アンド・ストライク・ア・ゴング #4(再放送)

T督無双
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劉度 @arther456

「せいっ!」肩口を狙った刃を、TGは刀で受け止める。そのまま鍔迫り合いに持ち込む。ギリギリと、互いの刃がお互いの喉を食い破らんと唸り声を上げる。「……っらあ!」「おおうっ!?」TGが力の向きをそらした。天龍がバランスを崩し前につんのめる。その背に向けてTGが刃を突き出す! 21

2015-11-03 21:41:05
劉度 @arther456

「ッ!」だが、天龍を突き刺す前にTGはその場から飛び退いた。龍田の繰り出した偃月刀に狙われていたのだ。「あら、残念」穏やかな口調とは裏腹に、穂先には殺意が篭っている。突きから払いに変化した一閃を潜り、TGは龍田の足に刀を振るう。龍田はこれをジャンプして回避する。 22

2015-11-03 21:44:15
劉度 @arther456

「よそ見してんじゃねェッ!」TGの背後から天龍が襲いかかる!斬撃はTGが首の後ろに回した刀に止められる。だが着地した龍田が慈悲なき刺突を心臓に繰り出す!「ちいっ!」間一髪TGは身をひねり刃を避けた。脇腹が浅く切り裂かれる。ひねった勢いで天龍の刃から逃れたTGは、龍田に迫る! 23

2015-11-03 21:47:30
劉度 @arther456

「つえいっ!」横薙ぎの一撃が、龍田の鼻先を掠めた。一瞬早く龍田がバックステップで距離をとったのだ。だがその動きはTGの期待通り。彼女も逆方向に跳び、槍の間合いから逃れる。その先にいるのは、天龍!「……てえいっ!」頬が土につくほどの低さから、天龍の顎目掛けて剣先を跳ね上げる! 24

2015-11-03 21:50:47
劉度 @arther456

天龍の眼帯がはね飛んだ。音速を超えた剣先は、しかし彼女の顔には届かなかった。「ちいっ!」天龍も後退る。3人はしばしの睨み合いに陥った。「オレに眼帯を脱がせるとはな……やるじゃねえか」「天龍ちゃんを怒らせたら大変よお?まあ、私はもうカンカンなんだけど~」 25

2015-11-03 21:54:01
劉度 @arther456

「ちょっと、あんたら」余裕綽々、といった2人に対し、TGの声はすこぶる不機嫌だった。「何だ?」「あのさあ、そのチャイナ服なんなの!?」「……は?」天龍が自分の服を見る。どうということはない、普通のチャイナ服だ。「今さあ!パンツ覗いたのに見えなかったんだけど!鉄壁なの!?」 26

2015-11-03 21:57:11
劉度 @arther456

TGが龍田の足に振るった一閃と、天龍の顎めがけた一閃。あれは攻撃のためではなく、ただ下からスリットの中を覗こうとしただけだった。「お前……え、今までパンツ覗こうとしてたのか?」天龍が問う。向こうでは龍田が青筋を立てて怒っている。「バカじゃねえの?」 27

2015-11-03 22:00:22
劉度 @arther456

「パンツ覗きバカにすんなこのバカ!触って相手を気持ち悪くさせるセクハラと違って、気付かれなければ誰も嫌な思いしないのよ!私はパンツが見れて幸せ、相手は触られることがなくて幸せ!それを鉄壁チャイナとかいうチートアイテムで邪魔するなんて、風情も何もあったもんじゃないわ!」 28

2015-11-03 22:03:40
劉度 @arther456

念のため言っておくが、彼女は正気だ。だが、超弩級の変態だった。「うわあ……ひっでえ、本物の馬鹿だ」これには天龍も苦笑い。「天龍ちゃん。殺しましょう。すぐに」龍田はもうじりじりと間合いを詰め始めている。この変態が目の前にいるという事実を、一分一秒でも早く断ち切りたかった。 29

2015-11-03 22:06:50
劉度 @arther456

「来るなら来なさい!こうなったら強引にでもあんたらの下着を見てやる!パンツなのか、Tバックなのか!それともはいてないのか!はっきりさせてやるわ!」《ここでミセス・TGのセクハラ宣言だぁーっ!この強豪相手二人に、なんという余裕!なんという無謀!》 30

2015-11-03 22:10:00
劉度 @arther456

実況の言葉が終わる前に、龍田が動いた。目にも留まらぬ速さで刺突と薙ぎ払いを組み合わせた連撃を次々と繰り出す。TGはこれを避けるが、間合いが遠い。反撃には移れない。そこに更に天龍が切りかかってくる。一つでも間違えれば龍田の槍に貫かれる位置で、しかし天龍は動じず太刀を振るう。 31

2015-11-03 22:13:12
劉度 @arther456

槍と太刀の絶妙なコンビーネーション。互いの動きを知り尽くしたからこそできる挟み撃ち。流石のTGもこれには防戦一方。だが受け続けるだけでは勝機は訪れない。「っしゃあ!」TGが動いた。龍田の刺突を避け、左手で槍の柄を掴む。龍田は引き戻そうとするが、槍はビクともしない! 32

