rsbs日誌#43

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌　「吹きっ晒しは正直辛いわよねぇ…大丈夫？長良姉さん」「へこたれる訳じゃないけどもしんどいわよねぇ…嘆願書でも出す？風除けつけてーって」彼女らが今立っているのは、艦娘を搭載する戦闘輸送艇の後部甲板にある投射台だった。戦闘時には艤装を背負い、此処から出撃するのである。

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#rsbs日誌　艦娘による船団護衛は輪番が組まれ、当直の艦隊と待機の艦隊、そして休憩の三つのグループに分けられる。長良らは現在、待機の番であった。艤装を背負い、寒さを和らげて警戒任務に当たるか、それとも夜の海の寒さに耐えて待ち草臥れるか。艦娘の間では良く交わされる話題の一つだ。

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#rsbs日誌　「お姉ちゃん。そろそろ夜食の時間だよ？」柔らかな声の持ち主、長良型の三番艦名取が声をかけた。その手には弁当缶が握られていた。後ろには共に船団護衛に当たる駆逐艦の吹雪型が立っていた「ありがとう名取。それじゃぁ夜食にしよっか。今日の夜食は何かなぁ？」「楽しみよねぇ」

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#rsbs日誌　「仲良く食べるように、だっけ？提督からの伝言」「確かそんな事を言ってましたね」いそいそと甲板の上で弁当缶を広げながら彼女らは呟いた。風は寒いが、座り込めばそれも幾分かマシに成った「それじゃぁご開帳ーっと」楽しげに蓋を開けた途端、いい香りが鼻腔を擽っていった。

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#rsbs日誌　「何これ凄い！中華！？」深雪がはしゃいだ。缶の中には未だに熱そうに蒸気を昇らせるエビチリが詰まっていたのだから「あ、こっちはマーボーね。そっちは？」「油淋鶏ね。美味しそう」大入りの缶の中に詰まっていた中華料理はこの海風の中でも湯気を上げる程、沢山の熱を保っていた。

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#rsbs日誌　ラインナップはエビチリ、油淋鶏に麻婆豆腐、春巻に卵スープ、五目チャーハンと回鍋肉と言う取り揃えであった。寒さの辛い夜の護衛任務、この様な夜食はまるで極楽に程近かった。用意されていた蓮華と小皿を手に、少女達は手を叩いた。敵の襲来が来ない事を祈りつつ『頂きまーす！』

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#rsbs日誌　果たしてそれは、幸せと地獄の同居であった。何故か？熱々なのだ。口の中を火傷してしまいそうな程。だが然し、同時にそれは幸せなのだ。ぬるい料理程悲しい物は無い。しかし、火傷しそうな位に熱々の料理を頬張る。それはとても幸せな事だ。冷えた体に見る見る熱が戻る様な快感で…

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#rsbs日誌　そして、味付けも良い。山椒や唐辛子、七味や豆板醤を用いてピリリと辛くも美味いのだ。薬味の効能が更に体を温める。エビチリはプリリと弾力があり、共に炒められたネギがこれまた甘く、タレが甘辛い。油淋鶏もまた素敵だ。七味と共に揚げられたパリパリの衣のなんと美味な事か。

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#rsbs日誌　刻まれたレタスと共に、甘辛いタレを絡めて頬張るともう堪らない。山椒の確りと利いた麻婆豆腐は七味と違ったスパイシーな風味が口の中で弾けて心地良い。豆腐と挽肉の味付けも堪らない。絡められた餡はさらりとしていて口当たりも軽やかだった。そしてスープがありがたい。

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#rsbs日誌　優しい味で仕立てられた卵スープが見事に舌の上に乗った料理の味を優しく洗い流してくれて、何度でも楽しめる。そして体も温めてくれる。五目チャーハンも素敵だ。薄味でパラパラと炒められたソレが料理と良く合うのだ。ハフハフと熱さに耐えながら蓮華で掻きこむ事の幸せよ。

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#rsbs日誌　パリリと良い音を立てる春巻にはホクホクの筍。トロリとした餡と一緒に包まれた豚肉や椎茸、韮のなんと美味な事か。しかし誠に熱い熱い。舌だけでなく噛んだ瞬間に中身が飛び出て上顎まで火傷してしまいそう。回鍋肉も素敵だ。シャキシャキとした歯応えの確りと残るキャベツが良い。

