共感覚について(備忘録):共感覚(シナスタジア)とは従来創作分野等では特異な現象であるとされがちだが、実は特殊な現象ではなく誰もが経験しうる現象である。日本で報告例が少ないのは単純に共感覚への理解が不足している可能性が高い。なお、この備忘録は現在の脳心理学者の文献資料を元にする
2015-11-12 01:52:16脳は次の流れで外界を知覚する。 ①感覚器官が外部の刺激を信号に変換し神経に伝達 ②信号を受信した一次感覚野が情報に変換 ③情報が頭頂連合野に集約 ④頭頂連合野で知覚統合が行われ、一つの『情報体』が構築(異種感覚統合) ⑤情報体が意識を司る前頭連合野に送られ、意識が外界を認知
2015-11-12 01:53:10要するに、脳は一度外界からの知覚(情報)を統合し、一つの情報体を形成する手順を踏む。認知は感覚からの情報と=ではなく、感覚からピックアップされて一つに統合された情報体を脳が認知している。故に視覚に入っていながら「みていない」ものがあり、聴いていながら「きいていない」音が発生する
2015-11-12 01:53:42この統合された情報体はイメージとも呼べる。異種感覚統合によるイメージは、複数の情報統合であり、情報の相互関連性と相互補完機能が確認されている
2015-11-12 01:54:11目をつぶったまま歩いたり、触れたものの形を立体的に認識できるのは、触覚や平衡覚から外界を「みている」からである。針の先を見るとき、それに触れた時の指の痛みを想起するのは、痛みを「みている」からである。人は各感覚が統合されたイメージを認知することで外界を認知する
2015-11-12 01:55:00この異種感覚統合は、体外感覚の情報統合だけでなく、体内感覚(痛覚・温度覚・振動覚・圧覚)でも相互に発生する。嗅覚・味覚的刺激の強い香辛料等では、それを直接摂取せずとも内臓機能に不調を感じることがあり、これは嗅覚・味覚と体内感覚の異種感覚統合及び相互補完機能の結果である
2015-11-12 01:55:22このことから、人間は各感覚が独立的に外界を認識しているのではなく、各感覚の情報から一つに統合された外界のイメージを脳が構築し、それと自身との関係を認知しているとわかる。 では、共感覚はどうか
2015-11-12 01:56:20共感覚については二つの仮説が可能である。まず一つは登頂連合野が感覚野からの情報を他の感覚野と誤認して処理する仮説である。ただしこれは意識に感覚が先行するため、人は共感覚を意識で制御できない。そのため、常に一定の共感覚が発生すると考えられる
2015-11-12 01:56:38もう一つは、意思決定を司る前頭連合野が要求する仮説である。例えば、意思決定のために音に色がある方が好ましいと前頭連合野が判断し、登頂連合野に要求すれば、登頂連合野は音に付随して色のイメージを補完し、音と共に色を認識させると考えられる。この場合、意識が感覚を先行する
2015-11-12 01:57:08以上共感覚について終わり。どっちかというと脳機能のまとめになってしまったが、まあ、共感覚は脳機能における知覚の処理過程を考えればそれほど不思議な現象ではないのである
2015-11-12 01:57:39参考:)J.J Gibson「 生態学的知覚システム 感性をとらえなおす」、Marcello Massimini「意識はどこから生まれるのか?」 M.Merleau-Ponty「知覚の現象学」 中島義明「現代心理学辞典」
2015-11-12 01:58:19この登頂連合野における異種感覚統合を考えると、いずれAR技術やVR技術はこの登頂連合野に直接情報を伝達し交信しあう技術になると思うのだが外部からの感覚統合後のイメージを伝達しあうことができるようになれば視覚情報や聴覚情報は別々に送信する必要はなくなるよね?
2015-11-12 02:08:44@chat_le_fou2 サヴァンの人が認識する世界ってどんななの?って思うとみてみたい感じはする。でも確かに、処理する脳機能が平等でないとしたら生の情報は危険かもですねー
2015-11-12 02:24:19@Irrsys 入力量、抽象化プロセス、記憶との紐付け、多分すごいばらつきがあって、現実に電脳化をやるには、発育時の感覚の刈り込み量を入出力量を調整して・知覚する情報世界のプロトコルの統一する(あるいは統一できる領域を作る)みのが必要なのでは?みたいなこと考えたことはありますw
2015-11-12 02:31:07@chat_le_fou2 脳機能って機械ほど整理されたシステマティックさがないから、補助脳をつける程度ならともかく完全な電脳化をしようとしても相当難しいんじゃないかと私も思いますねー。もう生まれた瞬間に脳を電子世界にコピーするしか。これは楽園追放の世界ですね
2015-11-12 02:35:18@Irrsys それでも電脳化と電脳空間はロマン……。あと私がよく駄弁ってる「グラン・ヴァカンス」って作品では、「感覚認知統合体」と、電脳世界表現の為の「感覚的似姿」って概念が出てきて。あれもアハ体験だった。
2015-11-12 02:37:51@chat_le_fou2 ああーその設定すごく面白そうですね!ちょうど今の興味関心のど真ん中ですその用語。 あと今本の解説読んだらこれもど真ん中ストレートでした。買います(直球)
2015-11-12 02:44:31@Irrsys ARものとしては二作目の「ラギッド・ガール」もゴリゴリくるのであわせておすすめです(ついでに推す)
2015-11-12 02:51:05@chat_le_fou2 説明文みたらほんとに今読みたいもののど真ん中だったので……ああまた積み本が増える!(嬉しい悲鳴)
2015-11-12 02:56:30