横光利一『夜の靴』読書メモ集

横光利一『夜の靴』(『夜の靴・微笑』、講談社文芸文庫、1995年)の読書メモをまとめました。初版は鎌倉文庫、1947年11月。
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荒木優太 @arishima_takeo

おれはこのごろ、人生とはこういうものかと、少しばかり分って来たような気がするんだがね。辛いぞなかなか人生は――おれは毎日毎日、批評家からやっつけられ、右からも、左からもやっつけられ、内からは、またお前から毎日毎日だ。by横光利一『夜の靴』

2015-11-09 10:44:53
荒木優太 @arishima_takeo

一万米の高空でする戦闘と、地上百米でする戦闘の相違について――これは飛行機のことではない。各人、だれでも一日に一度は必ずしなければならぬ平和裡の戦闘だ。妻と、友人と、親戚と、知人と、未知の人間と、その他、一瞥の瞬間に擦れちがって去りゆくものと。また自分と。by横光利一『夜の靴』

2015-11-09 10:47:20
荒木優太 @arishima_takeo

恩を忘れる喜びを人に与えたものこそ、真に恩を与えたものの美しさだろう。by横光利一『夜の靴』

2015-11-09 10:50:01
荒木優太 @arishima_takeo

「日本の全部をあげて汗水たらして働いているのも、いつの日か、誰か一人の詩人に、ほんの一行の生きたしるしを書かしめるためかもしれない、と思うことは誤りだろうか」(横光利一『夜の靴』)。まぁ、誤りなんじゃないですかね。

2015-11-09 11:15:24
荒木優太 @arishima_takeo

「生まのままの真は、偽せよりも偽せだ」(byヴァレリー…らしい)。すげー西尾維新みたいなこと言ってんな。お前は仏蘭西の二十歳かよッ!

2015-11-09 11:17:33
荒木優太 @arishima_takeo

「日本の労働力には、周知のごとく仏から動いて来る労働力と、科学から揺れて来るものとの二種類が、歴史と自然の関係のように攻め合っている」(横光利一『夜の靴』)。「「「「仏から動いて来る労働」」」」!!!

2015-11-09 15:13:23
荒木優太 @arishima_takeo

ブラック労働感しかしない。

2015-11-09 15:13:43
荒木優太 @arishima_takeo

人生にはいつも幕間が用意されているものだが、この幕間は人のものか神のものか分らぬながらも、どこかの一ヶ所だけ森閑とした部分がある。そこでひそひそ声がしているようだが、おそらく、それは人の声ではないのだろう。by横光利一『夜の靴』

2015-11-10 10:20:07
荒木優太 @arishima_takeo

自分というものは一つもなく、人の心ばかりを持ち溜めて歩いている一個の袋かもしれない。by横光利一『夜の靴』

2015-11-10 10:22:38
荒木優太 @arishima_takeo

人の人相は戦争でみな悪くなっているので私は字の方を信用する。これなら私はあまり今まで間違ったことはない。by横光利一『夜の靴』

2015-11-10 10:58:31
荒木優太 @arishima_takeo

それにしても、人間を人間と思うことは誰に教わったことだろう。そして、これがそもそも一番の幻影ではないのか。自分というものが幻影で満ちているときに。by横光利一『夜の靴』

2015-11-10 11:01:35
荒木優太 @arishima_takeo

神は気持ちじゃ、人の気持ちというものじゃ。by横光利一『夜の靴』

2015-11-10 11:06:33
荒木優太 @arishima_takeo

「私はわが国の農業は労働教という一つの宗教だと思った。そしてこの神は米だ。西洋の農業は遊牧教ともいうべきもので、この神はあるいは音楽かもしれないと思ったが、それだけは大胆にすぎ私は口へ出すのをさしひかえた」(横光利一『夜の靴』)。俺達のブラックが西洋人に負けるはずないだろ、的な。

2015-11-10 18:36:52
荒木優太 @arishima_takeo

横光利一『夜の靴』読了。要するに横光の疎開記録なわけだが、すごい面白い。横光マイベスト…は『ナポレオンと田虫』なのであげられないが、少なくとも長篇のなかじゃこれが一番好きかもしれない。小説家だけど田舎ではできるだけ本性隠すとことか、葉山嘉樹の晩年の小説群を想起させる。

2015-11-11 10:53:00