マスカレイド・オブ・ニンジャ #6
(……お前は俺を追い抜いた男だ!)友の声が、ヤマガタの脳裏に去来する!(……いいか、お前のアクション!お前のアクトにはアクションの神が宿ってる!)「ARRRRRRGH!」彼はデス・オメーンを押さえ、抗うように嗚咽する!(……ああ、俺を越えて、とんでもないアクターになるぞ!) 45
2015-10-07 00:20:07そしてヤマガタの交わした約束が!(((ああ……俺は本物のアクションスターになるさ)))「ARRRRGH!」サツバツ!仇は恐るべきニンジャ!人間性を捨てねばデス・カンフー・カラテは振るえぬ!だがヤマガタが死にオウガパピーが残れば、ヤサキやユカリフォンとの約束は!?だが仇は!? 46
2015-10-07 00:25:36「ハイヤアアーーーッ!」オウガパピーは振り上げた右足を、ナタめいた恐るべき勢いで床に叩き落とした!SMAAAAAASH!反ブッダ戦士の頭のすぐ横で床材だけが割れ砕ける!「……ゴースト・オメーン!」そして彼はわなわなと震える声で変面し、怒りに満ちたゴースト・リープで飛翔した! 47
2015-10-07 00:33:12「ARRGH!」「アバーッ!」逃げ惑うサラリマンが首を刎ねられ両膝をついて死ぬ!「ARRRRRGH!」「アーレエエエエ!」逃げ惑うマイコが首を刎ねられ両膝をついて死ぬ!テンプル前階段で、そのニンジャは両目を赤くギラギラと輝かせながら嬉々として血のフランベルジュ円弧を描いた。 49
2015-10-07 00:45:16ホワイトパイソンである。階段前には何体もの斬首死体が転がされている。「壮観な事だ!」テンプル周辺には十数名のアンタイブディズム・ブラックメタリスト軍団が徘徊し、運命クッキー屋台やブッダチャーム屋台に火を放っている。その炎に己の白塗りの上半身を照らされながら、彼は呵々と笑った。50
2015-10-07 00:50:55「見せしめはその程度でよい」階段の上から義兄ディスポイラーの声が響いた。背中に負った四本のペナント軍旗が、禍々しい影を落とす。ホワイトパイソンは不服そうに兄を見上げた。「……今の所はな」ディスポイラーは目を細める。それを見て、弟はにたりと笑って頷き、階段を上った。 51
2015-10-07 00:56:02「兄者、このテンプルは盛大に燃やそうぜ!」ホワイトパイソンはフランベルジュを肩に担ぎ、舌なめずりした。「ARRRRRRGH!見てくれ、下にいる俺の兵隊たちが、どれほどウズウズしているか!」「イディオットめが、テンプルへの放火は許さん」ディスポイラーが戒めるように舌打ちした。 52
2015-10-07 01:00:40「このテンプルに違法ジェネレータが隠されているのはもはや疑いようが無い」ディスポイラーはテンプルの扉に手をかけた。「街ひとつを完全に奪うのだ。三分の一はお前にくれてやる。殺そうが、兵隊にしようが、奴隷にしようが、好きにしろ」「ARRRRGH……」ホワイトパイソンは笑んだ。 53
2015-10-07 01:07:24「イヤーッ!」SMAAAAASH!ディスポイラーは鉤のかけられた重い木製扉を、両掌の一撃で粉砕した。既に避難を終えたか、市民は一人も残っていない。フロアには大ブッダ座像と、イケスを泳ぐウミガメだけが残されていた。 54
2015-10-07 01:12:56ゴンゴンゴン……地下からタービンの唸りが響き、ディスポイラーは満足げに頷いた。「…どこぞに隠れておろう」彼は後ろ手を組みながらテンプル内を悠々と闊歩し、大変珍しいオーガニック・ウミガメの横で足を止めた。「知っているかホワイトパイソン」「何だ、兄者」「ウミガメの味は格別だぞ」 55