2015-11-03 22:16:25
劉度 @arther456

「これでサシよ!」天龍の太刀を受けとめ、TGが吠えた。1対1なら十分に勝機がある。円を描くようにして天龍の太刀を弾き、ガラ空きになった胴に、刀を――。「ッ!?」TGの体勢が崩れた。抑えていた槍が不意に軽くなったのだ。振り返ると、槍を手放した龍田が目の前にいた。 33

2015-11-03 22:19:39
劉度 @arther456

ズダァン!砲撃を思わせるような龍田の拳が、TGの腹に突き刺さった!直撃を受けたTGは槍を手放し吹き飛ばされる。勝負あったかと思われたが、TGは地面を転がって勢いを殺し、再び立ち上がった。「やるじゃん。でも全然効いてないよ!」二人に向けてTGは手招きする。 34

2015-11-03 22:22:59
劉度 @arther456

「ウソつけ。内蔵がイッってんだろ?」Tヘッド型マスクが、吐いた血で赤く染まっていた。「……バレたか」「そろそろパンツとか言ってないで、本気出したらどうだぁ?」「天龍ちゃ~ん?」龍田がジト目で天龍を睨む。やや頬が赤い。TGがその仕草で何かに感づく。 35

2015-11-03 22:26:22
劉度 @arther456

「あのさあ、龍田ちゃん。ひょっとして処女?」昼飯のメニューを訊くような気軽さで、TGがとんでもない疑問を口にした。「へっ……!?」龍田の色白の顔が、一瞬で真っ赤になる。「図星か!っていうか、ひょっとしてキスもまだ!?」龍田の顔が更に赤くなる。 36

2015-11-03 22:29:40
劉度 @arther456

「うわー、そりゃ勿体無いなー。そんな可愛い顔してるんだからさあ、男の2人や3人引っ掛けられるって。あ、それとも女の子?……てかひょっとして天龍ちゃんがお相手?」龍田の槍を持つ手が震える。今すぐあの変態の喉を抉り取りたいが、一人で飛び出したら勝てない。必死に恥辱に耐える。 37

2015-11-03 22:32:58
劉度 @arther456

「……オーケー、カップルが相手じゃあ、手加減は失礼ね」急に静かになったTGが、刀を腰の鞘に納め、上体を屈めた。「居合ですって?」客席の雷が首を傾げた。「両手を開けて、槍を掴みやすくする気かしら?」だが提督は首を横に振った。「いや……あれ、ろくでもないことする気だ……」 38

2015-11-03 22:36:11
劉度 @arther456

その物言いの不自然さに、雷を肩車する電が気づいた。「司令官さん、ひょっとしてあのTマスクの人とお知り合いですか?」「……みんな気づいてないの?」「誰なのです!?」提督は辺りを見回す。「ごめん。言ったら大変なことになる」質問に答えるには、敵が多すぎた。 39

2015-11-03 22:39:25
劉度 @arther456

「行くぞ龍田ァ!」睨み合いの果てに、天龍と龍田が同時に飛び出した。同時にTGも駆け出す。刀は納めたままだ。柳葉刀と偃月刀が振り下ろされる。交錯。残身。そして、血。TGの胴が☓の字に浅く斬られ、第二種軍装を赤に染める。その傷を対価に得た報酬を、彼女は両手に高々と掲げていた。 40

2015-11-03 22:42:38
劉度 @arther456

「パンツ!パンツです!」二枚の白い布が、白日の下に晒されていた。極限まで集中したTGの指先が、すれ違う一瞬で二人の紐パンを盗みとるという神業を成し遂げたのだ。「……ッ!」下着を強奪されたことに気付いた龍田が、無言でダッシュしTGの頭に偃月刀を振り下ろす! 41

2015-11-03 22:45:55
劉度 @arther456

その瞬間を待っていた。彼女はパンツを手放し、鞘と柄に手をかけ、一瞬で居合の態勢に入った。龍田は目を見開いた。カバーしてくれる天龍は後方、届かない。まさか、この状況を作り出すために、この女はパンツを。「てぇいりゃあああっ!」抜かれた白刃が、瞬きする間もなく龍田の胴を凪いだ。 42

2015-11-03 22:49:07
劉度 @arther456

一閃!だが彼女は止まらない!居合のため踏み出した勢いのままに、天龍の懐に飛び込んだ!「ちいっ!」二人はほぼ同時に得物を掲げる。一人は攻撃のために、一人は防御のために!「チェストォォォ!」雷鳴すら跳ね除ける咆哮と共に、刀が振り下ろされた!ガキィン! 43

2015-11-03 22:52:22
劉度 @arther456

……天龍の柳葉刀は、確かにTGの刀より早く頭を守っていた。だが。「がはっ……!?」血を吐いたのは、やはり天龍。速度と筋力、なにより一撃必殺の意志が乗った斬撃はあまりに重かった。防御のために掲げた柳葉刀が押し負けて、彼女の鎖骨に食い込んでいた。 44

2015-11-03 22:53:15
劉度 @arther456

意識を手放す寸前、天龍は相方を見た。気を失っているが、血は流れていない。「やぁっぱり」峰打ち。即ち、圧倒的技量の差。「強えじゃねえかよ……」大の字に倒れ、天龍は意識を手放した。「あったりまえじゃない」刀を納め、胸を張る。殴られた内臓が痛むが、それでも勝者の貫禄はあった。 45

2015-11-03 22:56:28