アンド・ストライク・ア・ゴング　＃４（再放送）

劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

劉度 @arther456

（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

劉度 @arther456

（これまでのあらすじ：ネオカルイザワ艦娘闇コロッセウム。民間に流れた違法艦娘や、退役した艦娘同士を戦わせる非合法賭博施設である。この主催者と対面し、捕らえるため提督はあえて艦娘を引き連れトーナメントに参加した。主催者は強者にしか会わないからだ）

劉度 @arther456

（５回戦の内、３回は勝利した。だが４回戦を戦う木曽と、補欠の金剛までもが卑劣な罠によって戦闘不能に追い込まれている。不知火が出るしかないのか、それとも。いずれにせよ、４回戦はもう間近に迫っている――！）

劉度 @arther456

砂のリングに、ボロボロになりながらも立つ者がいた。チーム・サーティースリーの副将・木曽である。まだゴングも鳴っていないのにすでに足元がふらついている。コンゴウの放った気の奔流は、それだけの力を持っていた。「俺に勝負を挑むバカはどいつだ……？」自らを鼓舞するように、木曽は呟く。 1

劉度 @arther456

「木曽！バカ言ってないで戻れ！」提督がフェンスから身を乗り出して叫ぶ。「うるせぇ！ここで俺が戦わなきゃ誰が戦うんだ！？」「それは……」口ごもる。答えがないわけではない。今すぐ呼び出せる艦娘は一人いる。だが彼女を呼べばこの作戦そのものが失敗してしまう。 2

劉度 @arther456

《挑戦者チーム、４人目はキャプテン木曽！しかし何らかのアクシデントでしょうか、負傷しております。大丈夫なのでしょうか？》「大丈夫だ！」気丈に返事をする木曽の口から血が流れた。「舐めてんのかコラァ！」「勝負にならねえだろうが！」観客からはブーイングが浴びせられる。 3

劉度 @arther456

「待てぇい！」 4

劉度 @arther456

スタジアムに、高い声が響き渡った。虚勢も、静止も、嘲笑も、全ての声がその一喝に黙りこむ。「小さな勇気を嘲笑う者達よ。輝く光はやがて大きな力を呼び、悪を打ち倒すだろう……」朗々とした演説が、地下闘技場に響き渡る。「人、それを『天罰』と呼ぶ！」 5

劉度 @arther456

「いたぞ、あそこだ！」誰かが指差し、全員の視線がその一点に集まった。観客席最上段、電光掲示板の前に誰かがいる。「な、何だお前は！」叫ぶカネモチに対し、人影は言った。「貴様らに名乗る名前は無いッ！」叫んだ人物は――黄色いＴ字型の頭の人間だった。 6

劉度 @arther456

「とぅっ！」Ｔヘッドの提督が跳ぶ。手から着地し、５連続側転を決め、再び大きくジャンプし、砂のリングに降り立つ。勲章のない第二種軍装が靡いた。「闇ある所、光あり！悪ある所、正義あり！大海原の使者、T.G.、参上！」その胸は豊満であった。 7

劉度 @arther456

「な……何してんのォォォ！？」あっけにとられた観客たちの中で、最初に悲鳴を上げたのは、他でもない提督だった。「そりゃこっちのセリフよ！アンタ、あたしに隠れて何しょーもないことやってんの？」「Ｔヘッドマスク被ったげ……ゲフン、人に言われたくないですよ！」 8

劉度 @arther456

「おいアンタ、理事の知り合いか？」木曽が二人に割って入る。「そうだけど」「何だか知らねえが、そこをどいてくれ。オレは今から戦わなくちゃならないんだ」「へえ。そんなボロボロで？悪いけど今のアンタじゃ勝ち目はないよ」「何だと！？」その物言いに、カッとなって木曽が掴みかかる。 9

劉度 @arther456

だが、木曽の手は宙を描いた。「話にならないねえ」後ろから声。木曽が振り返ると、フェンスにＴヘッドが寄りかかっていた。まだ、と言いかけて木曽が体の異変に気づく。胸がスースーする。「運動する時はホックのブラはダメよ？はいこれ」「えっ」提督の頭に、水色のブラジャーが被せられた。 10

