【シナリオ】白幕の坂【完結】

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ただしまor酒のお供 @vatdsm

目先の疑問を解消すべく、あなたは小走りになりながら問う。しかし少女は振り向けど、「早く早く」と催促するしかなかった。くいくい引かれる力は弱いが、弾ける笑顔に抵抗出来ず流されるままだ。かつかつとブーツの平たい靴底が渡り廊下に響かせながら、通路の奥へ奥へと突き進んで行く。 #白幕の坂

2015-12-08 20:07:21
ただしまor酒のお供 @vatdsm

やがて辿り着くは、一枚の頑丈な扉の前。はて、こんなものがこの「施設」にあっただろうか?身に覚えのない恐怖から、あなたは少女の方へと一瞥する。「みんな待ってるよ、早く早く!」子供なりに上手く誘われた気がするが、あなたは言われるがまま、重い一枚扉へ手を掛け引きずり出した。 #白幕の坂

2015-12-08 20:08:01
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【分岐】ズズズと扉は開かれた。その時、扉から飛び出してきた「それ」に突き飛ばされ、あまりの不意打ちに尻もちつく。痛覚は確かにあったが、あなたは扉の存在を思い出しハッとする。扉から溢れ出てきたものは…… #白幕の坂

2015-12-08 20:08:57
ただしまor酒のお供 @vatdsm

銅の鱗を纏いうねる太く巨大な影、黄金の瞳で獲物を見下す一匹の大蛇が立ちはだかった。「そう、だった」ポツリ溢れた呟きは、蛇の威嚇に掻き消される。あなたの脳裏に巡る惨劇は現状にピタリ一致し、今後起こり得る出来事はまるで予言者だ。予想に反した登場に、少女は怯え硬直していた。 #白幕の坂

2015-12-09 22:50:52
ただしまor酒のお供 @vatdsm

あなたは全てを思い出す。邪心の塊として封印した生物は蘇り、人の子や女を貪って巡り、あなたはそれを阻止すべく戦ってきたことを。そして出会ってきた少女らは全て、胃中へ放り込まれたのだと。少女が理想抱いていた会場は、既に沈黙の海へ飲み込まれている。取るべき行動は、決まった。 #白幕の坂

2015-12-09 22:51:21
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【三章】足が竦み身動きが取れない赤目の少女は、助け求めるようあなたの方へ見た。大蛇の体長は、下手すると五メートルは優に超え、大人でも太刀打ち出来ないのは目に見えていた。ならばどうすべきか。太い尾が持ち上がる、瞬間、少女の元へ素早く、小さな身体ごと持ち上げ全力疾走した。 #白幕の坂

2015-12-09 23:23:09
ただしまor酒のお供 @vatdsm

罪滅ぼしのつもりか、続々と溢れ出る埃被った記憶に悪態吐きながら、広く長い廊下を駆ける。当然餌を持ち逃げされた、邪心の塊も壁の装飾を薙ぎ払いながら追う。通路は左右二手に分かれるが、迷わず右折し人とすれ違った。「非常事態か」ライフル片手に怪訝に尋ねる顔に、見覚えがあった。 #白幕の坂

2015-12-09 23:23:38
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【分岐】この建物ではあまりに浮いた武装姿の男性は、大きくなる地鳴りに察し先を見据える。ライフルでは倒せない、一度目の記憶を掘り起こしたあなたは、未来を尻目に男性へ指示を出した。 #白幕の坂

2015-12-09 23:24:41
ただしまor酒のお供 @vatdsm

「皆を安全な場所に!」武装はあくまで人を守る為であり、敵を倒せど人っ子一人守れなければ無意味だ。尻目に頷いた男は、大蛇を躱し枝分かれの通路へ飛び込んだ。気を付けろよ、そんな声援を残して。寸秒止めた足を再び動かしたあなたは、長年行き来した塔の迷宮を軽やかに縫って行った。 #白幕の坂

2015-12-11 01:23:07
ただしまor酒のお供 @vatdsm

廊下に人気はまるでない。大蛇は床に軌道を記しながら本能のまま追い、その距離は徐々に縮みつつあった。抱えた少女は涙ぐみながら息を殺し、時々ポツリと謝罪を溢す。「これは」上がる息を抑えて。「君のせいじゃないよ」疲労が重りとなる足で走らせながら、あなたは少女へ微笑みかけた。 #白幕の坂

