レイアウト・フレーミング・演出的に俯瞰、アオリを考察
- toshiharumurata
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例えば、EVAの壱話。ケージで初号機を挟んでシンジとゲンドウが対峙するシーンがります。シンジは下、ゲンドウは上におり両者をフカン・アオリで撮り分けています。特にゲンドウのアオリでの威圧感は印象的。そして壱拾九話。本部に突入した使徒をケージまで押し戻す過程でこの撮り分けが逆転。
2011-01-13 23:16:39初号機に乗ったシンジは煽り気味。キャットウォークでその姿を見ているゲンドウはフカンです。画面から受ける上下関係が逆転していることからシンジがゲンドウを超えた瞬間の表現になっているのです。
2011-01-13 23:19:00実写映画ではヒッチコックは度々この原則を使ってセリフに頼らない人物の上下関係表現をしています。端的なのは「泥棒成金」。かつての大泥棒が身に覚えのない”盗み”で仲間から疑われ、それを釈明するためにアジト(がフランス料理店てとこが粋です)に訪れるシーン。説明的なシーンです。
2011-01-13 23:24:38会話ではどちらが優位かそれほど踏み込んでいません。カメラアングルの変化もなんとなく観ていたら気がつかない程。ですが観客は確実に両者の立場の変化を感じ取るはずです。
2011-01-13 23:28:45前半「あの盗みは俺じゃない」と自信たっぷりな主人公をアオリ(かつ下手向き)で、ボスは椅子に座って低いのでフカン(上手向き)です。途中、ボス側が多くの情報を持っていることがわかると主人公は不安になりカメラはフカンへ移動。ボスの方がアオリになって自信たっぷりな印象になります。
2011-01-13 23:31:16ボスは椅子に座ったままなのでおそらく周りの小道具ごと高くしてカメラを床ギリギリに設置しての撮影でしょう。或いは穴を掘ったか。。。昔のカメラは恐ろしくデカイです。そこまでしてカメラアングルを設定する意味、意図があるのです。
2011-01-13 23:34:35演出(絵コンテ)は物語の滞りのない説明だけでなく、シーン毎の人物の関係性、感情など「何を」「どのように」見せたいか、を常に意識して必要があるのです。アングル、上手下手をキチンと意図し明確に使えばセリフ以上の複雑な感情、内容を伝えることが出来ます。これこそ映像・映画の面白さです。
2011-01-13 23:40:58「泥棒成金」の例にしたシーンはカメラだけじゃなくてシーン構成のアイディアや人物の芝居付もとてもおもしろくて勉強になります。やや地味でベストなんちゃらの上位に来る作品じゃないけどコンパクトで明快、オチもヒネリが効いてて洒落てる。
2011-01-13 23:54:21