劉度 @arther456

「……ほああああーっ！？」「うわぁぁぁっ！？」木曽がフェンスを乗り越えて、下着を取り返そうと提督に飛びかかった。「甘いねえ」ケラケラ笑ってＴＧはフェンスから離れる。木曽をからかっている間に、リングの光景は一変していた。大勢の警備ヤクザたちが、ＴＧを取り囲んでいた。 11

劉度 @arther456

「ザッケンナコラー……」「スッゾコラー……？」殺気立ったヤクザたちは、手に刀やハンマーなどの凶器を手にしている。そして彼らを率いるのは、チャイナ服を身に纏い、柳葉刀を肩に担いだ艦娘・天龍だ。「ここに入り込んでくるたぁ、いい度胸だなオイ」そして傍らにはもう一人。 12

劉度 @arther456

「侵入者はすぐに排除しないとね～」天龍と同じくチャイナ服を纏い、薙刀めいた偃月刀を握るのは軽巡・龍田。天龍型の軽巡二人は、このコロッセウムの警備隊長である。今までこのコロッセウムに現れた侵入者は、全員彼女たちの刃の錆になってきた。 13

劉度 @arther456

「あー、ちょっと。あたしは怪しいもんじゃないわよ。この手のバトルに付き物の、覆面のお助けキャラよ？」「アニメの見過ぎだバカヤロウ。この警備隊長、天龍様に目をつけられちまった以上、諦めてぶっ殺される準備をするんだな！」 14

劉度 @arther456

警備ヤクザが包囲の輪を狭める。ジリジリとしたプレッシャーの中で、ＴＧは腰の刀に手をかけた。やる気だ。龍田が優雅に偃月刀を振るい、指揮を執る。「さあみんな～？あの侵入者を寸刻みに……」《お、お知らせいたします！》 15

劉度 @arther456

緊張を破ったのは実況の声だった。そしてその声は更なる緊張を呼び込んだ。《"館長"が、このネオカルイザワ地下闘技場に到着いたしました！》途端にざわめいていた観客たちが静まり返った。提督もだ。この暗黒闘技場の創設者が、遂に手の届く距離にまで来たのだ。 16

劉度 @arther456

《それと、ですね》更にアナウンスは続く。《第四試合、挑戦者チーム木曽の負傷を鑑みまして、特別にミセス・ＴＧvs天龍＆龍田のカードが組まれました！》会場が再びざわめいた。「ブヒィ……あの館長め。また余計なことを」提督の背後の汚いカネモチが、忌々しげに呟いた。 17

劉度 @arther456

「チェッコラー……」「オボエチャガレッラー……」警備ヤクザたちが渋々引き上げる。「へえ、他の連中よりここのボスのほうがよっぽど洒落てるじゃない」ＴＧが腰の刀を抜いた。「しかもメガトンおっぱいの女の子と３Ｐ！やっべ、ヨダレが……ああ、もうマスクが邪魔！」 18

劉度 @arther456

「おいおい、いいのかぁ？そんな余裕で。オレら二人相手じゃ、死ぬかもしれないぜ」「かもじゃないわよ～。天龍ちゃんをえっちな目で見るような人は～……絶対殺しちゃうんだから」天龍と龍田も、それぞれの得物を構えた。《では特別戦！フリート・コンバット！セイリィ……ゴー！》 19

劉度 @arther456

【アンド・ストライク・ア・ゴング】＃４（再放送）

劉度 @arther456

「天龍様の攻撃だ！うっしゃあ！」ゴングと同時に突撃するのは天龍、力任せに柳葉刀を振り下ろす！「っとお！」ＴＧはこれをバックステップで回避。だが、すぐに切り返された刃が鼻先を掠める！「怖くて声も出ねえか？オラオラァ！」息もつかせぬ剣撃の嵐、天龍の攻めは容赦無し！ 20