空想の街・ハンツピィ'15 一日目 #赤風車

#空想の街 ( http://www4.atwiki.jp/fancytwon/ )ハンツピィの宴一日日(15/10/24) #赤風車 纏め。 過去本編や番外などはこちら→http://nowhere7.sakura.ne.jp ※文章や画像の無断転載及び複製・自作発言等の行為はご遠慮ください。著作権はそれぞれの作者に帰属します。 公式様参加者様、お疲れ様でした。有難うございました。何か御座いましたらご一報頂けると幸いです。 (皆さんのまとめを随時おすすめ設定させて頂く予定です)
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日魚ときお @tokyosanfish

.@nowhere_7 グラスの中で花火が上がる。真夏の花火大会を切り取ったようなカクテルが出来上がった。「さあどうぞ。口の中で花火の弾ける刺激が味わえます。旦那様にはこちらを」そう言って新月を差し出す。 #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:03:15
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

@tokyosanfish 「わぁ」歓声をあげたのは洸太郎だ。もしものときに備え、商談などの時は必ず実華より呑まないように控えている洸太郎も今日は好きに呑める。「新月なんてやっぱり風情があるなぁ、ぼくもこういうの作りたい。頂きますね」→ #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:07:12
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

@tokyosanfish 「ジンやウォッカでも私を酔わせることはできんぞ。さ、私のためのカクテルよ、血肉になってくれ!」季節外れの大輪の花を実華は味わう。 「――ふ!喉の通りがいいな…、何を使っとるんだ、企業秘密かな?腕がいいなァ」 #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:11:54
日魚ときお @tokyosanfish

.@nowhere_7 「ふふ、この時期は夏を恋しがる人が多くてですね、要望が多いのでレパートリーに加えたんです。酒の肴に星屑の砂糖漬けはどうですか?」 キラキラとした真珠のような星屑が黒い小皿に乗せられて二人の前に出される。 #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:16:52
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

@tokyosanfish 成程!と実華は答えを受け手を打つ。「そういう気配りができるバーはいいぞ。私はこういう店が大好きなんだ!」 称賛しだす実華を後目に洸太郎がしげしげ星屑の砂糖漬けを見ていた。「……これ、ほんとにお星さまじゃないよね?」 #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:19:31
日魚ときお @tokyosanfish

.@nowhere_7 「ふふ、どうでしょう?」 シェイカーはいたずらっぽくそう話す。心なしか声が弾んでいる。「人の頭に羊の角も生える街ですから…ね?」 #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:24:44
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

@tokyosanfish 「あぁ、それを言われたら分からないですよ」参ったな、と洸太郎はまた角のあたりをいじった。早く消えてくれないものか。 「いいじゃないか洸太郎。ここでは星も食べられるんだ、素晴らしい!――心して頂こうじゃないか」→ #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:28:12
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

@tokyosanfish 「遅くなったが乾杯だよ、店主に、料理にカクテルに、そして街に!」改めてグラスを傾け、実華は心底楽しそうに言い放つ。洸太郎もそれに続いた。 宴前だが、楽しい時間になりそうだ。 #喫茶馬頭琴 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:29:51

背負う者を背負って

不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

「洸太郎、洸太郎」すっかり丑三つ時を回った街の中、実華の静かな声が揺れる。馬頭琴の店にはとうに別れを告げ、またいつか来ようと全員に握手をし、実華も洸太郎も気分は明るい。何に遠慮することもなく、人目を気にすることもなく、ふたりはふたりのままで歩いていた。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:45:23
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

はいはい、と実華へと返し、洸太郎は背に飛び乗ってきた妻をよろけながら背負った。「わぁ、実華さん、もう鳥の羽も尾も落ちたよね?なんか重くなった気がする」 浮かれている実華は何も怒ることもせず、当たり前だ、と一言前置きした。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:48:32
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

「重くて当然だろう洸太郎。私は生きているんだ」 ああこの曇天に頬があるなら張り飛ばしてやりたいよ、と実華は夫の背に揺られながら呟いた。 年上の婿にこんな風に接するのは初めてかもしれない、今までのひとつひとつを思い返しながら実華が続ける。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:50:38
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

