- RiverInWestern
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「ひとまずはこれでよし」音もなく四季の横に移動した巡が腕組みをする。「家鳴の驚異はその数。ひとまずそれに対抗できれば問題はないでしょう。僧正坊殿と八尺殿がおれば、わざわざ彼奴らの手など借りなくともよかったのですが」「無い物ねだりをしてもしょうがないよ」と四季。28 #4215tk
2015-10-21 20:18:23彼は物言いたげに鬼女を見る。が、結局口を開くことなく前を向いた。今は口を挟むときではない。こちらの後陣から、巨大な鳥型の紙が飛び立つ。「うわ、すごいな」「虚仮威しに過ぎません。現にほら」巡が不意に敵側の陣地を指差す。「奴を誘き寄せるための呼び水にしかならない」29 #4215tk
2015-10-21 20:21:15次の瞬間、矢のごとく飛び出してきた影が巨大式神を貫いた。空中から家鳴を啄もうとしていた式神が力を失い、紙となって散る。現れた新たな怪異、飛羽は空中で静止しゴーグル越しに戦況を把握。戦場の中央で奮闘する、紙鎧の巨漢退魔師に目をつけた。彼女は音もなく飛ぶ。30 #4215tk
2015-10-21 20:24:05……「ウオオオッ!」剛腕がまた一人の家鳴を粉砕。しかし周囲の家鳴たちは怯むことなく向かってくる。彼は舌打ちし、薙ぎ払おうとした。その腕に分銅付きの鎖が絡まる!「なッ」退魔師は頭上を振り仰ぐ。宙に浮かぶ怪異と目が合った。怪異が笑い、鎖を引く。退魔師の体が浮いた。31 #4215tk
2015-10-21 20:27:34……「ウオオオッ!」剛腕がまた一人の家鳴を粉砕。しかし周囲の家鳴たちは怯むことなく向かってくる。彼は舌打ちし、薙ぎ払おうとした。その腕に分銅付きの鎖が絡まる!「なに」退魔師は頭上を振り仰ぐ。宙に浮かぶ怪異と目が合った。怪異が笑い、鎖を引く。退魔師の体が浮いた。31 #4215tk
2015-10-22 19:33:07退魔師の視界が目まぐるしく変化する。鎖の巻きついた部分の装甲を解除しなくては。しかし彼がそれを実行に移すより早く、怪異が彼を投げ飛ばす。連携して家鳴に対抗していた退魔師たちの中へ。悲鳴。攻撃が途切れたその一瞬を見逃さず、家鳴たちが飛びかかる…… 32 #4215tk
2015-10-22 19:36:11「さて、次はどいつだ?」夜空に飛翔した飛羽は得物の鎖鎌を振り回し次の相手を探す。眼下では祈や舞たちが出陣し、退魔師たちと交戦を開始。家鳴へ対抗するため分散していた相手の横腹を突いた形だ。しばらくは助けも不要か?思案する飛羽に、斜め下から飛来する影あり。33 #4215tk
2015-10-22 19:39:11飛羽は反射的に鎖をピンと張り、掌ほどのそれを受け止めた。「……なんだこれ」そして眉をひそめる。鎖に絡みついたのは薄い板状の機械。けいたいでんわ?首を傾げる飛羽の前で、唐突にそれが鳴り響く。『キュルキュル……私メリー・トリスケル……キュルキュルキュル』34 #4215tk
2015-10-22 19:42:20ノイズ混じりの声が漏れ出す。瞬間「うあっ!?」背中に衝撃!「……もうあなたの後ろにいるの。また会ったわね、トンボさん」しがみついてきた新手が嘲る。飛羽はすぐに正体を把握した。夕暮れに遭遇したあの人形の怪異!「は、離れろッ!」慌てて高速旋回し、引き剥がさんとす!35 #4215tk
2015-10-22 19:45:10「きゃっ」メリーが振り払われる。ほっと一息つき、追撃しようときた飛羽は眉間にしわを寄せた。敵の姿がない。『……キュルキュルキュル』鎖にストラップを絡ませた携帯から不穏なノイズ。そして背中から再びの衝撃!「私メリー・トリスケル。しつこいの」「こ……このぉッ!」36 #4215tk
2015-10-22 19:48:23