2015-12-11 01:23:36
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【分岐】蛇の雄叫びが恐怖を駆り立てようにも、流石体力も限界に近付く。敢えて被害の少ない暗がりを選択したのが間違いだったか、酸素が足りない脳に後悔が過ぎる。その時だ、地鳴り行進曲は突如止んだ。あなたが目にしたものは…… #白幕の坂

2015-12-11 01:24:52
ただしまor酒のお供 @vatdsm

まだ十代にも満たない、幼い男の子が一人。先ほど人の気配すらなかったと言うのに、あなたは逃げるよう叫ぼうと口が開きかけた、その時だった。「コラァ!お前の足音がうるさいから勉強に集中できないじゃん!」可愛らしい声で我儘を、まさか大蛇に向けるとは。予想外な光景に唖然とした。 #白幕の坂

2015-12-12 13:19:36
ただしまor酒のお供 @vatdsm

それまで追った威勢は何処へやら、少年に圧倒されてみるみるとしょげてく大蛇の姿があった。あなたは足を止め、抱えていた少女を下ろすと、説教する小さな背中を呆然と眺める。「おれが呼ぶまでは大人しくしてろって、何度もいったよね!?」心なしか、大蛇のない眉まで垂れ下がっている。 #白幕の坂

2015-12-12 13:20:02
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【分岐】少女と顔を見合わせ、不思議そうに観察していたこと数分。ようやく怒りが収まったのか、少年は此方に振り向きニカリと笑った。口から鋭い牙がチラリ覗かせている。「ごめんね、こいつがいた場所、道案内してくれないかな?」 #白幕の坂

2015-12-12 13:21:10
ただしまor酒のお供 @vatdsm

施設は、下手すれば大人すら迷う迷宮のようなものだ。あなたは少年の頼み事を聞き入れ、先導していった。「あなたはここ初めて?」好奇心を垣間見せていた少女は、我慢ならず少年へと声かける。すると彼は緩く首振り、何度か出張で訪れているのだと話した。両親の存在は、伏せられている。 #白幕の坂

2015-12-13 14:56:48
ただしまor酒のお供 @vatdsm

「おれは勉強してるのにさ、こいつは外出て遊ぶこと増えて頭きちゃうよ」ウンザリ愚痴溢す少年は大袈裟に溜め息吐いた後、二人に向けてぺこり頭を下げ、「ごめん」と唐突な謝罪を放たれた。大蛇は尚襲う様子もなく、ただ申し訳なさそうに同じよう頭を下げる。少女は、此方へと振り向いた。 #白幕の坂

2015-12-13 14:57:13
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【分岐】そこであなたは確信を得る。この大蛇すらどうにがすれば、注ぐ非難も止むのだと。頭を上げて、そう言って微笑み少年と大蛇の緊張を解くと、あなたは続けて言葉を突きつけた。ただ一つだけの約束と共に…… #白幕の坂

2015-12-13 14:58:38
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【結果】蛇と充分遊んでやって、と #白幕の坂

2015-12-14 20:38:48
ただしまor酒のお供 @vatdsm

「許す代わりに」小指立てた右手を少年に差し出し、あなたは優しく笑う。恐らく、主人が長らく相手にされなかった不満抱いたのであろう。寂しさ募らせて飛び出し、飼い主を困らせていたのであれば、同情さえ寄せた。「勉強の時間を割いて、一緒に遊んでやって下さい」約束、と小声で囁く。 #白幕の坂

2015-12-14 20:39:11
ただしまor酒のお供 @vatdsm

予想に反したものだったのか、きょとんとし瞬く少年ははにかんで、右手の小指を絡ませた。「なんだよお前、おれと遊びたかったのか」くるり丸い瞳を巨大な蛇へ向けて笑うと、床に顔を下げてた蛇は声に導かれるよう頭を上げる。時々細い舌を伸ばし、シュー、っと少年の声に静かに応答した。 #白幕の坂

2015-12-14 20:39:51
ただしまor酒のお供 @vatdsm

【分岐】やがて通路の傷跡は途絶え、再び厚い扉が立ちはだかる。少女は不安に染まった顔を向け、あなたの手をぎゅっと握り、対し少年は笑う。「だいじょーぶ、なおしたから」手招く少年は扉先を指差した。あなたの目に飛び込んだのは…… #白幕の坂

2015-12-14 20:42:26
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