空気が読めなかったり、 メモ取りや人の話を効くのが苦手で 同じ間違いを何度か繰り返しているうちに、周囲から反感を買ったり 単に人とのコミュニケーションに難を抱えていたりという いわゆるところのそういった類の人間達である
2015-11-17 04:40:17そういう人々というのは、面接の段階で向こうにもそれと見抜かれることから なかなかまともな職場に雇ってもらえないだけでなく 折角得た仕事も 当然発生することとなる周囲との軋轢の中で ストレスに耐え切れなくなり自ら逃げ出すか ある日突然解雇通知を突きつけられるかして
2015-11-17 04:45:57短期で手放すはめになる これを繰り返せば履歴書はボロボロになっていくし 仕事を通じて経験、技術、やりがいを得ることもできず 歳だけとって しかしながら残せたものといえば 低賃金により形成された、ほんのわずかな貯金のみという悲惨な未来が待ち構えることとなる
2015-11-17 04:53:06このような人々に対する世間の風当たりは概して厳しい ひとまとめに無能として認識され あるいは努力が足りていないと批判される しかしながら根本的に会社や、組織という者にとって その要求は カモメに山間部で餌をとれとせまるようなものである
2015-11-17 04:58:44人にはその長所、短所、性質により それぞれにふさわしい居場所がある このような人々においても 職業人として存在するための仕事はあり そしてあったはずである
2015-11-17 05:00:52その代表的なものが農業で これは通常そのほとんどの工程を一人、あるいは気心の知れた家族とともに行えるため 村や農協などといった組織に最終的に属することになってはいても 仕事を進める上で彼ら特有の弱点が足かせになることはあまりない
2015-11-17 05:03:54そして、一昔前の日本においては、大半の人間が農家であったことを考えれば 技術や文明面においてはともかく 今問題にしているような人々にとっては逃げ場の存在する ある程度生きやすい時代であったのかもしれない
2015-11-17 05:06:59農家に混じってしまえば 会社組織の中では憎悪の対象にすらなりうる彼らの存在も 「ちょっとした変わり者」 程度に扱われ 愛され見守られるという構図もありえたかもしれない
2015-11-17 05:10:34ただ、戦後日本においては 農業という仕事が、人が必要最低限度の収入を得る上での手段として機能しなくなってから久しい もとあった農家たちも生活するため次々に都市部に流出し、兼業となり、最近ではTPPの影響もあって、農業というものが職業として成立する余地は、ますます少なくなりつつある
2015-11-17 05:15:54ここに 「組織の中で生きられない人」 が生きられる場所が 一つ消滅したことになる では、他の逃げ道についてはどうであろうか?
2015-11-17 05:17:44次に候補と成り得るのは 自営業 いわゆるところの、商店街の「何とか屋さん」である ただ、近年の商店街や個人事業主を取り巻く事情にも やはり厳しいものがある
2015-11-17 05:20:57最近の物流上のトレンドは、徹底的な集約化である 都市部、駅前ではデパートやチェーン店が 郊外ではイオンに代表されるような巨大ショッピングモールが幅をきかせ 人々の足は自然とそちらへ伸びる そのほうが多くの品物や、なじみがあり、他者と話題を共有できる品々にめぐり合えるからである
2015-11-17 05:25:41こうなってしまうと 「商店街の何とか屋さん」 が抗うための術は少ない イオンという、光り輝く新時代の担い手が舞い降りた土地の商店街は根こそぎ破壊され シャッター街と化す こぼれだした失業者たちに、社会はアルバイトの求人(それこそイオン内店舗の)を差し出すであろうが
2015-11-17 05:30:33そもそも 「商店街の何とか屋さん」 には、組織の中で生きていくのが困難で そこだけが最後の砦であった人間も少なくないのである 弱肉強食といえばそれまでになる ただその上での強者のベクトルが あまりに「組織に属せるもの」に偏りすぎているのも事実である
2015-11-17 05:36:08資本主義の基本的構造は 他者からの搾取である 一昔前までは、これは都市と農村部 または日本と発展途上国との物価差を用い 安い労働力や物品を買い上げることで回転してきた
2015-11-17 06:00:01しかしながら年を経るごとに地方や他国での生活水準も向上してきたことや ネットの発展により誰もがこの価格差の構図を利用できるようになったことで 資本主義は次なる段階として 搾取の対象を同業者に求めつつある
2015-11-17 06:02:45合理化、集約化され、巨大な資本を持つ会社組織が 「商店街のお店屋さん」から仕事を略奪し 属せざるものは、その末端構成員として再利用される 大和朝廷による小国平定のように 組織による統一がそこかしこで急速に進みつつある
2015-11-17 06:12:38こうして「属さざる者たち」の仕事は、生活をするための糧を生み機能を喪失し 「属せない者たち」はますます、その逃げ道を失っていくのである
2015-11-17 06:17:15