女学校を卒業してまだ若いうちに両親に揃って死なれ、弟にも先に逝かれ、ただひとりの妹は今、ずっと部屋に入ったままだ。十になるかならないかの年齢からそばにいた洸太郎は、実華の言わんとする胸の内が痛いほど分かる。 「しんみりするのは私の趣味じゃないがなァ、どうも」 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:54:28
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

そこで途切れた実華の張りのある声を、洸太郎は問い詰めない。 背中に今いる妻が若い身空で何を背負っているか、入り婿でしかない洸太郎には分からないのだ。社交界に同伴しようと事務所の経営を手伝おうと変わらない。 唯、たまに、洸太郎には、実華が酷く幼く思えるのだ。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 01:57:11
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

「秋は実りの秋――私はもてはやされるがな、妹のやつが落ち込むだろう。それに一緒になって千草も落ち込んで、従業員のやつらはみんな心配して」 酔えたらせめてどんなにかいいだろう、洸太郎はつらつらと思った。妻は酒豪であるばかりに社交界でも隙を見せないが、余りに―― #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:05:26
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

大姉さん、僕の所為で家名は落ちてやしないか、父さんと母さんは僕を嫌ってはいないか、小姉さんのことを忘れていないか――、釣りに行っては得た風車を配ってくれたおとうとを、実華も洸太郎も忘れてはいない。 そしていもうとのこともだ。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:08:04
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

姉さん、ずっと黙っていて悪かった、私は家の道具にもなれそうにない、皆へご飯を作るくらいしかできない、どうか櫻子と逢うことを許してくれ、千草のことなら私に任せて、姉さんは何も気にしなくていい、私を忘れてもいい、 ――繰り返し、徒華がふたりに告げる言葉だった。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:11:06
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

「忘れる筈がないだろうがなァ。私は千草の風車で黄色が好きだった、商売繁盛だ、あいつは福を呼ぶやつだと思っていたんだ。妹もな――なァ洸太郎、私はあいつの作る玉子丼とカレーが一番好きだよ」裏表なく、街の人々を絶賛したように、実華はためらわず言う。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:14:03
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

「こんなに素晴らしい街があったとはな。弟も妹も揃って来ておいてこんなざまとは、私は街に顔向けできん」 うん、うん、と洸太郎は返すのみだが、実華はもう別のことへと思考を移していた。それをすぐに感じ取り、洸太郎も街灯で伸びる自分たちの影へ視線を落とす。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:17:28
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

「間に合うかな」「間に合わせるさ。それが私だ」 洸太郎のぼやきを実華はくるむ。 まずはやるべきことを、やるしかないだろう。実華は鋭く前を見据える。街のどこかで鳴ったような、硝子玉とも珊瑚ともつかない音を遠く聴きながら、やがてふたりの影は夜に消えていった。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:20:53

あしおと

不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

シン、といった少年と別れた一文字は、そこから数時間中央区から離れず、ずっと時計塔を見上げていた。その針が深夜を過ぎた刹那、やおら樺色の羽織を翻して立ち上がる。 もう今日は店じまいだ。思うよりも売れてくれたことを思い、一文字が充実した面差しで商品を見る。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:39:19
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

雨は生憎まだ続いていたが、これくらいならば支障はないだろう。ただ、売れた分は補充せねばならないし、矢張り傷んでしまったものもある。こればかりは歩き売りで鳴らしているのでどうしようもなかった。 明日が本番なのだ。客が増えるといいが、と一文字は家路に着く。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:41:16
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

家といっても廃屋だ、一年ほどはどうにか凌いだが、これからまた訪れる白い季節を思うと一文字の足取りは重くなった。どこかいい場所を探さねばなるまい、本拠はあの廃屋のままにしておくとしても、例えば大災害に見舞われたときなどに備え、商品など他の寝床に移すべきだろう。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:44:05
不可村天晴/ネプリ配信中 @nowhere_7

@nowhere_7 食べる分量を間違えたか、早々に耳や髪の変化が消えてしまった。明日からは気をつけねばならない、何せ宴には、変化していなければ参加できないのだ。それでは商売あがったりである。食堂の女将や初対面の者たちに見られなかったのは幸か不幸か。 #赤風車 #空想の街

2015-10-25 02:55:21
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