逆算による世界の構築:ドラゴンのいるファンタジー

構築というか構築失敗というか。真面目に考えると辻褄を合わせるのはなかなか難しい。
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芹沢文書 @DocSeri

伝統的幻獣であるドラゴンの場合、ある程度説明抜きに共通認識が成り立っちゃってるから、中近世っぽい適当世界に放り込んでもまあ文句の出る可能性は少ないんだが、じゃあこれが全くのオリジナル存在だったら?その実在感を出すためにはどんな説明を加えたら良いか。

2015-10-16 07:59:00
芹沢文書 @DocSeri

共通認識範囲に寄り掛かって説明を省略する描き方が悪いわけじゃないんだけど、それで書ける範囲ってあんまり広くないので、どこかで世界の土台を鍛え直す必要も出てくるし、その時に視点を人間から外してみるのは結構有効な方法の一つ。

2015-10-16 08:10:47
芹沢文書 @DocSeri

というか、ドラゴンでも単なる脇役のひとつに過ぎない扱いなら特に説明されることもないけど、それが世界の主役になるレベルの存在だとすれば、当然ながら「世界がそれとどう付き合っているか」を描く必要がある。物理的な設定を突き詰めるかどうかはともかく。

2015-10-16 08:02:40
芹沢文書 @DocSeri

視点を変えてみることで普段なら考えない設定が捻り出されてくるし、そうやって成立したエキセントリックな世界設定には、キャラを放り込むだけで勝手に状況が転がってゆく。世界設定には、物語を牽引し得る力がある──ちゃんと設定すれば、だが。

2015-10-16 08:15:34
芹沢文書 @DocSeri

「異世界への召喚」みたいな設定が好んで使われるのは、それが「取り敢えず初期状態の差分からエネルギーを得てキャラに初速を付けやすいから」だが、動きが緩やかになったところで読者は一息ついて周辺を見渡し始める。ここで「異質さ」をどう演出するか、が今度は読者の初速になる

2015-10-16 08:19:59
芹沢文書 @DocSeri

で、まあ先のあれは「たとえばドラゴンのように馴染みのある存在でも、掘り下げてみると今までにない世界を作り出すことができるよ」というデモンストレーションに過ぎない。私の趣味的に生態系から構築してみただけで、「 この部分が無矛盾でなければならない」みたいな話ではない

2015-10-16 08:23:04
芹沢文書 @DocSeri

ところで、たとえば「あらゆる自然現象はすべて四大精霊力のバランスで説明できる」みたいな世界観のファンタジーを考えたとして、実際にそれが精霊力のせいである必要はない。「天動説の時代に惑星軌道が地球中心であったわけではない」みたいなもので。

2015-10-16 08:47:29
芹沢文書 @DocSeri

(「世界観」と「世界設定」の使い分け)

2015-10-16 08:48:13
芹沢文書 @DocSeri

とはいえ、そんな設定を入れたとしたら「それをどうやって活かすか」という話になって、ファンタジーからSF寄りにシフトせざるを得なくなりそうではあるけども。

2015-10-16 08:49:45
芹沢文書 @DocSeri

世界設定って別に考えた部分を全部見せる必要はなくて、物語に必要ない部分は無理に出そうとしなくていいんだけど、でも予めそれなりに手広く考えておくと、後々必要になった時に矛盾しなくて済むし、そういう「世界の厚み」って結構作品そのものの質にも反映されてくる(ことが多い気がする)。

2015-10-16 09:44:30
芹沢文書 @DocSeri

しかし皆さん「物語で描かれてないところを想像する」とかあんまりやらないのかな……? 「『ダンジョン飯』のリビングアーマーは冒険者が来ない時どうやって餌を得ているのか」とか。

2015-10-16 08:53:13
芹沢文書 @DocSeri

あ、こういう「描かれていない部分まで設定する」のってもしかして私がTRPG者だから、だったりするんだろうか…… 作者がどこまで描くかを決められる物語と違って、TRPGは「誰がどういう話を作るかわからない」状態で設定するので、なるべく範囲を広げておく必要が

2015-10-16 08:55:14

またちょっと脱線して「リビングアーマーの生態」の話。


芹沢文書 @DocSeri

リビングアーマーの話に戻ると(戻る)、あれは概ね二枚貝として描かれている。が、現実世界だと陸棲の有肺類はすべて巻貝で、二枚貝はいないので参考になるかどうか…… 二枚貝網は濾過摂食が多いが、これは水棲でなければ行なえないので唇弁での直接摂取になるのかな

2015-10-16 09:06:15
芹沢文書 @DocSeri

ダンジョンには苔や黴が生えるだろうから餌はそういうもので賄っているのだとしても、貝としては大振りなので餌が足りるのかどうか少々気になる。が、まあ冒険者を攻撃するような性質もあるわけだから、もしかしたら死体を吸収したりもするのかも。「骨が鎧着てる」個体なんかはそれかな

2015-10-16 09:12:08
芹沢文書 @DocSeri

ところで武器や鎧が貝のように脆く砕けないことからカルシウムベースではなく鉄ベースではないかと考えられ、ウロコタマフネガイよろしく鉄を吸収・排出している可能性があるが、その鉄分の出所は一帯……動物の体液から? それとも死んで残った武具?

2015-10-16 09:15:06
芹沢文書 @DocSeri

血液に含まれる鉄の量は2mlあたり1mgだとか。血液量は体重60kgの成人でおよそ4.5リットルなので鉄2.25g、これでは到底足りない。とすれば武具を溶かして再構成……いや別に「武具自体が殻」とは描いてないか。ヒトの残した武具に張り付いて殻を形成するならば無問題?

2015-10-16 09:18:23

こういうのお好きな方は、「作者のオススメ」に載せてる別のまとめもお読み頂くと更に楽しくなると思いますので宜しくお願いします。
いずれも「仮想の生物」について考えてみる話。