J・G・A・ポーコックと共和主義

フォロワーさんからの質問を連続ツイート企画としたものです。ポーコックの議論した共和主義について解説しています。
15
政治学史たん @seijigakusitan

ヒュームは『政治論集』の「論説12 完全な共和国」で共和政について制度設計をしています。この共和国では元老院と各州議会という構図ですが、二院制といえば二院制ですね。同時に商業についても論じており、共和政の議論と富の議論を接合させた人物なんです。

2015-10-31 23:26:01
政治学史たん @seijigakusitan

ヒュームが議論をしていたまさにその時、新大陸の植民地問題が発生していました。最終的にその植民地は独立を経て、アメリカ合衆国が建国されます。米国の理念は「自由と共和政」。これは独立から建国までの議論が背景にあります。

2015-10-31 23:31:45
政治学史たん @seijigakusitan

米国の制度設計を行ったのはジェームズ・マディソンです。マディソンは『ザ・フェデラリスト』の執筆者の一人ですね。マディソンは富の議論に立脚して共和主義に基づいた建国を志向しました。

2015-10-31 23:33:20
政治学史たん @seijigakusitan

法律論としてはイギリス法から発展した米国建国ですが、考案の際の壁は国王と貴族がいない状態だということでした。これまで混合政体の議論をして来たにも関わらず、新大陸ではそれを活かすことが出来ない。マディソンはローマ共和政の白いガウンを着て執筆をする程でしたから苦悩したと思います。

2015-10-31 23:36:46
政治学史たん @seijigakusitan

ここでマディソンが出した結論は、混合政体論で重要な要素とされる、王政・貴族政・民主政の対立構造を人工的に作り上げるための制度設計を行うことでした。王政⇒行政権、貴族政⇒立法権・司法権、民主政⇒立法権という置き換えによって抑制と均衡、まさに三権分立を考案したんです。

2015-10-31 23:40:30
政治学史たん @seijigakusitan

これは富の議論にも立脚しています。普段商業活動、つまり私的な利益を追求する活動を行っている人が政治の世界で同じように行動した場合の危険性を見出しました。マディソンが党派を危険視するのもここから来ているのですが、党派による私的利益の追求は少数派の意見を否定してしまいます。

2015-10-31 23:41:32
政治学史たん @seijigakusitan

少数派の意見を否定して、ローマ共和政のような徳を形成出来るはずが無い。マディソンは政治の暴走、多数派の専制を防ぐためにも厳格な三権分立を考案したんですね。ここに、徳ではなく富に立脚した共和主義の議論が結実したんです。しかも、議論だけではなく、現実のものとなったんです。

2015-10-31 23:42:32
政治学史たん @seijigakusitan

ポーコックは『徳・商業・歴史』に徳に対して商業活動が活発化してきたという意味を込めています。共和主義の議論は社会の変化によって変質を余儀なくされたんですね。徳ではなく、富に立脚して実現される。逆説的な議論ですが、米国において実現された共和政はまさに「トンネル史」なんですね。

2015-10-31 23:43:25
政治学史たん @seijigakusitan

以上で『J・G・A・ポーコックと共和主義』を終わりにしたいと思います。ご清聴ありがとうございました!

2015-10-31 23:44:27