼なら俺じゃなく、アイツに言うといい」「イチロー=サンね」ゲバタはスタジアム外壁の上にうずくまる影を見上げた。「あのニンジャに」106

2015-09-30 02:33:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

レイコはマイクを奪い、大言壮語の最中。「三位。それは突発的トラブル!運が無かっただけだ。実質俺の一位だ。来年はそれを証明してやる!」やがてデッドムーンは車外に降り立った。やや離れた地点に立つサンライザーと目が合った。107

2015-09-30 02:36:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

腕組みして直立するサンライザーの表情は、被ったままのヘルメットの下で窺い知れない。だが、不意に彼はデッドムーンに向き直ると、厳かにオジギをした。ゲバタはそのオジギとデッドムーンとを見、片眉を動かした。デッドムーンは何か言おうとしたが、やがて、サンライザーにオジギを返した。 108

2015-09-30 02:40:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「出来た子ね」ゲバタは微笑んだ。デッドムーンは無言で肩をすくめて見せた。「さて。やる事やったんで、俺は帰る……そろそろ都会の空気に触れないと、耐えられない」「それは結構だこと」ニンジャスレイヤーの姿も、もはや無い。「アンタはこれからどうする」デッドムーンはゲバタに訊いた。109

2015-09-30 02:46:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ひとまず近くのオンセンでも探すわ。年寄りは久しぶりに思い切り走って疲れたからね……」「ああ、それがいい」「オタッシャデ」「婆さんもな」彼らがかわした言葉はそれだけだった。ゲバタ・テルコがアリシアVに乗り込み、そのままスタジアムから去るのを、デッドムーンは少しだけ見送った。110

2015-09-30 02:52:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ】終わり。

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