『スエズ鎮守府VSラブホテル鎮守府合同演習～変態の夏、パンツの夏～』その５

高峯みやび @sukamelancholy

「……ふぅん……、兵器としては同じみたいだけれど」 翌日の早朝。限られた灯りのみで作業をしているのは、今回の演習で一度も顔を見せなかったとある人物。 「単装砲もこっちのと同じ。機関部も特におかしな点はない……」 無断で持ち出したある艤装を彼女は調べていた。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「テスト稼働には何の問題もなし、なのに」 彼女は首をかしげる。調べようとしなければ気付かなかったであろうその部分。『それ』は艦娘との接続部付近にあった。 「膨大な情報データ。それも解読不明ときたものだから面白いわね」 どのツールを駆使しても無駄に終わったのだ。 #変態不知火さん

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「……ふふ、これは調べ甲斐があるわね。兎に角データをコピーして、元に戻しておかなきゃ──」 その時。天井から爆音が一斉に轟いた。円状に仕掛けられたC4は人間が降りるには余裕がありすぎる程の穴を開けた。そして、そこから降りてきたのは……。 #変態不知火さん

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「Hand's up, son of a bitch!!」 焼け焦げた跡が禍々しさを産み出しているピエロマスクを被った大淀であった。大淀はその両手に自動拳銃を持ち、無断でスエズ側の艤装を盗んだ者、月影に突きつけた。 #変態不知火さん

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「あ、あらあら……。手荒な入室ね。ノックの仕方をお忘れかしら」 「I hate planA. Right?」 「何を言っているのかよくわからないけれど、とりあえずそれを下ろしてもらえると助かるわ」 「Shut up fucker.」 簡単には下ろさないらしい。 #変態不知火さん

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すると月影の懐から電話が鳴る。 「……出てもいいかしら？」 「Don't move.」 銃を突きつけながら大淀Hoxtonは月影の懐を探り、そして電話に出た。 「No problems at all, can you just send up a pizza?」 #変態不知火さん

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『呼ぶわけねえだろ、誰だよ』 しかし大淀の応答に引っ掛からなかった。通話相手はラブホテル鎮守府の提督であった。 大淀は溜め息をつき、マスクを外して改めて話す。 「おはようございます氷室大佐。少々『鼠』がおイタをしていたもので」 『……月影か』 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「これも貴方の策ですか？　氷室大佐」 月影からは目を離さずに銃を向けたまま、笑って見せる。 「返答次第では『本当にPlanBに移りますが？』」 大淀の言葉に、提督は大きく溜め息をついた。 『その女の独断さ』 「それを信じさせる根拠は？」 ……一瞬の間。 #変態不知火さん

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『……俺なら、“幽霊”のように誰にも気付かれない手段を取るからだ』 「……ふふっ」 その返答に大淀はくす、と笑い銃口の先を月影から側にあったPCに変え、マガジンにある限りの弾丸を喰わせてやった。 「あっ、あーっ！！」 「わかりました、氷室大佐。今回限りです」 #変態不知火さん

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「えぐ、ぐすんっ」 スエズの大淀の〝寛容な〟措置によってPCを破壊された月影は食堂で顔を覆いながら泣いていた。 「人様のモンを勝手に取ったら泥棒だって子供だって知ってるぞ」 鰻のちらし寿司を食べながら俺は呆れていた。危うく鎮守府がドンパチ賑やかになる所だった。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「だって、別の……艤装なのよ……、前の演習だってデータ貰って、色々参考に、してっ、ぐすん」 ――そういやこいつのおかげでアサイラムの大和にボッコボコに殴られたのを思い出した。 「だからって手を出したら駄目だろって」 「バレると思わなかったのよぉ」 開き直った。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「月影さんはたった一つの落ち度をしましたね」 同じく鰻のちらし寿司を食べている不知火が指摘する。 「発覚された時点で落ち度です。バレなければ犯罪ではありません」 「そういう事言うのやめような。相手方いるからな」 「まぁ一理ある」 何故かげっそりしている神代大佐。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

