茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1632回【水たまり】連続ツイート

2015.10/16 茂木健一郎氏【水たまり】連続ツイート …「聖地」となっている場所には、ある共通点があるように思う。みなさんも、自分にとってのそんな場所を思い浮かべてほしい。まずは、よそ行きではないこと。おしゃれをしたり、かしこまったりするのでは、くつろげない。普段着の、ありのままがいい…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1632回をお届けします。文章はその場で、即興で書いています。本日は、今朝、コンビニに歩きながら考えていたこと。

2015-10-16 07:09:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

昨日、五反田の「あさり」でおひるごはんを食べながら、ああ、ここは、「聖地」だなあと思った。研究所のひとたちや、東工大の学生たちと何度飲み会をしたり、ごはんを食べたりしたことだろう。おやじさん、おかみさんのお人柄も素敵で、なんとも言えない安心感がある。

2015-10-16 07:10:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

東京藝大だと、学生たちとよく行ったのは、『東京藝大物語』にも出てくる、根津の車屋だ。一階のくるりと回る席がお気に入りだが、人数が多いと二階の座敷になった。みんなで良く飲み、よく食べ、よく話した。あの時間は「青春」であった。

2015-10-16 07:12:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

「あさり」にせよ、「車屋」にせよ、「聖地」となっている場所には、ある共通点があるように思う。みなさんも、自分にとってのそんな場所を思い浮かべてほしい。まずは、よそ行きではないこと。おしゃれをしたり、かしこまったりするのでは、くつろげない。普段着の、ありのままがいい。

2015-10-16 07:13:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

それは、ちょうど、自立してから時々帰る自分の親の家のようなものかもしれない。そんなに洗練されてはいないし、雑然としているけど、くつろげる。都築響一さんが、スナックはママがわざと店を雑然として家庭のような雰囲気をつくるんだと言っていたけれども、あまりきれいすぎてもいけない。

2015-10-16 07:15:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

さらに、いつでもそこに「帰れる」、いつもそこに「ある」という安心感があること。「あさり」にしても、「車屋」にしても、そんなに頻繁に行けるわけではないけれども、行けば、いつもの笑顔があり、なつかしい空間があり、たのしい時がある、という期待と安心が、「聖地」の条件であるように思う。

2015-10-16 07:16:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

吉田類さんが人気なのも、そのような酒場の「聖地」観にぴったりはまるからだろう。昔からの顔なじみ、親戚のおじさんのような雰囲気がある。だから、居酒屋放浪記で、初めて見る居酒屋でも、まるで自分がそこの常連であるかのような気持ちが生まれる。心が落ち着く。

2015-10-16 07:17:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

小学校や中学校でも、帰るといつでもその先生がいる、という安心感が、「聖地」のような気持ちにさせる。先生の転勤や退職でいなくなると、それが失われる。大学の研究室もそうで、いつでもOBとして訪問できる間は、「聖地」となりうるけれども、教授がいなくなって研究室がなくなると、失われる。

2015-10-16 07:19:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

そのような意味では、「聖地」は結局期間限定の、いつかは蒸発してしまう水たまりのようなものなのだろう。水たまりが永遠にあるわけではないけれども、あるうちは、せいぜい、時々そこを訪れてすいすいとメダカのように泳ぎたい。心の中には、いつも、その水たまりだけの場所がある。

2015-10-16 07:20:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1632回「水たまり」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2015-10-16 07:20:52