昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」 #8

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
4
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ファー、ファー、ファー」バーバヤガが笑う。「あンたの生き急ぎッぷりが、あたしャ好きなンだよ、お嬢ちャま。あンたの『肉の檻』、今ずいぶン大変なようだけれど、なンとか切り抜けて、また会いに来るといいよ」

2011-01-11 21:27:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

老婆が片手を上げると、天空から巨大なボロ屋台が落下してきた。屋台のノレンには「ゴンダ」と楷書書きされている。屋台からは鋼鉄製の脚が生えており、それが膝を折って、バーバヤガを屋台の中に迎え入れる。ナンシーは言葉を失い、そのさまを見守った。

2011-01-11 21:36:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

老婆が入り込むや、巨大な屋台は天空へ轟音とともにジャンプした。風に乗って老婆の声が届く。「あンたは、有望だよ、ここで死ぬンじャないよ……ファー、ファー、ファー」

2011-01-11 21:38:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーは覚醒した。管理人室だ。何時間経った?デスクのそばを興奮した面持ちでグルグルと歩き回る小太りのニンジャがまず目に入った。視界は赤く、体の自由はきかないままだ。

2011-01-11 22:23:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クソッ……クソッ……クソッ……こんなバカな事が……こんなハズは……」小太りのニンジャは歩き回りながら毒づいていた。扉が開き、バジリスクが入室する。「車を回した。頃合いだ」小太りのニンジャが叫ぶ。「奴らの腕は確かなのだ!それぞれに四人ずつ、抜かりはない、ありえないんです!」

2011-01-11 22:29:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「さっさと引き払うぞ」バジリスクは吐き捨てるように言い、ナンシーを荒っぽく担ぎ上げた。「記憶素子は抜き取ったか」「ええ、ええ、私は取り乱してなどおりませんよ。行きましょう」「フン」ナンシーを担いだまま、バジリスクは階段を早足で降りて行く。もう一人もそれに続く。

2011-01-11 22:35:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーを担いだバジリスクと小太りのニンジャは、廃駐車場に停めたオートバイと装甲車に向かって歩いた。ナンシーは時刻を類推しようとしたが、意識はぼやけ、不完全な視界。不可能だった。

2011-01-11 22:38:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おれがお前のバイクを使う。お前はこの女と装甲車だ」バジリスクがいきなりナンシーを小太りのニンジャに向かって投げた。「ええ、ええ」小太りのニンジャはナンシーを受け止め、装甲車のドアを開けて、そこへ放り込む。(レディの扱いを心得ない奴らね)なす術の無いナンシーは心中で毒づく。

2011-01-11 22:42:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クルマとオートバイはエンジンをスタートさせ、廃駐車場を出ると、ハイウェイをめざして爆走する。装甲車両の助手席、シートベルトで固定され、五感のほとんどを奪われたナンシーは、まるで夢の中を滑っていくような心持ちであった。

2011-01-11 22:46:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーは働かない頭で状況把握につとめた。あの廃映画館を拠点にした事はニンジャスレイヤーにも伝えていない。つまり、彼の助けをアテにはできないかもしれない。用心が仇となったのだ。

2011-01-11 22:49:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

装甲車両とバジリスクのオートバイはともにハイウェイに入り込んだ。車両を運転しながら、小太りのニンジャはオートバイのバジリスクと音声変換IRCで連絡を取り合っている。

2011-01-11 22:54:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ええ、ええ、このまま埠頭まで。そうです。ええ、信頼していますとも。まだ将棋はオーテしていない。そうです!」無理な追い越しをかけながら、二台はさらにスピードを上げる。

2011-01-11 22:57:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このエマージェンシーさえ切り抜ければ、まだまだやりようはある。たとえ八人全てが倒されていようとも……ええ、なにしろ私は不死身だ!そしてあなたのイビルアイはかつてのビホルダー=サンの比ではない!そもそもニンジャスレイヤーにせよボスにせよ、我々を追って来るわけが……発想すら……」

2011-01-11 23:04:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なにーッ!!」突如、小太りのニンジャは急ブレーキをかけ、ハンドルを目一杯に切った。あやうく装甲車両が横転しかかる!ナンシーは前方の状況を垣間見た……燃え盛る車が積み上げられ、バリケードのように行く手を塞いでいる!

2011-01-11 23:07:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『奴だ……ガガッ……奴だ……』小太りのニンジャのヘッドセット型IRC通信機からバジリスクの音声が漏れる。ナンシーは見た。積み重なった車の上に真っ直ぐに立つ存在を。「バカな!バカな!」小太りのニンジャは取り乱し、ハンドルを殴りつけた。「早すぎる!オカシイ!」

2011-01-11 23:14:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フロントガラスの向こうで、その人影はオジギした。ナンシーの目に涙が浮かんだ。オジギしながら、その人影はこう言っていたに違いない。……「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」と。

2011-01-11 23:16:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション #8 おわり。 #9につづく

2011-01-11 23:18:03