ニンジャカタナ 『Location No.93』 #7

@Fw009による小説ニンジャカタナ 『Location No.93』の#7まとめです。 連載中アカウント @NJkatana 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

◆親愛なる読者の皆さんへ◆ 現在連載中のニンジャカタナNo.93ですが、No.◯◯#◯という表記がサブタイトルと#の各話区分が混ざってしまい分かり辛いという貴重なご意見を頂きました。このご意見を参考に、以後各話のサブタイトルはLocation No.◯◯という表記に変更致します。

2015-10-24 22:53:30
ニンジャカタナ! @NJkatana

連載途中での表記変更となりますが、よろしくお願いします。

2015-10-24 22:55:25
ニンジャカタナ! @NJkatana

また、今回のサブタイトル表記も含め、読者の皆さんの視点からTwitterで文章を書いた際にこうしたほうが読みやすい、こういう纏め方もしてほしい等、ご意見ご要望があればドシドシ頂戴できれば幸いです。(感想もお待ちしてます!)それでは、今後共お付き合いのほどよろしくお願いします。

2015-10-24 22:59:23
ニンジャカタナ! @NJkatana

ニンジャカタナ ―Location No.93―◆ #7

2015-10-24 23:29:21
ニンジャカタナ! @NJkatana

「わー!すごーい!私こんな大きなお人形さん見たのはじめてかも!」「――!――!」チリ一つない純白の通路。通路の天井は異様に高く、全長7メートルのヒンメルすら余裕を持って歩行可能だ。恐らく普段は一切の音も存在しない筈の無機質な空間。そこに今は子供の笑い声が響いていた。1

2015-10-24 23:45:39
ニンジャカタナ! @NJkatana

93番コロニー地下に作られた巨大な居住空間。地上に露出する半径5kmの陸地部分の約三倍。コロニー全体で見ると、居住区からは更に上層と下層に幾つかの層を成している。そしてその全ての層を上下に貫く基幹ブロック。外界からは巨大なタワー部分のみが見える、このコロニー最大の構造物―― 2

2015-10-24 23:55:00
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今彼らはその中にいた。先導するカタナ。ヒンメルに乗るリーゼ。連合最高位、教皇メダリオン。そしてメダリオンの侍従、銀髪の少女スピカと、銀髪の少年カルマだ。当初相反するかと思われていた双方の目的。だが現在その状況は変わりつつあった。『危ない!もう、あまりはしゃぐと落ちちゃうわよ?』3

2015-10-25 00:56:55
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リーゼは咄嗟にヒンメルの左手の平から落下しそうになるスピカをヒンメルの右手で背中から支える。「ありがとお姉ちゃん!でもきっと落ちてもカルマが助けてくれるからへーきだよ!」スピカはヒンメルの左右に揺れる単眼に手を振りながら言った。ヒンメルの頭頂部に座るカルマもその言葉に強く頷く。4

2015-10-25 00:57:45
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『平気なのはわかったけど、ちゃんと大人しく乗ってて。ヒンメルは遊具としての運用を想定してないんだから』「ははは、流石のリーゼも子供の相手は慣れてないのか?」その様子を見たカタナが笑って言った。『茶化さないで。危ないのは本当だし、大体子供って――実際は私と大して離れていないわよ』5

2015-10-25 00:58:25
ニンジャカタナ! @NJkatana

確かにリーゼの言葉通り、スピカやカルマは言動や行動こそ幼いものの、その容姿や見た目はリーゼと同じ程度に見えなくもない。「ん?っていうかリーゼって何歳なんだ?そういや聞いてなかったよな」カタナは思いついたように言った。『ああ、そうだったかしら?今は15よ。後数日で16になるわね』6

2015-10-25 00:58:49
ニンジャカタナ! @NJkatana

「15だと!?」カタナはその言葉に驚きの声を上げる。「お姉ちゃん15歳なんだ?じゃあ私やカルマと一緒!」『あら――カタナ、貴方どうしてそこで驚くのかしら?』「いや!別に変な意味じゃねえんだ。リーゼってすげえ頭良いし、考え方もなんか悟りまくってるだろ?でも、まあ――そうか」7

2015-10-25 01:02:09
ニンジャカタナ! @NJkatana

改めて思い起こせば、リーゼの容姿はむしろ15歳相応よりも幼い程だ。もしそれなりの衣装に身を包めば、かなりの数の異性が彼女に声をかけるであろう。だが幸か不幸か、彼女はそういった物にあまり価値を見出していないばかりか、化粧よりもオイル、美しい花よりも拳銃をその手に多く握ってきた。8

2015-10-25 01:02:42
ニンジャカタナ! @NJkatana

さらに、幼少より最も多く接してきた人物が齢70を超える祖父だったため、その物言いまでもが老成した雰囲気を纏うようになっていた。勿論、当の本人はそんなことは一切気にかけていないし、興味もない。とにかく自分が生きている間にしたいことを全てやり切る。リーゼの頭にはそれしかなかった。9

