《えっと……いいんですか?アッハイ。だ、第四試合!勝者・謎のマスク艦娘TG!み、皆様ぁ、惜しみない拍手を!》アナウンサーが場を取り繕うが、拍手は起きなかった。兎のなぶり殺しを見物するはずが、誇り高き獅子の戦を見せられて、誰も声を上げることができなかった。 46
2015-11-03 22:59:39「いいリアクションありがとー!いえーい!」そんな空気の中、彼女はダブルサムズアップで主催者側のベンチに戻っていった。当たり前のように、提督の隣に座る。「……で、改めて聞くけど、アンタ何してんの?」「そっちこそ何してるんですか。自分の仕事は?」「長門に預けてきた」 47
2015-11-03 23:02:49「艤装はつけてないとはいえ、艦娘を10人近く陸に上げるなんて、どうしちゃったのかなーって思って後をつけてきてみたら、なーにこんなくだらないことやってるワケ?」「……ごめんなさい。まだ話せないんです」「話せない?」ずい、とTヘッドが近づく。「……アタシを誰だと思ってんの?」 48
2015-11-03 23:06:02試合が終わったはずのベンチに、異様な緊張が張り詰めた。提督の心が見えない鎖で締め上げられる。唇が震える。勝手に言葉を喋り出すのを必死に堪えているかのようだ。しかし根負けして、理由を言おうと――「なぁーんて、じょーだんジョーダン!」バシン、と背中を叩かれて、鎖が解けた。 49
2015-11-03 23:09:12「好きにやんなさい。結果が気に食わなかったら、そん時ぶん殴りに行くわ」ケラケラ笑うと、TGは隣にいた明石の袴の隙間に手を突っ込んだ。「何するんですかっ!?」「ごめん、逆だった。明石ちゃーん、怪我の手当してー」「何が逆なんですかぁ!?」流れるようなセクハラムーヴである。 50
2015-11-03 23:12:26「提督、この人なんなんですかー!?」「ごめん、黙って治してあげて。骨の一本や二本、折っていいから」「それ治らないんじゃ……小指グワーッ!」残るは一試合。主催者こと"館長"が現れ、目的にリーチはかかった。後はどれだけお眼鏡に叶う試合ができるかだ。決着の時は、近い。 51
2015-11-03 23:15:37