神代大佐はというと料理を食べた後、デザートの望月の脱ぎたてパンツを現在頬張っている。だんだん慣れてきたが食堂で堂々と秘書艦のパンツに手を伸ばしてそのまま食うって結構アレである。しかしながら相手方にはそれが日常。……そのポケットにはどれだけパンツがあるんだか。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「しっかしうちの望月の艤装なんて調べて何がしたかったんだか」 「それはね」 泣き真似をやめてけろっと笑う月影。 「別次元の世界の艤装、及び艦娘の構造。そもそものシステムが違うというのはそれだけで新たな刺激になるのよ。同じなようで同じじゃないって凄い事なのよ」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「……は？」 呆気に取られ思わずパンツを咀嚼するのが止まる神代大佐だが、月影は構わず続ける。 「最近もう話すのに抵抗なくなってきたからもういいんだけれど、貴方達の世界は同じではないの。前もって私が同じ場所に共存出来る様にログインをしたからなのよ？」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「でなければ貴方達はそもそも出会う事なんて出来ない。同じ場所に居たとしても、お互いにそれを認識する事が出来ない。だから私が前もってログインをして、こうしてお互いの鎮守府の提督と艦娘がお話し出来たり、戦ったり出来るのよ。だというのにそのPCが壊されちゃったから」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「ちょっと不都合が起きても心配しないでね♥ 何とかするから」 「……氷室さんや、このお方は何を話しておられるので」 「あれですよ、テレビでよく見る『UFOについて熱く語る人』と同じです」 「あぁ……」 俺の説明を聞いて生温かい表情になる神代大佐。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「んもう、誠士郎クンったら信じてない。つっきー悲しいわ」 「自分でつっきー言うな。っていうか神代大佐に謝罪しろよ」 「ごめんねてへぺろ♥ ――いたぁいっ！」 とりあえずどついておいた。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

今日が最終日だって言うのに朝っぱらから一騒動を起こす方が悪いのだ。俺は平和に暮らしたいのである。 眠そうにもそもそとちらし寿司と食べているスエズの望月と、表情を変えずに鰻を食べてはテーブルの下で俺の股間に手を伸ばしてくる不知火。 今日はこの二人が戦う。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

しかし先日のような龍鳳同士の緊張感は感じられない。スエズの望月は寝惚けているし、こちらの不知火も何も変わらない。気になったのでそこらへんを聞いてみると、 「いえ、不知火は別に。普段通り戦闘を行うまでです」 「んぁ？ あー……まぁ、その場のノリで」 望月もだった。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

これがお互いの心理戦なのか、それとも本当に言っている通りなのか。提督の身としては勿論不知火には勝ってもらいたい。 「望月、パンツ」 「んぇー……またかよぉ……」 とか言いつつもそもそとパンツを脱ぐ望月。 「司令、精液を」 同じノリでやったら許されるとでも。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

『おはようございます。ラブホテル鎮守府の大淀です』 鎮守府内放送で大淀の声が流れる。 『長かったようで短かった演習も今日で最終日です。泣いても笑っても今日が最後。お互い悔いのない様に戦ってください。――あと、提督同士の絡みはよ』 願望を挟むな。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

『最終戦の時間はヒトフタマルマル。昼食後に特設会場にて執り行われます。それまで出場者の望月さん、及び不知火さんはコンディションを整えておいてください。以上、放送終わり。私もBL本でテンションを上げてきます』 うん、最後のそれ絶対にいらなかったよな。 #変態不知火さん

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

寝不足のまま、食堂を後にする。実のところ、昨日は秘所に隠した媚薬ダイナマイトで自爆した龍鳳の後始末で大変だったのだ。 長門はともかく、不知火やら龍鳳やらおかげで、この演習が始まってから満足に睡眠時間を確保できていない。 #スエズ鎮守府

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

「て・い・と・くっ。お疲れですね、わたしの飛行甲板もといおっぱい枕でお休みになります？」 フラフラと自室に戻ろうとしたところで、後ろから飛びついてきたのは龍鳳。 「8割くらいお前のせいだからな」 「はいっ。なのでこうして、体で責任を」 「寝かせる気もない癖に……」 #スエズ鎮守府