2015-10-25 01:03:33
ニンジャカタナ! @NJkatana

「失礼ながら、私もカタナさんと同じ気持ちですよ、リーゼさん。貴方程の技術者は我が連合にもそうはいないでしょう」彼らのやりとりをにこやかに眺めていたメダリオンが口を開く。「もしリーゼさんさえ良ければ、我が国でその才能を発揮してみては?お互い、悪い話ではないと思いますよ」10

2015-10-25 07:56:29
ニンジャカタナ! @NJkatana

『確かにありがたい申し出だけれど、遠慮しておくわ』リーゼは特に悩むこともなく言う。「えー、お姉ちゃん来ないの?一緒に行こうよ!」不満気なスピカがヒンメルの指をその手で何度も叩く。「連合には全世界の技術が集まります。研究設備も優れている。きっと貴方も満足する環境だと思いますが」11

2015-10-25 09:34:59
ニンジャカタナ! @NJkatana

尚も食い下がるメダリオンに、リーゼは淡々と言った。『それは知ってる。でも、流石に私の家族を殺した国に所属する気にはなれないわ――今はまだね』その言葉にメダリオンは一瞬言葉を区切る。「――そうでしたか。これは大変失礼なことをしてしまった。謝罪します――」メダリオンは言った。12

2015-10-25 09:35:29
ニンジャカタナ! @NJkatana

『気にしないで、貴方達を憎んだりはしてないわ。ただ、今はまだ私の気持ちがすっきりしないだけだから』リーゼは特に感情の感じられない声で言う。「ありがとうございます、リーゼさん」メダリオンの謝罪は、自らの不用意な発言に対するものだ。決してリーゼの家族を殺したことに対してではない。13

2015-10-25 09:35:43
ニンジャカタナ! @NJkatana

リーゼはそれを理解していたし、それで構わないと思っていた。コロニー同士の技術の奪い合いは日々激化の一途だ。その中で犠牲になる命もあれば、それで助かる者もいる――それだけのことだ、と。――彼女は賢すぎた。自分にとってプラスにならない感情を理性と知識で抑えつける癖があった。14

2015-10-25 09:36:59
ニンジャカタナ! @NJkatana

「あーあ、お姉ちゃんが来てくれたら楽しいだろうなー、毎日お人形さんで遊べるのに。ざんねんね、カルマ」「……」スピカとカルマは心底残念そうな表情を見せる。『ごめんなさい。気が向いたらね』スピカをヒンメルの指先であやしながらリーゼは言った。『そういえば、貴方達が探している――』15

2015-10-25 09:40:48
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ええ、私達が求める御子が何か?」メダリオンはすぐに答えた。『その、貴方達の言う子供って本当にカタナが探しているっていう迷子と同一人物なの?』リーゼはヒンメルの単眼をメダリオンに向けて言った。「そりゃあ、多分そうだと思うぜ。ここに残ってるのはもうその子しか居ないはずだしな」16

2015-10-25 10:02:07
ニンジャカタナ! @NJkatana

カタナが横から言う。『不自然よ。貴方だってその神様の子供の一人なのでしょう?こんな連合とは縁もゆかりもないコロニーに、なぜ別の神様の子供が居るなんていうことになるの?』リーゼのその問いに、メダリオンは笑みを浮かべる。「盟父は全ての技術の頂点にして、管理者」17

2015-10-25 10:06:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

メダリオンは続ける。「盟父にはこの世界に存在する全ての技術の囁きが手に取るようにわかるのです。この場所で今正に目覚めようとしている新たなる可能性を、盟父は自らの御子として連合に迎え入れることを決めたのでしょう」『つまり直接的な血縁というわけではないのね?』メダリオンは頷く。18

2015-10-25 10:09:50
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ただし――」メダリオンは若干強い口調で付け加える。「血縁の有無は問題ではありません。盟父は、人類が身勝手に拡大し多次元技術の犠牲となった多くの命、可能性を少しでも救いたいと考えている。それはひとえに偉大なる盟父の愛です。貴方達も、多元連結機関による悲劇はよくご存知でしょう」19

2015-10-25 10:12:48
ニンジャカタナ! @NJkatana

今度はリーゼが頷いた。「その二人も、元は生まれ育ったコロニーで多元連結機関の種火とされていた子供達です」「メダリオンが助けてくれたんだよ!」「――!」二人は嬉しそうにメダリオンに手を振る。「恐らく、この場所に居るというその子供も、多元連結機関の犠牲者。私はそう考えています」20

2015-10-25 10:17:00
ニンジャカタナ! @NJkatana

メダリオンの良く通る宝石のような声が静寂に支配された通路に朗々と響く。「……」その言葉をカタナは黙ったまま聞いている。カタナは先程メダリオンからこの目的を聞かされた際、その子がもし双方の探す子供と同一人物だった場合は、どちらに付いて行くのかをその子に選ばせたいと話していた。21

2015-10-25 10:23:22