.@nabe_yas1985 1968年の伊丹十三のエッセイについて

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渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

【百冊再読】伊丹十三『女たちよ!』(新潮文庫)スパゲッティーのゆで方が書いてある。マッチの使い方が書いてある。二日酔いの覚まし方が書いてある。 間違っても、道徳訓や、人生のより良い生き方は書いてない。 でも、そんな日常の瑣末なことの集積から、人生に対する教訓を気づかされる。

2011-01-10 21:57:35
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

【百冊再読】承前。食事・服装・インテリア・車、そんな身の回りのひとつ一つに、「ホンモノ」と「ニセモノ」の判断基準を自分の示していく。そして自分の「ハラ」を作っていくことが、人生で一番大切なことではないか。人生観とは未来を向いた観念ではなく、具体的な現在の選択の集積であるという読解

2011-01-10 22:00:37
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

【百冊再読】承前「モテルという精神構造には現在というものがないんだな。 はるか未来のかなたに光り輝く理想の女性像みたいなものがあってこのひとが今にきみを幸せにしてくれるらしい、それまではどうせ仮の生活だ、数でこなそうというのか、きみの視線は、落ち着かぬようだなあ 」(P110)

2011-01-10 22:05:17
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

【百冊再読】承前。「幸せというものは過ぎ去った時に初めてそれと知る。今に、今に、と思っているうちに一生終わっちゃて、きみはすべての幸せを取り逃がしちゃってることに気がつく。 人間、いったんこういう現在を失った時間帯系の中に生き始めたら、これは死に至る病である」(P110)

2011-01-10 22:07:49
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

【百冊再読】<感想>伊丹十三も植草甚一も、68年に、「全体は細部に宿る」「モノが思想をつくる」後年ポパイが輸入する価値観を持ってたのね。現在のスタイルの基盤こそが、思想であるという考え方には共鳴。だから、私は靖国神社より、神保町や立石を保守するべきだと考えるのです

2011-01-10 22:13:52
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

昨日、伊丹十三の『女たちよ!』を再読したので、長らく放置していた『ヨーロッパ退屈日記』を読む。「本格」を目指し、自分の「スタイル」を作る大切さはいつも通りだけど、伊丹の「外国観」が興味深い。

2011-01-12 22:15:01
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

承前。伊丹十三「ホームシックというものがある。これは一時人生から降りている状態である。今の、この生活は、仮の生活である、という気持ち。日本に帰った時にこそ、本当の生活が始まるのだという気持ちである。勇気を奮いたたせねばならぬのはこの時である。人生から降りてはいけないのだ」

2011-01-12 22:19:12
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

承前。伊丹十三「成程言葉が不自由であるかも知れぬ。孤独であるかも知れぬ。しかし、それを仮の生活だといい逃れてはいけない。それが、現実であると受けとめた時に、外国生活は、初めて意味を持ってくると思われるのです」(ヨーロッパ退屈日記、96ページ)

2011-01-12 22:22:13
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

承前。バックパッカーを少しした私には伊丹のこの指摘は耳に痛い。「自分はこの国の部外者だ」と思いこんだ瞬間、その国から多分好奇心以上のものは学ばないんだよね。沢木耕太郎が深夜特急で批判的に描写するバックパッカーも、つねに「次の国」を考えて、今いる国を何も見ていなかったな。

2011-01-12 22:28:22
渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】 @nabe_yas1985

1968年の伊丹十三のエッセイが今も読まれるは、すぐに時代遅れになる情報(スパゲッティの正しい作り方とか、出前レストランももはややってる)ではなく、その合間にある「自分のスタイルを持て」という説教が、社会に出る前に右往左往する若者にピンとくるからでしょうね。今も昔も。

2011-01-12 22:41:11