備忘: @Hideo_Ogura 先生との深夜のダイアローグ

小倉先生から非常に興味深いお題をもらったので、深夜勢いに任せて呟いたことを自分の備忘のためにまとめておきました。
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Nakayama, Ryutaro @ny47th

例えば、上限金利規制は制度としては正しくないと思っているけど、弁護士としての仕事の上では、当然、上限金利規制の存在を所与としてアドバイスを行う。悪法だから無視しましょうというわけがない。

2011-01-13 16:49:32
Nakayama, Ryutaro @ny47th

実務法律家は、現在の制度を所与として自らの職務を行っているが、だからといって、現在の制度を指示しているとは限らない。制度を所与とした法律家の「行動」を、制度論から非難することはおかしいし、逆に、法律家の「行動」故に、制度論についても現在の制度を指示していると推論することも誤り

2011-01-13 16:52:24
Nakayama, Ryutaro @ny47th

というわけで、 @Hideo_Ogura 先生が久々に経済学クラスタの人とつぶやきあっているのを見て、制度論についての経済学の批判を、法律家の行動様式への批判にすりかえるのが上手だなと思う次第。

2011-01-13 16:56:51
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

現在、「結婚をしたら解雇できる」旨の条項を雇用契約に含めても公序良俗に反し無効になると思いますが、これを有効とする特別法を制定することについての是非を問われたら、先生だったらどう答えますか?RT @ny47th: 現在の制度を指示していると推論することも誤り

2011-01-13 20:36:10
Nakayama, Ryutaro @ny47th

結論だけ申し上げれば、そのような「特別法」は支持しません。 RT @hideo_ogura: 現在、「結婚をしたら解雇できる」旨の条項を雇用契約に含めても公序良俗に反し無効になると思いますが、これを有効とする特別法を制定することについての是非を問われたら

2011-01-14 02:10:36
Nakayama, Ryutaro @ny47th

もっとも、それは、@hideo_ogura 先生の立場と同じということではなく、問題の建て方(「特別法」の制定)という設定自体が、私の立場から不適切なので、不適切な問題設定の元で二択を迫られても、回答のしようがないからです。(これを迫るのが先生のレトリックの巧みさですが(笑)

2011-01-14 02:15:38
Nakayama, Ryutaro @ny47th

私に問題設定をさせていただければ、最初の問題は、ある特定の客観的事象(X)が起きた場合に雇用契約が解除できるという雇用契約を締結できるかどうかであり、これについては、私は「原則として」賛成の立場に立ちます。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:16:45
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

そのxに「婚姻」を含むことにも賛成なのですね。RT @ny47th: 私に問題設定をさせていただければ、最初の問題は、ある特定の客観的事象(X)が起きた場合に雇用契約が解除できるという雇用契約を締結できるかどうかであり、これについては、私は「原則として」賛成の立場に立ちます。

2011-01-14 02:17:43
Nakayama, Ryutaro @ny47th

「原則として」と申し上げたのは、もちろん、条件として設定した「X」が、雇用制度以外の他の制度の目的を阻害する場合には、そのXを承認するかどうかは、雇用制度よりもメタのレベルで、制度趣旨として何を尊重するかという判断が必要になります。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:19:28
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

すると、立法としてはどうなるのでしょうか?RT @ny47th: 雇用法制としての制度趣旨と婚姻の自由の何れを尊重するかは、個別の状況で異なり得ると考えます。

2011-01-14 02:26:19
Nakayama, Ryutaro @ny47th

先生があげた「婚姻」がXに入る場合には、「婚姻の自由」の尊重という別の制度趣旨を阻害する効果を持つため、このような調整が必要となります。例えば、「婚姻の自由」を他の制度よりも上位に置くのであれば、例外なく認めないという制度(立法)でしょう。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:22:31
Nakayama, Ryutaro @ny47th

逆に、雇用法制としての制度趣旨を常に上位に置くのであれば、小倉先生の言うような「特別法」を制定すればいいでしょう。しかし、私はその何れも妥当とは思いません。雇用法制としての制度趣旨と婚姻の自由の何れを尊重するかは、個別の状況で異なり得ると考えます。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:24:21
Nakayama, Ryutaro @ny47th

これこそ、「公序良俗」なり「条件の合理性」といった抽象概念を法律家と裁判所が運用して行うべき領域であり、個別案件において雇用制度の観点からの条件の合理性や、他の代替的手段の有無を考慮して、「婚姻の自由」との調和が図られるべきと思います。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:26:27
Nakayama, Ryutaro @ny47th

結論としては、立法としては、原則として雇用契約において事前に解雇事由を合意することは事由であるが、当該条件が他の制度趣旨を阻害するようなものについては公序良俗で無効となり得る場合があるというのが私の立場です。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:30:29
Nakayama, Ryutaro @ny47th

なお予防線を張っておくと、経済学的な分析は、ある政策目標との関係で効果的な制度を立案することには役立ちますが、異なる政策目標間の調整までできるとは限りません。ただ、後者において不十分だからといって、前者における分析機能は否定されません。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:33:33
Nakayama, Ryutaro @ny47th

本件に即していえば、効率性の観点から、雇用法制がどのようにあるべきかという問いに対して経済学的分析は有効ですが、効率性と「婚姻の自由」の何れが大事かという問題には応えられません。だからといって、経済学的分析が役に立たないということではありません。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:37:12
Nakayama, Ryutaro @ny47th

ましてや、前者の意味での分析を行う者が、当然に「効率性」の方が「婚姻の自由」よりもいかなる場合も優先されるべきという価値観を前提としているということもありません。 @hideo_ogura

2011-01-14 02:39:58
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

「経営者が男である場合、常に若くて独身の女性が周りにいる方が楽しいので、女性社員が結婚したら解雇できるようにしておかないと、雇用のインセンティブが損なわれる」として、法と経済学の観点から、「婚姻したら解雇」条項を公序良俗に反しないとされることはあり得る?RT @ny47th:

2011-01-14 02:33:51
Nakayama, Ryutaro @ny47th

それは「法と経済学」の観点ではなく、効率性(の達成)とその他の価値観との優先劣後に関する、その論者の嗜好ですね。 RT @hideo_ogura: 雇用のインセンティブが損なわれる」として、法と経済学の観点から、「婚姻したら解雇」条項を公序良俗に反しない

2011-01-14 02:41:57