スペアキー

ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【Shingo story 37】 親と子供にこれ以上の苦労はかけたくないけど、産みたいっていう葛藤 子供が居らんなった時の喪失感 ひっそり消えていく命と、新しく産声を上げる命 背中合わせのその場所で、泣き崩れるアイツが容易に想像出来た そして…

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【Shingo story 38】 『…分かった。荷物、取りに行くわ』 嘘でもいいから、俺に妊娠を喜んで欲しかったってこと 読んでて…なんて言葉にしたらええか分からん程、胸が締め付けられた なんにも… 俺は分かってやれへんかった アイツの思いも、辛さも、何もかも

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【Shingo story 39】 ¨忙しい仕事を被せて 気付かないフリしてただけ でも本当は泣きたいほど 空っぽの心 体に溢れ出す思い出¨ その次の週末 足を踏み入れたアイツの家 『…久しぶりやな』 「うん…久しぶりだね」 ぎこちない会話を交わす

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【Shingo story 40】 「これ…まとめといた」 差し出されたのは、最初の頃より増えた俺の荷物 『すまんな』 そっと受け取ると 「ワガママばっか言ってゴメンね…今まで、ありがとう」 懐かしく感じる笑顔をみせる 『…そんな笑顔みせられると、辛いわ…』

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【Shingo story 41】 苦笑いで応えるけど、胸が苦しい 「…またね」 手のひらに〝スペアキー〟を落とし 『おん…またな』 彼女に見送られて、家路に着く 『…すまん、忘れもんしたから明日取りに行ってもええか？』 「私居ないから、いつもの所に鍵置いとくね」

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【Shingo story 42】 これが最後のメール 誰も居ない部屋に１人佇む 視線の先には、彼女に贈ったホワイトボード 今の俺の想いや… お前が見つけんのはいつになるやろな 自己満足かもしれんけど…ココに置いていくわ pic.twitter.com/rDgiwUAiSj

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【Shingo story 43】 ホワイトボードをひっくり返して、家を出る ポストに〝スペアキー〟を入れようとするけど、どうしても放したなくて ぎゅっと手の中に握り締め、背を向けた ¨めまぐるしく進んでいく日々 置き去りのままの涙が ふとした時に浮かぶけれど¨

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【Shingo story 44】 お前が今、笑っててくれるんやったら それだけで良かったと思える 一緒に行った場所が多過ぎて 一緒に過ごした時間が長過ぎて 簡単にはお前の声も、匂いも、全部忘れるやなんて出来ん ¨白い部屋 裸のスペアキー 温もりも涙も全部残ったまま¨

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【Shingo story 45】 ふとした瞬間に あの笑顔や泣き顔を思い出しては、空を見上げる 仕事がもっと上手くいってれば 前の旦那の子供が、もし居らんかったら 違った結末があったかもしれん、と今更な事が頭を掠める それぐらい ホンマに好きやった

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【Shingo story 46】 壊してしもたんは、俺 お前の全てを丸ごと包み込むことが出来んかった俺の弱さ 今も捨てられずにいるアイツの〝スペアキー〟 遠い所やけど、お前の幸せを誰よりも願っとる ¨俺の恋が…終わった¨ pic.twitter.com/rPuOPKBwsj

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