2015-10-07 01:15:37「この街を落としたら祝宴のテーブルに飾るぞ…!」ホワイトパイソンはウミガメを見て笑った。ウミガメは哀しげな目をしたまま、青色LEDに照らされてイケスの中を泳ぎ回っていた。「制御室探しはサーペンタインにやらせる。お前はまず犬どもを躾けろ」ディスポイラーは顎で入口を指し示した。 56
2015-10-07 01:20:36「ARRRGH……?」ホワイトパイソンはそちらを向き直った。手勢のアンタイブディズム・ブラックメタリストらが、手に松明や武器を持ち、階段の上まで昇ってきていた。「「ARRRRRRRGH!」」彼らは御預けを食った犬めいて、目前の大ブッダ座像を爆破したいという衝動に震えていた。 57
2015-10-07 01:22:41「俺の可愛い犬どもめ!」ホワイトパイソンは罵るような怒号とともに、狂乱した手勢の元へと歩み寄った。彼はニンジャソウルに呑まれ、ピュアな反ブッダ精神を失っているのだ。「放火は許さん!爆破も許さん!兄者の命令だ!この街を俺のものにする!いいか、犬共!貴様らは守りを固めておけ!」 58
2015-10-07 01:27:26命令を聞いた反ブッダ戦士たちは唸り声を上げ、目を瞬きながら、互いの顔を見合わせた。「ARRRRGHH……」「アアアダブ……(注:ブッダの逆読み)」ホワイトパイソンから与えられた粗悪な戦闘ドラッグで理性を飛ばしていても、この命令が反ブッダ精神を侵していることは彼らにも歴然だ。 59
2015-10-07 01:32:36だが主人の命令は絶対である。反ブッダ兵らは引き下がり、階段を降り始めた。だがその中の一人が、堪え切れず、仲間たちを押し退け松明を持ってテンプル内に押し入る!「ブッダの首を……刎ねろ!」「ARRRGH!」ホワイトパイソンの苛立たしげな怒号とともに、フランベルジュが弧を描いた。 60
2015-10-07 01:37:24「アバーッ!」ブラックメタリストの首が飛び、両膝をついて、死体は階段を転がっていった。「ARRRRGH!」さらに恐怖を思い出させるため、ホワイトパイソンは手近な者たちを何人も殴りつけた。アンタイブディズム・ブラックメタリストたちは震え上がり、階段下へとブザマに逃げていった。 61
2015-10-07 01:41:08「ハ!ドラッグで狂った犬共は、ニンジャが味方だと思って、時々勘違いを起こすからな!」ホワイトパイソンは生首を蹴り捨て、唾を吐いた。そして目を見開き、息を呑んだ。「兄者!」「……何だ」テンプルの外から聞こえたそのただならぬ剣幕の声に、ディスポイラーは眉根を吊り上げた。 62
2015-10-07 01:46:09サーペンタインであった。片腕を失っている。ホワイトパイソンは彼に肩を貸してテンプル内を闊歩し、吠え猛るような声で叫んだ。「兄者!ちくしょう!何てこった!」サーペンタインは苦痛に顔を歪めながらも、腕を払い除けて独力で歩き、長兄に自らのブザマを詫びた。「オウガパピーです……!」 63
2015-10-07 01:52:09サーペンタインは一部始終を報告した。オウガパピーの出現や、恐るべきデス・カンフー・カラテなどを。「ARRRRRRGH!俺が殺す!俺が仇を取る!奴の両腕両脚を落とし、苦痛にのたうち回らせて殺す!」ホワイトパイソンは狂乱寸前であった。だがディスポイラーはここに留まるよう命じた。 64
2015-10-07 01:59:02「奴は怒りに突き動かされ、じきにここへ来る。我らに刃向かった報いを、骨の髄まで味わわせるのだ」おお…ナムサン!オウガパピーの行く手には卑劣なる死の罠が待ち構えているというのか!?三人の邪悪なニンジャの企みと哄笑を見下ろしながら、大ブッダ座像はアルカイックな沈黙を続けていた。 65
2015-10-07 02:09:04