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#rsbs日誌　丁寧な油通しで熱々でありながら瑞々しさや歯応えをしっかりと残して、噛めば噛む程に楽しませてくれる。タレもピリリと七味が振られてスパイシーであり、豚肉もお腹にどっしりと溜まった。瞬く間に、６人の少女達は中華料理を平らげていった。お腹の中にいっぱいの幸せを詰め込んで。

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#rsbs日誌　「幸せですねぇ…」白雪がポツリと呟き、名取も頷いた。これならば一晩の護衛任務もキッチリとこなせる事だろう。「あんなに美味しい熱々の中華、滅多に食べれるものじゃないよぉ…」お腹をさすりながら長良はご満悦と言う表情を浮かべる。寒さも感じない。夜風が心地良いくらいだ。

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#rsbs日誌　「提督に確りお礼。言っとこう…」初雪が食後のお茶を啜りながらに呟く。深雪も同じく首肯した「むしろお代りが欲しいくらいだわー」「アッハッハ。食いしん坊ねぇ」五十鈴の言葉に深雪は照れるが、警報が鳴り響いた「食後の仕事だ！行くわよ皆！」ドタドタと皆は駆け出した。

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#rsbs日誌　この夜、彼女らの班は類稀な戦果を上げ、輸送船団の隊長よりささやかな表彰を授かるが、それはまた別のお話。ただ一つ言える事は、まるで燃え盛る炎の如く、艤装からも白い蒸気を吹きながら彼女らは寒い夜の海風に負ける事無く戦った。と言う事であろう。

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#rsbs日誌　提督のとある日記。ケース：艦砲射撃

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#rsbs日誌　「此れ程の大艦巨砲が揃うといやはや、荘厳だな」艦隊旗艦を勤めさせられた長門が呟いた。本日晴天。風緩し。絶好の艦砲射撃日和と言えよう。彼女らの任務は敵泊地となる島への砲撃であった。艦隊構成は長門、陸奥、扶桑、山城、伊勢、日向と言う取り合わせ。砲門合計は６０を超える。

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#rsbs日誌　主砲の発砲制限は無い。思う存分に撃ちまくれとのお達しが、比良坂提督から下されていた。皆誰しもがうずうずしていた。己に与えられた力を存分に解き放つその瞬間を。何者をも吹き飛ばす絶対の力を敵へと知らしめる事を。巨砲を轟かせるその快楽を。今か今かと待ちわびていた。

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#rsbs日誌　「所で陸奥？金剛型姉妹はどうしたのだ？」「彼女達なら、空母機動艦隊の護衛ですって。別働隊として活動中らしいわ」「成る程。彼女らも無事に戦いが出来ると良いな」鼻息をフンスと一つ吐き出して長門は腕を組んだ。嗚呼、提督から下される号令はまだかまだかと。

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#rsbs日誌　不意にカンラ、カンラと鐘の音が鳴った。はて？と思うと扶桑が少し恥かしげに笑った「嗚呼、皆様、お昼ご飯のお時間みたい」どうやら彼女の艦橋に立つ妖精さんが昼時を知らせる鐘を鳴らしたらしい「暗号無電を打ったが、時間はまだ先らしい。昼食を取ってはどうだ？」日向が呟いた。

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#rsbs日誌　「そうだな…腹が減っては何とやら。提督に持たされた弁当を頂くとするか」各自が投錨し、腰を据える。艤装の圧縮空間より弁当缶を取り出して、仲良く手を合わせた『頂きます』パカリと蓋を開けた先に待ち構えるのは、カレーライスであった。スパイシーでホカホカと湯気の立ち上る。

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#rsbs日誌　「まぁ…！提督のカレー」山城が感嘆の声をこぼした。とても美味しそうな香りを漂わせている。具を眺めれば、今日のカレーはチキンカレーであるらしい。お米は提督お気に入りの麦飯。ふっくらと炊き上げられてとても美味しそうであった。片隅には福神漬とラッキョが添えられている。

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#rsbs日誌　「美味しそうね！日向」「ああ。これはまた一段とだな」一匙、ルーとライスを混ぜ合わせて口に運ぶ。熱々のルーとライスから、スパイスの香りが鼻腔を擽り駆け抜けて行く。ピリリと辛い。だが辛いだけじゃない。心地よい辛さだ。野菜や食材の甘みがしっかりと溶け込んでいる。