【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第8部
さて、名探偵図鑑完読作戦Special 《僕らの好きな人形佐七》なのでございますルよ。本日は、 その83「夢の浮橋」 その84「藁人形」 その85「春色眉かくし」 をお送りする次第なのであります
2015-10-25 01:25:04「夢の浮橋」あらすじ 三年前、袂を分かち江戸を出た辰が佐七の下へ帰ってきた。お土産に川から拾いあげてきた血塗れの帯を手にして……
2015-10-25 01:25:17「夢の浮橋」 当たり障りのないごく普通の捕物帳です。 自称トリックの鬼・横溝正史、そこらを歩く岡山県民を捕まえては思いついたトリックを語って聞かせていた頃の作品のはずなのに……、トリックらしいトリックもありません。 事件関係者の腹ちがいの兄弟など出てくる、いかにもな感じの捕物帳
2015-10-25 01:25:32「夢の浮橋」 辰 = 軽佻浮薄な行動派ワトソンポジションの彼が間に入ると、物語進行のスピードが早くなるね。 「銀の簪」が人形佐七再開のギア一速目だとすると、エンジンが回り始めた一本である。 辰、好きだ〜
2015-10-25 01:26:36「藁人形」あらすじ 役者として今ひとつ足りない子役がいる。共演相手から舞台の上でいびられる毎日。その子のおばあさんも小言で子供を追い詰めるが、いびり散らす共演の役者にも恨みを抱く。そして、おばあさんは藁人形に釘を打つのだが……、命を落としたのは子供のほうだった
2015-10-25 01:27:00「藁人形」 このお話では豆六が佐七一家に再合流するわけだが、「夢の浮橋」の辰の再登場と比較すると全く盛り上がりに欠け、あれれ? いつの間にか豆六がいてるヤン! とそんな状態なのよね
2015-10-25 01:27:33「藁人形」 そんな影の薄い豆六に対して、トチ狂いまくっているクソババア、と、良いヤツなのか悪いヤツなのかさっぱり分からない子役と共演している役者の両名がインパクトあり過ぎる。 両者と思考と行動がかなり理不尽。あまり近所にいて欲しくないタイプ
2015-10-25 01:28:35「藁人形」 そして、唐突に出てくるものすごく重要な物証。いやぁ、その証拠があるなら、殺害現場を眺めたときの違和感や発見された藁人形からではなく、そっちの線から追いかけて行こうよ〜Σ(゚д゚lll)
2015-10-25 01:28:58「春色眉かくし」あらすじ 佐七の恋女房・お粂は嫉妬していた。佐七がとある娘に気を寄せているっぽいのだ。その娘が起こした商家での万引き事件を揉み消し、あげくに濡れ衣を着せられて深く傷ついたとユスリたかりの片棒を担ぐ始末。どうした、人形佐七?
2015-10-25 01:29:12「春色眉かくし」 1946年発表の人形佐七モノの中では「講談雑誌」ではなく、唯一「宝石」に掲載された一編。捕物帳特集の一本として、「本陣殺人事件」の連載三回目と同時掲載されたモノなのよね。
2015-10-25 01:29:44「春色眉かくし」 気の利いたトリックがお話の中心に立てられているけど、それに対して伏線が全く無かったりするので、読者の予想を巡らすパズルとしての本格探偵小説の体裁は採られてないとみるべきね。連載中の「本陣殺人事件」と差別化が図られているのでは? との邪推も穿った見方ではないだろう
2015-10-25 01:30:02「春色眉かくし」 真相から逆算すると、あの手紙のシーンっておかしくね? なんだけど、ビジュアルをイメージして考えるとかなりグッドな絵面が浮かび上がってくるので、作品の勢いと流れ的には全然許容できるレベルだ。
2015-10-25 01:30:19「春色眉かくし」 最初に分かりやすいデータを置いて、ここに注目してクダサイね♫ と読者の推理を膨らませながら、最後でちょっとズらす、そんな感じの作品。……ちょっと、か? これをちょっと言ってもいいのだろうか? コレ、気の利いた伏線が一つでもあれば……、評価はかなり上がるんだよなー
2015-10-25 01:31:11さて、名探偵図鑑完読作戦Special 《僕らの好きな人形佐七》でありますよ。本日は、 その86「夜毎来る男」 その87「化け物屋敷」 その88「吉様まいる」 その89「女易者」 その90「どもり和尚」 その91 「狸ばやし」 をお送りしますよ。
2015-10-27 00:49:48「夜毎来る男」あらすじ 茶屋の娘さんが辰と豆六に話し掛け佐七に会いたいと申し願った。奇妙な頭巾を被った男が毎夜来るのだ。その娘さん、極悪高利貸しだった両親を放火で亡くし、名を変えて茶屋で働いていた。しばらく後、娘さんは姿を隠す。戻ってきたと思ったら着物が血に塗れていた
2015-10-27 00:50:13「夜毎来る男」 角川文庫の自選短編集に採択されている一本だが……、う、う〜む。 メイントリックは小粒でバレバレ(顔が分からない死体が出てくる)だし、そのトリックを支える補強要素があまりに都合が良すぎる。 これまでの同種の傾向の佐七作品と比較しても、お世辞にも完成度はよろしくない?
2015-10-27 00:50:40「夜毎来る男」 またサブトリックも??? いくら頭巾を使っていたしても……、アレがアレだということ、何となく分かっちゃうんじゃないかしらネェ? もし佐七への相談ではなく、茂平次の方にでも頼んでいたら、多分茂平次は賢くないので夜毎来る男をいきなりしょっぴいて……、そこで話が終わる
2015-10-27 00:50:57「夜毎来る男」 横溝正史お得意のトリックと横溝正史お得意のトリックを組み合わせた作品! ……と思い込めばいいのかな? 他の横溝ミステリでこれらのトリックが使用されるとき、そこには思いっきりの装飾が塗り固められているわけで、これほどストレートに工夫なく見せられてもネ、という感じかな
2015-10-27 00:51:20「化け物屋敷」あらすじ 佐七の夫婦喧嘩の理由は、佐七が女と駕籠に乗り人気の無い屋敷へ赴く様子をお粂が見たからだった。化け物屋敷と名高いその屋敷では、とある商人の死んだはずの妻が姿を現したり、転がっていたバラバラ死体が、しばらく後、跡形もなく消えたりと奇怪なことが続いていた
2015-10-27 00:52:09「化け物屋敷」 「本陣殺人事件」「蝶々殺人事件」の執筆に全精力を傾けていたのかな? これほどテキトーな佐七短編は類例がないくらいだわ。完成度も低いんだけど、そのテキトー度合があまりに突き抜けてしまっているので、逆に変な魅力を感じてしまうんよね。ヤヴァイ! けど、おもしれぇ〜
2015-10-27 00:53:08