橋本・基礎 230頁まで
裁決主義(230頁) ①行政処分に不服がある者が 行政不服申立てで棄却裁決を受けた後に さらに取消訴訟で争う場合 争い方として ②一般(行訴法)には 「原処分の違法につき取消訴訟で争う方法」と「不服申立て棄却裁決につき取消訴訟で争う方法」の2つのルートを自由選択できるが
2015-10-02 09:53:31②実定法上の根拠(行訴法10条2項 裁決の取消しの訴えを提起しても 裁決固有の瑕疵のみ主張することができるに過ぎないので 原処分の違法を主張したいのであれば 処分の取消しの訴えを提起しなければならないから)
2015-10-02 09:47:57原処分主義(230頁) ①定義(行政不服申立てで棄却裁決を受けた者が さらに取消訴訟で争う場合 違法事由として 原処分の違法を主張(攻撃)するときは 処分の取消しの訴えを提起しなければならないこと)
2015-10-02 09:47:49④よって 原処分主義によるので 原処分である「認定」をつかまえて「取消訴訟の対象」とする ⑤この場合 裁決の違法事由を主張したいのであれば 裁決の取消しの訴えとして 裁決(判定をも含む)固有の瑕疵についてのみ争えることになる
2015-10-02 09:40:38したがって 個別行政法の解釈に当たって「例外」となるか否かは 「明確」に判断できなければならない ②入管法には 例外である裁決主義に係る「明文規定」は存在しない ③したがって 個別行政法である入管法との関係では 例外としての裁決主義は取られていない
2015-10-02 09:40:27①行訴法 10条2項(原処分主義)の制度趣旨(原処分と裁決という2つの行政決定について 裁判手続上の整理をすることにより 国民が取消訴訟制度を利用する際の混乱を避け 訴訟不経済を防ぐとともに 二重起訴による裁判所の判断の矛盾抵触を回避すること)⇒
2015-10-02 09:40:09⑦公定力の根拠(法律上取消訴訟が設けられていて 取消訴訟には排他的管轄があるから すなわち 処分の違法につき 法が取消訴訟を法定しているのは 処分の有効性を争いたい場合 もっぱら取消訴訟という類型を選択すべきであって それ以外の訴訟類型で処分の有効性を争うことはできないから
2015-10-02 09:24:39⑥公定力の定義(行政行為は たとえ違法な場合であっても 違法の程度が重大かつ明白なときを除き 取消権限のある国家機関によって取り消されない限り 何人(私人)・裁判所・行政庁)も その行政行為の効力を否定できない という 行政行為(≒処分)の効力)
2015-10-02 09:24:08④一応の規範(「独立性の高い行政行為間(課税処分と滞納処分間) においては 違法性の承継を認めない」「目的効果の両面で一連の過程として行われる行政行為間(事業認定と収用裁決) においては 違法性の証明を認める」)
2015-10-02 09:23:40③解決の方針(利益衡量 「先行行為の法的効果を早期に確定させるメリット」と「後行行為の段階で先行行為の違法を争うことが原告の権利利益救済においてどの程度重要か」)
2015-10-02 09:23:04②問題の所在(違法性の承継を認めると すなわち 後続処分において先行処分の違法性を主張することが遮断されないとすると 違法性が後続行為に承継され 先行処分の『公定力』が実質的に否定されることになるので 問題となる)
2015-10-02 09:22:47違法性の承継(229頁) ①定義(1回の行政処分で事案が終了せず これに続き 関連する行政処分が段階的に複数行われる場合 先行処分の出訴期間経過後に 後続処分の違法性を争うとき 後続処分の前提とされた先行処分の違法性(違法事由)を主張できるかという問題)
2015-10-02 09:22:16仮に「取消訴訟の対象」を「認定」と考えた場合 認定を「原処分」として 認定処分取消訴訟を提起することになるが それでは「事実認定のために特に法定された手続」である「判定・裁決」の「手続的意義」が著しく小さいものになってしまい妥当でない
2015-10-02 08:56:30⑧反対説批判(違法性の承継との関係) 退去強制令書発付取消訴訟の提起は 国が違法性の承継は認めないと主張することを想定して 令書発付に先行する3段階の行政決定のうち いずれかを争っておこうという仮定に基づいた申立である
2015-10-02 08:55:30制度趣旨(「外国人の退去強制手続の円滑な実施」と「当該外国人の手続的保障の確保」を『両立』させること)⇒解釈及び結論(『認定⇒判定⇒裁決を一体と捉える見解 したがって 取消訴訟の対象は「裁決」である 裁決主義の例外を認めるのに 「明文規定」は必要不可欠ではない)
2015-10-02 08:54:55⑦『制度趣旨に照らした考察』 法的仕組みと評価(3段階の不服申立てはいずれも3日以内という極めて短期の不服申立期間⇒退去強制令書発付の前段階で 法定された要件事実の認定を迅速に処理する)⇒
2015-10-02 08:54:26⑥『明文規定の存在を重視する見解』 原則の例外を認めるためには 明文の規定が必要であるところ 入管法には例外としての裁決主義を定める規定はない つまり 行訴法10条2項の原則(原処分主義)は 例外を認める場合 明文規定の存在を要求していると解釈する見解は
2015-10-02 08:53:58⑤『認定⇒判定⇒裁決を一体と捉える見解』 短期間で連続してなされる認定判定裁決をワンセットで捉えるので 入管法の趣旨は 3つの行為をバラバラに扱って個別の訴訟提起を可能とするものではないから 当局の最終判断である『裁決』を取消訴訟の対象と考えることができる
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