#お好み焼き屋浜風 まとめ４【艦これSS】

紅吏珠名 @chrishna_c2

「構いませんが、お客さん達の前ではそういうハレンチな行為ははやめてくださいね」 「お？　じゃあねーちんも混ざるか？　この第一おっぱい揉み揉み隊に」 「結構ですっ！」 #お好み焼き屋浜風

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「おっぱい焼き……？」 また谷風がお店のお品書きに変なメニューを追加していました。 どうやら、先日龍驤さんが作っていた、かしみん焼きをベースにした、豆乳とキャベツと鶏肉を使ったお好み焼きのようですが。 #お好み焼き屋浜風

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『女性ホルモンの素になる栄養満点。たくさん食べるとおっぱいが大きくなる？　効果はねーちんで実証済み』 そんな怪しげなキャッチコピーが見出しを飾っています。 でもアイデア自体は悪くなさそうなので、期間限定ということで店先に出してみることにしました。 #お好み焼き屋浜風

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すると、どういうことでしょう。 女性の方からならともかく、男性のお客さん達からもおっぱい焼きの注文が相次いでいました。 みなさん、そんなに自分のおっぱいを大きくしたいんですかね？ 男の人って、よくわかりません。 #お好み焼き屋浜風

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「ねーちん。なんか暇だから新商品を考えたぞ」 今日も今日とてお好み焼き屋の店内。鉄板の上でお好み焼きを躍らせる私の隣で手伝いをする谷風。聞き捨てならない台詞をあえてスルーして、私は耳を傾けます。 「聞いて驚け。その名もお好み焼きバーだ」 「お好み焼きバー？」 #お好み焼き屋浜風

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――説明しよう。お好み焼きバーとは。 谷風によると、お好み焼きをブリトーのような棒状に固めたもの。片手で食べられるので携帯食だったり兵士の糧食としてぴったりというわけです。 なるほど。お持ち帰りメニューの一品として加えてみるのも面白いかもしれません。 #お好み焼き屋浜風

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「ところでねーちんよ。今日は何月何日で、地球が何回まわった日だ？」 「はい？　今日は11月11日ですね」 私は壁に立てかけてあるカレンダーをみやり、日付を確認します。 「それだ」 ぱん、と手のひらを叩いて谷風は言葉を続けます。 #お好み焼き屋浜風

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いつの間にかお店の材料を勝手に使い、お好み焼きバーの試作品を完成させる谷風でした。 「こうやって端っこどうしを咥えながら少しづつ食べる。お好み焼きバーを口から離したり、こぼしたりしたら罰ゲームとして何でも一回いうことを聞くルールだ」 そしてこのドヤ顔です。 #お好み焼き屋浜風

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そういえば巷では11月11日、ポッキーゲームと呼ばれる遊びで盛り上がる習慣があるのだとか。 谷風もどこかでそのことを知り、お好み焼きで同じことをやってみようと思い立ったのでしょう。 アイデアとしては、それもありですね。 #お好み焼き屋浜風

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「あたしが勝てば、ねーちんのおっぱいを揉む権利をいただく。あたしが負ければ仕方ない、ねーちんのおっぱいを特別にマッサージしてやろう」 どちらも同じ意味に聞こえてしまうのは、気のせいでしょうか。 #お好み焼き屋浜風

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「そうと決まれば実演だ。やるぞねーちん」 「顔中ソースやマヨネーズまみれになるので却下です」 お客さん達の前で実演しろという谷風からの要請を、私は却下します。 両手をわきわきさせる谷風の顔がセクハラオヤジそのものでしたから。 #お好み焼き屋浜風

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そうしてお好み焼きバーが、臨時のメニューとして採用されることになりました。 谷風が私との勝負をあきらめたかと思えば、今度は男性女性を問わず何人ものお客さん達とポッキーゲームを挑んでは勝負を繰り広げていました。 #お好み焼き屋浜風

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「いちまい、にまい、さんまい……」 谷風が悪代官めいた笑いを浮かべながら何枚ものお札を数えている姿を目撃したのは、お店のカンバン時のあとの話です。 #お好み焼き屋浜風

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後日。 私は谷風の考案したアイデアをうまく活かせないかと思い、お好み焼きバーを戦闘糧食の新しいバリエーションに加えていただけないかと提督に打診してみたところ「ダメダヨー」と、すげなく却下されました。 私は、提督のそんなところが嫌いです。 #お好み焼き屋浜風

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「ねーちん。あたしが作ったお好み焼き第一号だ。たんと食え」 時は少し遡ります。 谷風のドヤ顔とともに目の前に出されたのは、後に谷風焼きと命名することになる、かのすかじ先生をして奇跡の一枚と言わしめたお好み焼きの逸品でした。 #お好み焼き屋浜風

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「食って驚け。これが、あたしの処女作だ」 「はむはむもぐもぐ」 ……おいしい。とても初めて作ってできた味とは思えません。まだ基礎も習得しきれていないはずなのに、これほどの味を表現できるなんて。 #お好み焼き屋浜風

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「谷風。どうやって、この味を？」 おそるおそる妹に訊ねます。すると谷風はこう答えたのです。 「まぁあれだ。ビギナーズラックってやつだな」 ビギナーズラックでこんなに美味しいお好み焼きを作られてたまるものですか。 #お好み焼き屋浜風

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「では、これをどうやって作ったのか再現してみてください」 私はお好み焼き職人としてのこの目で、谷風の料理のなんたるかを見極めたいと思いました。 「あいにくだが、それは無理だ」 「？　どうしてですか」 「どうやって作ったか、忘れてしまったからな」 「……」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

……やれやれ。 私はといえば、姉の浦風から広島風お好み焼きの作り方の基礎を学び、こうして妹の谷風にお好み焼きの作り方の基礎を教えてきたわけですが。 この子は呑み込みが早く、教えたことを即座に応用する術も知っている。 #お好み焼き屋浜風

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才能といえば、確かにその通りなのでしょう。 この子には料理の才能があります。 飽き性なところが玉にキズですが、もっと基礎を真面目に学んで身に着けるように心がければ、私なんてすぐに追い抜かれてしまいそうですね。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「もっとあたしのことを褒めても良いんだよ？」 「調子に乗るのは、それに見合った努力と腕前が身についてからです」 半分やきもちの気持ちをこめて。私は谷風の額に軽くデコピンを当てました。 #お好み焼き屋浜風