チンピラ患者Nさんとの出会いと別れ

KangKim 김 강 @SleipnirAtNet

twitter.com/SleipnirAtNet/… twitter.com/SleipnirAtNet/… ぼちぼち書くかな。どこの病院にも必ず居付いているチンピラクレーマーのNさんのお話である。 チンピラNさんは悪性疾患で通院中だったのだが、3分以上待てないウルトラマンと言われていた。

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ある日、外来受付に執拗に絡んでいたのを、その日不機嫌だった私が見付けた。 私「いい加減にしろ。ここは病院だ。騒ぐな」 N「うるせえ、俺は重病人だ。3分以上待てないんだ。さっさと診ろ」 私「元気じゃねーか（笑）3分くらいじゃ死なないから心配するな」 私も不機嫌だからタメ口（笑）

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誰かがコードイエロー（通報）をかけようとしていたが止めた。私の名札を見て、 N「お、お前朝鮮人か。国へ帰れコラ」 医者になって初めていただいた台詞である。 私「っるっせえ、このチンピラ野郎が！いてやってるんだから感謝しろカス」 N「てめー、何様のつもりだ？」 周りは唖然である。

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私「お医者様だ文句あるかバカ野郎！」 カス野郎だったかもしれない（笑）受付さんが吹き出しそうになっている。 N「お、お前、覚悟しておけよ」 私「ふん、知ったことか。返り討ちにしてくれるわ（笑）朝鮮人ナメんなよコラ」 ここで総務と守衛さんが来た。ご苦労様と挨拶して終了。

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まあ私も不機嫌だったところで騒ぎすぎたことは確かである。後日上の方から呼び出しくらったが、適当に謝ってこの件は終了。Nさんはうちの科では騒がなくなった。 で、その数カ月後にNさんが脳梗塞を発症して入院してきた。担当は後輩のスタッフ。週1回の病棟回診は私の担当。そこで再会した。

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主治医「主訴は左上肢の不全麻痺。トルソー症候群による右前頭葉の塞栓症です」 私「なるほど。抗凝固療法と、エダラボンは…腎機能的に無理か」 Nさん、目を丸くしていたが委細構わず丁寧に診察。 私「原疾患（悪性腫瘍である）はともかく、これは何とかしましょう」 N「お、お願いします…」

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幸い脳梗塞は重症ではなく、軽微な後遺症を残したが短期間で無事退院された。 退院後の受診の際に外来廊下で見かけた。大人しく待っている。 私「Nさん、その後の具合はどうです？」 N「あ、先生、よくなりました」 N「先生、この前は俺が悪かった」 バツの悪そうな顔をしている。

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私「ん？そんなこともあったかな（笑）気にしなくて結構。私も虫の居所が悪かったし。とりあえず、お大事にということで」 それまでブラックリストの筆頭だったNさんだが、その後はまったく騒がなくなった。彼のおかげかは知らないが他のチンピラまで静かになり、何故か私が感謝された（笑）

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そしてそれから一年ほどして、Nさんが亡くなったことを知った。安らかな最期であったかどうかは知らない。診療録に事務的な記載が残されていたのみである。私の家には仏壇があるのだが、彼の命日には手を合わせ回向（ご供養）することにしている。